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第5話 イサベルとの出会い

ああ、やっと終わった。


なんとか渡されてから7日目の夜18時に行政文書の翻訳がすべて終わったのだ。


毎日17時にそれまで終わった分を王宮に渡すことにしていたので、今日渡す分自体はそんなには多くない。


まあそれでも結構な量があるんだけど。


終わったからケロッとしてるけどチート持ちの私ですら日曜日を除き一日7時間半くらいは翻訳してたからね?


それと領地での仕事も大部分は部下を雇ってやらせてるけど大事なことや部下にできないことは文書でやってるからそれも合わせるとだいたい実働が週55時間。


時間としては転生してた時の職場の前の、僕の職歴(3社)の中ではまだ時間的にホワイトな企業と同じくらいだが、仕事自体あんま慣れてないし、頭脳労働が多かったから結構疲れた。


貴族っていってもほわほわ暇暇してないからね。普通に忙しいからね。


「陛下、頼まれた分終わりました。」


「ん。(了解)」


ん。って会話が必要最低限過ぎるだろ。


陛下はイタリア語からスペイン語に訳す行政文書をまた渡した。


「一週間後までな。」


「かしこまりました。」


「ところで、あのお嬢様はどなた様でございますの。」


「我が娘イサb」


ああフェリペ2世の娘のイサベルか。こっちに転生してから名前は覚えたよ。というかまだ小さいのに王宮で仕事してるのすごいな。転生者でもないのに。


「無礼なやつね。私の名前はイサベル。陛下の娘よ。というかあんた誰?」


メスガキぽい口調で尋ねられた。


「私はフォールド・ダヴィンチと申します。よろしくお願いいたします。」


「そう。美男子だってところ"は"噂通りね。」


「お褒めいただき光栄にございます。」


丁寧に頭を下げる。


フォールド・ダヴィンチは色白の肌、明るい茶髪のサラサラした髪、緑色の目、よく通った、しかし顔の調和を保っている大きすぎない鼻筋、完璧な横顔、筋肉質な体、すらっとした長い足を持つ。


要するに現世での僕の容姿は自他ともに認めるイケメンだ。


前世は容姿はお世辞を言っても普通、はっきり言って不細工という程度だったからイケメンって言われるのは素直にうれしい。


綿の改革を聞きつけたベネチアの年代記作家とミラノの詩人に

「ヨーロッパじゅうの王侯貴族のなかで一番の美男子」とか

書かれたって話を侍女のマリアから聞いたときはさすがにちょっと恥ずかしかったけどね。


なので女には人気があるけど、男にはすこぶる人気がない。


貿易改革も父の偉業で、顔だけで地位をつかんだ男とか、ジェノバのスパイとか、傲慢で尊大で無能なガキとかいうのが多くのスペイン宮廷男の見解のようで、僕を馬鹿にしたり、通ると嫌な顔をしたりする男は多い。


人間関係的には結構厳しかったりするが、前世の中高時代よりははるかにましである。


なんせ男にも女にも敵視されたり無視されたりして、"仲いい"奴らにすらいじめられてたからね。


完全に指定校推薦の枠の為だけに通っていた中高一貫校時代の苦い記憶がよみがえる。


もう悪い思い出を思い出すのはやめよう。苦しいだけだから。転生してまで前世の記憶で苦しむこともないさ。


これが僕の、イサベルとの出会いだった。


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