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月色の砂漠~帰ってきた行商~  作者: チク


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運命の相手

 意外にもキョウは目を閉じ、普通の寝相だった。

 その様子になんだか安心して、パースはまた寝た。



     * * *


 翌朝――


「すごいね。彼女持ちの男を寝取ったんだね」

 朝帰りのパースを出迎えたシヴァがそう言った。


「嫉妬か。大丈夫。俺は複数を同時に愛せるから」


 その言葉を聞いて、シヴァはオーバーアクションで息を飲み、口を大きく開け、両頬に両手を当てた。

「しちゃったんだ……」


 この際そういうことにしておこうなんて思ったパースだった。





     * * *


 そして――


 昼になる前に、シヴァは帰ることにした。

 ルウの地ではたこ焼きはそこそこ売れた。

「また、来るよ」

 と、見送ってくれるパースに言い残して。


 最後にまたキョウを見てみたいというシヴァの希望で、二人は遠回りだがキョウの家の前を通る。


 キョウは子どもたちに剣の指導をしていた。

 パースは話しかけようとしたが、それをシヴァが止めた。


「邪魔しちゃ悪いからさ。ただ見るだけにしておく」

 少し離れた位置で、シヴァはキョウを見ていた。




 そして……


「すごく珍しい。あんなの初めて見た」

 と、シヴァ。

「魂、半分喰われてるよ」


「………?」

 パースはきょとんとなる。

「キョウが? 魂半分喰われてるってどういうことだ?」


「僕が聞きたい。元はそうとう強い魔力があったから助かったんだろうけど、それがなかったら……」

 シヴァは首を横に振りながら語る。


「死んでたってことか?」

 と、パース。

 シヴァは無言で頷く。


「本当に?」

 パースが信じられない思いで聞き返す。


「まあ信じなくてもいいよ」

 と、シヴァ。

 別にシヴァの言葉を疑っていたわけではないのだが。


「大事にしてあげてね。パースの運命の相手なんでしょ」

 シヴァはパースの肩に手叩く。

 応援のつもりのようだ。


「あぁ」

 シヴァに言われた通りにしようと、パースは思っていた。


   終

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