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王子の本命は……  作者: 猫之面
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王子の本命は…… 「各国との和解、そして…」

国中が祝いのムードに包まれた。


パレードの中心には馬車に乗り、手を振る王子と美しい姫の姿があった。


まるで、数ヶ月前の城の混乱が嘘のように。




ー数ヶ月前ー


王子は考えた。

『自分の予想が正しければ、今、起きている混乱は誤解からきている!!』


妃である母親に自分の考えを話すと、

妃は目を見開き、何かを話そうとしたが声にならなかった。


「この混乱の原因があるとすれば、それしか考えられないのです!」


王子は宣戦布告をしている5カ国、全ての国名を

まだ困惑している母親である妃から聞き出した。


「私は荷造りをして、すぐに国を出ます」


「母上は、私が話した事を父上に伝え、宣戦布告をしている国々へ手紙を送って下さい!」


「他の者達が戻り次第、事情を聞き、私の予想が正しければ皆に揃って5カ国を順番に訪れるよう伝えて下さい!」


王子は、妃にそう告げると急いで妃の寝室へある物を取りに行き、

それを持って、王子は自分がプロポーズをした姫の国へと向かった。


王子は自分の持参した物を、

自国に宣戦布告をした5カ国、全ての王様と妃そして美しい姫君に見てもらい、誤解から生じている混乱である事を説明して回った。


王子は内心、自分の予想が本当に正しいか始めは不安があった。しかし、それ以外に考えられなかった。


各国を回るうち、王子の不安は打ち消され

「予想は正しかった」と確証に変わっていった。


それは自分が持参した絵とともに、聡明な各国の姫君達が王様に、


「プロポーズをして下さった方は、目の前にいる王子様ではありません」


と話してくれたおかげでもあった。


唯一、人魚の国の末姫のみが

「目の前の王子が自分にプロポーズをした王子」

だと話した。


第1王子が家族の肖像画を持って、

5カ国すべてに説明と謝罪をして回り、

自国に戻った数日後、

各国からの宣戦布告は取り消された。


さらに数週間後には、

各国を4人で回っていた

第2王子、第3王子、第4王子、第5王子が、

揃って城に戻ってきた。


ようやく旅に出ていた5つ子の王子が、数ヶ月ぶりに自国の城で顔を合わせた。


今回の混乱の原因の当事者達が集まった事になる。


やはり第1王子の予想通り、5人がそれぞれ別の国の美しい姫にプロポーズをしていた。


なぜ、誤解が生まれたのか?


それは王子が5つ子である事は、できるだけ内密にしていたからだ。


政略結婚や後継ぎ争いで政権を掌握しようと考える者達による国内の混乱を避け、

王子達の身の安全も考え、城内でも、その事実を知るのはごく僅かな者達に限り、噂が広まらないよう最善の注意と配慮をして過ごしてきた。


その事が今回は裏目に出てしまい、1人の王子が各国でプロポーズをしている。

という誤解を招き、混乱に至る原因となった。


唯一、妃の寝室に飾ってある家族の肖像画には、王、妃、5つ子の王子達が描かれていたが、

それも普段は人目につかぬよう妃の寝室の壁に飾り、布で覆われていた。


各国の王に肖像画を見せて説明をした時、

姫達は自分が好きになった王子ではない事がすぐにわかった。


恋した王子と他の王子では、はっきり違いがあった。


王子達は一卵性で、よく似ていたが些細な違いは見る者が見ればわかる。


ホクロの位置、声のトーンが少しだけ違う所、細かな仕草など。


それに、姫を見る眼差しからも違いがあった。


ただ、人魚の末姫は目の前にいる王子が自分にプロポーズをした王子にしか見えなかった。


それは、当然の事だった。


人魚の姫にプロポーズをしたのは、第1王子だからだ。


第1王子は政略結婚ではない、結婚を望んだ。


結婚相手を探す旅に出る許しを父親である王にもらい、表向きは見聞を広める為の旅とした。


5つ子を内密にしていたので、

第1王子の旅中に城に王子がいる事を避ける為に、他の王子達も旅に出る事になった。


しかし、他の王子達は姫を探す目的ではなく、

これから第1王子である兄弟や国を支える立場として、実際に見聞を広める良い機会だと旅に出る事になった。


まさか第1王子以外の王子達までもが、

運命の相手に出会い、それが他国の姫君達で、

プロポーズまでしている。


などとは、王様や妃ですら予想だにしなかった出来事であった。


王様は、第1王子の推測を聞くまで、

『第1王子が各国で結婚相手を探す為に旅をしている話をした結果、誤解が生じて、姫君達にプロポーズをした形となり、他国の怒りを買い、宣戦布告となる騒動に発展した』と考えていた。


まずは、第1王子が肖像画を持ち宣戦布告をしている5カ国を回り、説明をした。


その後、第2王子、第3王子、第4王子、第5王子が、4人揃って5カ国を回り、第1王子の話が嘘ではないと証明した。


姫君は自分の愛しい王子を、すぐに見極める事ができたが、各国の王と妃には見分けがつかなかった。プロポーズしたのが、どの王子であるか分かりやすい顔の違いも伝えた。


第1王子は、右の目尻にホクロがある。

プロポーズしたのは、人魚の末姫だ。


第2王子は、左の目尻にホクロがある。

プロポーズしたのは、ラプンツェル


第3王子は、唇の右口角の上にホクロがある。

プロポーズしたのは、シンデレラ


第4王子は、唇の左口角の上にホクロがある。

プロポーズしたのは、眠姫


第5王子は、顎下にホクロがある。

プロポーズしたのは、白雪姫


肖像画にも幼いながら、しっかりホクロの違いがあり描かれていた。




ーそして、今ー


パレードの中心で国民に手を振り、幸せな笑顔で馬車に乗っているのは、

第1王子と人魚の末姫である。


この数日後には、他国で第2王子がラプンツェルとの結婚式を控えている。


さらに、その数日後には、

他国で第3王子がシンデレラと。

その数日後には第4王子が眠姫と。

そのまた数日後には第5王子が白雪姫と。


第1王子は自国の王の座を継ぎ、人魚の末姫を妃とした。


他の王子達は、姫君達が1人娘だった事もあり、

姫を妃として姫の国の王の座を継ぐ事となった。


各国の王達も後継ができた事、そして同盟国として兄弟の絆がある国との強固な絆が結ばれた事にも喜んだ。


それぞれの国の王となった兄弟達は、交流を続け、5カ国以外の国とも貿易を行い協力しながら、国王となった国の繁栄に努めた。


そして、皆幸せに暮らしました。


ーFinー


完結まで長らくかかりましたが、拙い文章を読んで下さった方々がおりましたら、ありがとうございます。

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