3話 来いとかいわれた。
リアル時間で2年放置しました。ごめんね。
1578年になりました。
綿布の量は4年前の1.2倍に増えた。大成功だ。その利益の30%を住民には還元してあるので、文句は起こっていない。小麦が安定して食べられるようになったというメリットは大きいだろう。
まあ、ほかの綿貿易をやっているジェノバ貴族はじめ、北イタリアの綿貿易をやっている貴族はみんな同じ手法を取り出してるから、別にフォールド家が強くなってはいないんだよね。綿貿易やっている貴族や商人が全体的に強くなって、衣類の値段が下がっただけで。
衣類の値段が下がったから、思ったより利益がでなかったのが残念ではあるが。
そのころ、遠く離れたスペインの王宮では。
「近年、ジェノバはじめ北イタリアでは綿布の生産量がのびているようだな。」
フェリペ2世がつぶやく。
「綿布の生産が伸びるということは、綿の服は以前よりも安くなりますね。」
フェリペ2世の娘、イザベルがいう。
「その通りだ。メキシコや南米植民地でも綿花を作らせているし、綿そのものの生産量も増やした。先住民を殺すのもやめさせたしな。」
「労働力を殺すとか馬鹿ですからね」
「その通りだ。使える資源を無駄にしてどうする。そういう馬鹿は俺が火あぶりにすると各植民地の担当には言いつけておいた」
「相変わらず父上は物騒ですね。」
「どうせいつもの奴らしかいないし別にいいだろ。俺に歯向かわず、俺の言う通りにしていれば別に悪いことはしないさ。」
「そーですね。」
「ところで、この手法ってだれが考えたんでしょう?」
「ジェノバというところの新興貴族のフォールド・ダヴィンチ。手紙に書いてあった。」
書類しか入っていない"北部イタリア"という棚から一枚の手紙を取り出す。
「その人、寄こしませんか。有能な人材ですよ、多分。」
「それもそうだな。」
そう言いながら、フェリペ2世は新しい紙に来いという文面の手紙をしたためた。
どうも、フォールド・ダヴィンチです。
あっ手紙が来てる。誰からのかな?貿易商のあいつかな?
「フォールド・ダヴィンチへ
いつもお世話になっております。綿布の生産量が増える手法を始めたのは、あなただと伺いました。おかげさまで南米植民地も強化できました。感謝の意と名誉爵位を贈呈したいので、新しく建てた宮殿、エス・エスコリアルへおこしください。スペインに入ったらその旨の報告も忘れずにお願いします。
スペイン国王フェリペより」
やっべぇ。フェリペ2世に来いとか言われてしまった。丁寧な文面も逆に怖い。殺されるんじゃないだろうかという威圧感を感じる。文面は感謝してるのに。
行くか。というか、行く以外に選択肢はない。
早速荷物をまとめ、次の日の朝には旅立ったという。