48. ◉アマリリス ④
誤字報告ありがとうございます!
モリリナが留学先から帰国したらしい。
王都にいる父親と一緒にロックに帰ってくるって連絡が来た。
爺も婆も母親もすごい喜んでた。
特に爺がはしゃいでて鬱陶しい。
奴の存在をほとんど忘れてたわ。
てか、今さら帰ってこなくていいのに。
はぁ。めんどくさ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
あいつが帰ってきた。
相変わらずガキ臭くて、11歳にもなって爺に抱っことか無いわぁ。
それにあいつ性格悪くなって、ガチ意地悪になってたよ。
別にどうでも良かったけど、こっちは社交辞令で留学の話を聞いてあげたわけよ。
そしたらさ、「言えないわ」だってさ!
社交辞令だっつうの!
なんで私が断られた感じになってんだよ!
おまえ何様ぁ?
久しぶりに会ったけど、やっぱ無理だわぁ。
すっごい気分悪くて、ムカムカしてたら周りが心配して、チヤホヤしてくれたから少し浮上。
ついでに奴の悪口言っといた。
ハッハッハ! ざまぁ!
嫌われ者の復活ですねぇ。プププ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
アホが付きまとってくる。
うざ。
うざ。
うざ。
どっか行け。
今さらご機嫌取りされても、仲良くなるわけないしな!
頭悪いのかな?
まぁ、すでに嫌いですしぃ。
お前はとっくに敵認定されてますしぃ。
あー。ほんと顔見るだけでイラッとしちゃう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
まずい。
夜中に親衛隊とやってんの見つかった。
今までバレなかったのに。
私モテるんだもん。
男の子が私への想いに苦しんでたから、助けてあげただけだし。
だって可哀想でしょ?
親衛隊の中でも私室まで入れる側近達は、厳選したイケメン揃い。
かっこいいから甘くなっちゃうのよぉ。
仕方ないよぉ。
わかってくれよぉ。
はぁ~。
もぅ。何なのよぉ。
何でバレるかなぁ。
いくらでも言い逃れは出来るけど、私のイメージが崩れたらやだぁ。
てか、モリリナ来てからムカつくこと多い。
あ、わかっちゃったよ!
結論、あいつのせい。
うん。
全部あいつのせいだから、私も親衛隊も被害者だよね。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
意味わかんないんだけど。
爺がモリリナの味方してる? 父親も中立ぽい?
「モリリナはやっていないと言っている」とか言われたんだが......
おいおいおーい。
私が言ってる事が真実になるんだよ?
それがこの世界の常識なんだけどぉ。
前からあの2人、時々だけど、歯向かう時があんだよね。
気付いてはいた。
家族だから許してたわけよ。
でもさぁあんまり私を怒らせるようなら、ちょっと考えなきゃいけないなぁ。
身内に不幸になってほしくないけどなぁ。
王都のタウンハウスにいた、庭師のペーターみたいに突然死んだら寂しくなっちゃうし。
あれはペーターがモリリナから貰った花の種を、一生懸命育ててたのが悪いよね。
棄てろって言っても泣いて嫌がって。
土下座して謝ってたけど、鼻水とか垂れてて汚かったなぁ。
前の日にペーターに触るなって教えられた毒草を、食べたら許してあげるって冗談言っただけなのに。
うふふっ。
泣きながら本当に食べるんだもん。
びっくりしちゃった。
冗談通じないとかぁ。こわぁい。
ひぇぇぇだよぉ。
ギャハハハ!
父親も爺も家族だから、死んでほしくないなぁ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
商会でレッドバードと打ち合わせ。
今度売る予定なのは下駄なんだぁ。
こっちの世界の文化程度に合わせてみたのだぁ!
文明とか遅れてるしね!
レッドバードはいつも褒めてくれる。
彼は私の価値を知ってる。
売れるかなぁ。
城に帰ったら、なんと!
王子とモリリナの婚約者が来たって、使用人達が騒いでた!
やばー!!
王子はやばいよ!
異世界のざまぁ展開に王子は付き物です!
危険には近寄らない。
これは鉄則であるのだ。
さらっと挨拶だけして、近寄らないでおこう。
これ決定。
でもモリリナの婚約者は、ちょっと気になるね。
私のこと、好きになったりしてね!
侯爵家かぁ......まぁ有りかなぁ。
モリリナが泣くの想像すると笑える。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
晩餐に現れたその人を一目見た瞬間、頭を何かで殴られたみたいな衝撃を受けた。
心臓が握り潰されたみたいに、ギュウッッとなって、壊れそうにバクバクと脈打った。
息が苦しい。
なにこれ?!
助けてぇ!
初めて感じる甘い切なさに、自分では制御できない涙が溢れる。
血が頭に昇る。
体が震えて、足がガクガク震えて立っていられない。
怖っ!
なにこれ?! って一瞬パニクったけど、
わかってしまった。
めちゃくちゃ嬉しいんだこれ。
私の体が、その人に会えたことに狂喜していた。
第一王子 ウィルドリフ・アドリレナ。
元のアマリリスが恋した相手だ。
アマリリスの体で、最高の人生を送るつもりでいたのに、この体に引きずられる。
アマリリスの体は今でも熱烈に、ウィルドリフ王子を好きなんだ。
まさか元のアマリリスが、こんなイカれた奴だったとはね。
怖い女。
これはまずいよぉ。そう思うのに、たった7歳の子供の残滓に呑み込まれて、愛しくてたまらない。
こんな気持ちは知らない。
こんなに人を好きになれるんだ。
ウィルドリフ王子を思うだけで幸せで、酔ったように気持ちいい。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
あ~あ。
胸が切ない......
もう離れて生きていける気がしない。
あの人が欲しくて欲しくて頭の中が焦げそう。
ムラムラもすごい。
やりたい。
やりたいが過ぎるぅ。
下腹部が疼いて痛いよぉ。
彼に飢えた表情なんて見せたくないから、
どうにか発散したいなぁ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
人生設計の軌道修正。
でもまぁ、いけると思う!
『天然無自覚の元悪役令嬢は、王子に溺愛されてます!』のパターンはド定番だからね。
私が悪役令嬢かはわかんないけど、婚約者候補だったからきっとそこら辺の立ち位置なはずなのだ!
大丈夫。うまくいくよ。
あの人が手に入らない人生なんて、何の価値も無いもの。
最初はアマリリスの体に引きずられた想いだったけど。
私はウィルドリフ王子が好き。
これは私の気持ち。アマリリスのじゃないよ!
運命だよね。
やっと巡り会えた。
きっとこの為にこの世界に来たんだ!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
彼が私に微笑みかけるだけで、頭の芯が痺れるみたいで、天国にいるような気持ちになる。
自分からすごいフェロモンがいっぱい出てるのを感じる。
お肌ツルツルだし、恋ってすごいね。
私どんどん綺麗になってる......
毎日が幸せ。
生まれてきて良かったな。
ただ、ムラムラが加速する。
やりたくてやりたくて、
どうしようもないから親衛隊を使ってる。
この間の子達は罰をうけて、どっか行っちゃった。
せっかく体も馴染んできてたのに残念。
でも新しい子達もなかなか筋が良いんだぁ。
私のためなら何でもする可愛い子達。
親衛隊の側近達は17、8歳の男の子達だから、若くて体力もある。
それに最近はテクもついてきて、すごく満足させてくれる。
でもバレないようにしないと。
嫌われてしまったら大変だよ。
そんなことになったら死ねるわ。
恥ずかしくて手も握ったことの無い相手。
貴方のためなら死んでもいいの。
ウィルドリフ様......




