24.◉アマリリス③
王都へ戻り、魔力検査を受けた。
まさかの魔力無し!
全属性もあり得ると思ってたんだけどな。
唯一、良かったことは、 魅了魔法が無かったことかな。
ということで、私が人に好意を持たれるのは、ただモテてるだけと判明!
魔法が出来ないのはガッカリだけど、確実に私の時代が来てるよね!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
なんと、王子の婚約者候補だった。
悪役令嬢の可能性が出てきたよ。
辞退一択だ。
親も爺婆も私にメロメロに溺愛してるし、なんでも言うこと聞くから大丈夫だろう。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
王家のお茶会。
王子達に近付かないで乗りきったよー!
目が合うのも危険なので、見ないようにしていたけど、きっとイケメンだったろうなぁ。
前のアマリリスが一目惚れしたらしいし。
私だってイケメンは大好物だ。
ほんとは見たかった!
それで、王子を見ないようにしてたら、それが逆に男の子達に好印象だったらしくて、
何人も寄ってきて、ハーレムみたいになってしまった。
囲まれて困ってるふりしたけど、本当はかなり気分がよかったよねー!
王子に目をつけられたら困るから、目立ちたくなかったんだけどさぁ、しょうがないよぉ。
だって勝手にモテるんだもの。
モリリナのアホが、1人で遠くに行って、迷子になって転んで怪我したらしい。
どうしようもない奴だな。
母親はモリリナだけ先に帰らせてた。
帰りの馬車でモリリナの悪口言っちゃった。
内容はほとんど嘘だけどね!
なんでかバレないんだなぁこれが。
母親はやっぱ少し庇ってたけど、内心ではモリリナにガッカリしてるの丸わかりで笑っちゃう!
悪口って楽しいよねぇ。
誰かと一緒に悪口言うとさ、秘密の共有っていうの?
心が寄り添うような、一体感があって、ますます仲良くなれるんだぁ。
母親に王子はどうだった? って聞かれたけど、大好きなお父様とお母様とずっとラベンロッド家で一緒にいたいの。
って言ったら涙を流して感動してた!
母親もチョロかった説。
帰ってから爺婆と父親にも、大好きだからずっと一緒にいたいって言ったらもう1発だったよ。
すぐ王家に婚約者候補の辞退をして、魅力的な私が高位貴族に目をつけられないように、速攻で領地へ帰ることになった。
やった!!
やりたいこと一杯あるから嬉しい!
商会も作れないかなって計画してるんだ。
なんせアイディアは沢山あるからね。
夢膨らむよぉ!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
アホが婚約したらしい。
侯爵家の嫡男だって!!
はぁ????? だよぉ!
意味わかんないんだけど。
侯爵って伯爵より上だよ?
しかも、あの王家のお茶会で出会ったって?
なにそれ。
ありえないんだけど。
完全に油断してたわ。
ムカつく。
イライラする。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
モリリナが婚約者と一緒に外国に旅行? 留学? するらしい。
父親が詳しく教えてくれなくて、よくわかんないんだけど。
あ~あ。会いさえすれば、あいつの婚約者もすぐ私を好きになるって自信あったんだよね。
これって結果的にあいつが私の男を盗ったのと一緒だと思うんだけど。
泥棒女かよ。
でもさぁ、行き先も理由も秘密ってなんなんだろ。
バカにしてんのか?
くそ女。
姉妹なのに秘密なんて酷い。
あいつ、どれだけ私に嫌な思いさせれば気がすむの?
悔しい。
嫌な女。
......これもう許せない案件だよね?
あいつは私の下の存在。
これ同じ顔なことを許す最低条件。
ムカムカする。
許せない。
私と同じ顔で、笑ってるだけで嫌なのに。
私と同じ顔で、私より楽しむとかダメでしょ。
私と同じ顔で、私より愛される? ないわ。ないない。
私と同じ顔で、私より幸せになるなんて絶対に許さないよ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
父母も爺婆も、領地の奴らも、私がモリリナが居なくなるのが寂しくて元気がないんだと、
勝手に勘違いして心配してたけど、
クソムカつき過ぎて誰とも話したくなかっただけだっつうの。
寂しくて元気をなくした私を慰めるために、
ウザい程プレゼントを貰って、
これでもかって位チヤホヤされて、
美味しいものを貢がれて、
なんとか浮上してきたよ。
モリリナなんかのために落ち込んでたら、人生もったいないからね!
あれのことは今は置いておく。
後回しだ。
今は自分のキラキラした素敵な人生を、更に輝かせることが大事なのだー!
あぶないあぶない。
モリリナのせいで、闇に堕ちるとこだったよ。
あいつは悪魔だね。
今回のことで完全に嫌いになったわ。
奴に振り回されない強い心を持たねば。
負けるな私!
意地悪な妹の仕打ちに耐えるんだ!
逆にこれはチャンスだよ!
乗り越えるべき試練は成長のチャンス!
あ、こういう格言の本とか出版してもいいかも。
自己啓発系の。
居酒屋のトイレによく貼ってあったからけっこう覚えてるんだ。
ちょっとくらい間違えててもバレないし、アリでしょ!
それに、物語の原案を出して、作家に書かせるのもアリじゃない?!
ストーリーは色々知ってるし!
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ラベンロッド領への観光客を増やそうと、海辺の崖からバンジージャンプをするっていう、
“ドキドキ! ワクワク! スリル体験!" という企画をたててたんだけど、
テスター? ていうの? 試しにやらせた領民が死んじゃって没になった。
失敗は成功の母。父だっけ?
とは言うけど、没が多くて困ったもんだ。
知識チートは失敗するとすぐ人が死ぬのよね。
地球より人の命が軽いみたいだからまぁいいんだけどさ、没になるとそこまでにした労働が無駄になるのが嫌なのよ。
時間は有限なんだよ!
無駄にしていい時間など無いのだ!
前だけ向いて走るんだ!
あ、これも格言本に入れよ。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
ついに商会立ち上げ!
ラベンロッドとアマリリスを合わせて、リスロッド商会って名付けたよ!
私の実業家人生が始まった。
ここからはもう登り詰めるよー!
成り上がりぃ。
ほんとこの世界来て良かったなぁ。
それに最近雇った、レッドバードって人がめちゃ使える人で、ほんと役に立ってくれる。
王都から来た人なんだけど、
ラベンロッド領が今熱いっていう噂を聞いて移住してきたんだって。
私達と一緒に大きな夢をみたい! って凄い熱意で、こっちも刺激になる。
それに私のアイディアに惚れ込んでくれてて、
どんな話にも凄く食いついてくれるから、私も興奮して沢山話しちゃうんだよねぇ。
いい相棒になりそう!
ただ見た目がね......小太りの小さいオジサンで、イケメンじゃないのが残念だよ。
父母と爺婆は逆に安心みたいだけどね。
追加で【番外編 庭師のペーター】を18時の予約投稿に入れています。




