いつか
うかつなことを喋れば、ケイと一晩過ごさなければならないらしい。
そこで、ふとした疑問が浮かぶ。
――最高位と一夜をともにするということは、もしや、ルウの民にとっては名誉なことだったりするのだろうか。
「ルウ族の最高位というのは、民衆から夜の相手を指定したりとか、そういう風習があるのでしょうか?」
唐突なクスナの質問に、キョウもファウも食事の手が止まる。
「あるわけないでしょ。そんな破廉恥な風習」
とファウ。
「……そうですか。そうですよね」
クスナは何か考え込む。さすがに食事中にする話題ではなかった。
「つまり、導師は夜の相手をするためにあの場所にいたの?」
とファウ。
そういえば、この導師は男好きを公言していたのだ。
「……いえ、そういうわけでは」
「ファウ、話聞いてた? 導師とリゾはこのルウの地に雨を降らせてたんだよ」
クスナとキョウ、二人はほぼ同時に喋っていた。
「そう、それ! なんで、雨を降らせてたの?」
「言われてみれば、確かに……」
「えーと……?」
クスナは困った。
今回の事件、公には部外者の愉快犯ということにしてるが、最高位たちは犯人がわかっている。
その犯人であるリゾに償いの意味で雨を降らせた。
それを口止めされているわけだが、キョウもファウも、犯人がリゾとレンだというのは承知している。
雨を降らせた理由は言ってもいいのだろうか?
とはいえ、ケイが一方的に言っただけで、その秘密を守る義理もないといえばないわけだが……
「リゾ本人が、とんでもないことを仕出かしたからルウの民のためになることをしたかったんじゃないですかね……?」
ケイの名前は出さずに、そんな説明をしてみた。
「どうして、導師がそれを知ってたの?」
とファウ。
クスナは、雨が三日降るはずとかそんな予言めいたことを言ってたのだ。
「えーっと……」
クスナは言葉に窮した。
「私は魔導師ですからね、あの結界を通ることができました……」
本当は、結界に穴が空いていたからそこを通ったまでだったが。
おそらく、ケイが秘密にしたいのはあの場所と結界に穴があいてるということだろう。
それを聞いて、キョウが目を輝かせる。
「じゃあ、いつか私も行ってみたい」
「……どうですかね? あの結界を通るのは一人が限界? いえ、何か別に方法があるかも……?」
苦し紛れのクスナの言葉だったが、後にそれは実現することになる――




