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王子の本命は……  作者: 猫之面
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〜灰かぶりとの出会い〜

とある国の王子が旅をしていた。


王子がある時、辿り着いた国は、

動物たちが多く住む自然豊かな国だった。


この国に入る前、王子は国の手前の森で迷ってしまった。


その時、森で小汚い格好の娘に出会った。


王子は娘に声をかけた。


道に迷ってしまった事を話すと、

娘は笑顔で、森の出口まで案内してくれた。


出口に向かう途中、娘と会話をした。


娘の話は、どれも興味深く面白かった。

動物の話、森の話、空や川の話。


格好は汚かったが、娘の所作は美しく、話し方にも知性があった。


娘に名を聞くと『灰かぶり』と答えた。


王子は、娘に好感を持った。


娘もまた、異国から来た王子に好感を持った。


王子は、端正な顔立に均整のとれた体、凛々しい表情、立ち居振る舞い。

全てが美しかった。


それでいて、小汚い格好の娘である自分にも気さくに接し、娘が案内している間は馬から降りて共に歩いた。


そして、王子が微笑む時の優しく柔らかな表情もまた魅力的だった。


王子は森の出口で娘と別れた。


お互い口には出さなかったが、心の中では

「このまま会えなくなるのか」

と後ろ髪引かれる思いだった。


他国に来て、国王に挨拶をせずに出るのは失礼にあたると思い、王子は、

この国の王に挨拶をするため城へ向かった。


国王と妃に挨拶をすると、森で迷っていた事もあり、もう日暮れだった。


国王の計らいで、今日は城に泊めてもらう事になった。


夕食の時、国王の娘である姫を紹介された。


姫の名は『シンデレラ』


姫は美しかった。


しかし、王子は姫を見て驚いた。


姫が美しかった事ではなく『シンデレラ』は、

森で出会った娘『灰かぶり』だったからだ。


汚れを落とし、綺麗なドレスに身を包んではいるが、王子は灰かぶりだと気づいた。


黄金色の髪、澄んだ川のように美しい青い瞳。

所作や知性のある話し方。

間違いなく『灰かぶり』であった。


食事の後、姫が詳細を話してくれた。


「城の中では、学べない事もある。

自然豊かな自国を守るには、自然についても実際に知っておく必要がある」


「ただ、身を守る為、わざと小汚い格好をして、名前を聞かれた時には『灰かぶり』と答えていた」


「あの時、王子に本当の事を話そうとも思ったが、王子との会話をたまたま誰かに聞かれていたら困るので言えず、騙す形になってしまった」


そして姫は、王子に丁寧にお詫びの言葉を伝えた。


その夜、王子は姫の事を考えて、なかなか眠る事ができなかった。


愛国心と学びに対する姫の姿勢に感動した。

もう会えないと思っていた娘に、また会う事ができて嬉しかった。

娘=姫と会えなくなる辛さを思うと胸が締めつられるように痛んだ。


その頃、姫も王子の事が頭から離れず、

なかなか眠れなかった。


姫は、もう自分の気持ちに気づいていた。


翌朝、姫が早朝に城の庭を散歩していると、

同じく散歩していた王子と出くわした。


お互い、あまり眠れず早朝に散歩をしていたのだ。


王子は、自分の気持ちを姫に伝えた。

「一生、共に過ごしたい」と。


姫は頬を染め、頷いた。


その日、城を去る前に王に挨拶と宿泊のお礼を伝え、姫と森で出会った事など成り行きを話し結婚の許しを得た。


「一度、国に帰り、自分の父である国王にも許しを得て改めて姫を迎えに来る」


と約束をして、王子は自国への帰路についた。


シンデレラは王子が迎えに来ることを心待ちにした。


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