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月色の砂漠~帰ってきた行商~  作者: チク


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22/23

「大丈夫か? 添い寝してやろうか?」

「………」

 キョウは怖い夢を見たのだろう。涙目になりつつ、パースの顔を見ていた。

 なんだかその表情が誘ってるかのように見えたパースは自分を戒めた。


「悪いな。俺がベッドで寝てたから、お前、椅子で寝てたんだろう? ベッド空いたから」


 キョウはパースの左手をつかんだ。

「……パースは機械じゃないよな?」

 キョウは怯えてるようだった。


「機械が怖いか?」

 パースは静かに聞く。


 キョウは首を横に振る。

「わからない。ただ、そんな夢を見たんだ」


 その時だった。

 外で、ゴンという物音がした。

「わっ!」

 キョウがパースに抱き着く。

 大した物音でもなかったが、よっぽど怖い夢でも見たのだろう。




「今日はいてやる」

 とパースはキョウの頭をぽんぽんする。


 時間的にも距離的にも帰れなくもないのだし、キョウに断られると思ったが……


 キョウは頷いた。

――こいつ、男もイケるんだっけ?

 と期待したパースだったが、ベッドは二つあった。パースは残念がる。

 だがパースの主義として彼女持ちの男に手を出すわけにもいかず、別々のベッドに寝るのだった。





     * * *


 深夜――


 さきほど、ミンの邪眼で寝てしまったせいか、パースは寝付けずにいた。

 聞くとはなしに、キョウの寝息を聞いていた。


 シヴァが言ってたように、キョウから魔力をまったく感じない。

 だが魔力がまったくないのなら邪眼にかからない訳もなく……?



 ミンがなぜキョウを狙ったのかも気になった。が、パースなりに予想がついた。

――ミンがキョウに惚れていたんだろう。

 彼女持ちのキョウに掘れてしまったなら辛いだろう、なんて少し同情してしまう。

 それはパースの誤解かもしれないし、そうじゃないかもしれない。


 ミンを惚れさせるなんて、キョウも罪作りな男だ。

 ふと、キョウはどんな寝方をしてるのか気になった。

 さっきみたいに目を見開いて寝てるのだろうか?


 パースは立ち上がり、恐る恐るキョウの顔を覗き込んでみた。

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