邪眼
ミンは独り言のようにつぶやく。
「キョウに邪眼をかけようとしたのか?」
ガイルはますます怖い顔になる。
ミンはそんな弟の怒りを気にするでもなく。
「髪を切られたのといい、何かあるわ」
それから、ミンはキョウのことを嗅ぎまわるようになる。
が、結局は何もわからず仕舞いに終わるのだった――
* * *
パースは目が醒めた。
ベッドの中で寝てるのはわかった。
ここはキョウの家。
――そうだ! ミンがキョウに邪眼をかけて…… それにキョウではなくて、パースがかかって眠ってしまった……
慌てて、周囲に目を配るとキョウはいた。
ひとまず安心した。さらわれでもしたんじゃないのかと思ったのだ。
キョウは椅子に座り、テーブルに手をついていた。
「キョウ?」
パースは起き上がり、キョウに声をかける。
返事はない。それに様子がおかしい。
キョウは微動だにせず、目は開いたままだ。
死んでるのかと焦ったが、息はしていた。
「キョウ? 寝てるのか?」
パースは見たことなかったが、稀に目を開けたまま寝る人間もいるらしい。
キョウもそういうタイプなのだろう、と納得しかけた時……
キョウの体が震え出した。
「キョウ? 大丈夫か?」
キョウは目を見開いたまま、がたがた震えていた。
パースは、思わず背中をさすっていた。
その時、キョウの灰色の髪が金色に見えた。
パースは驚き目をこすった。
その一瞬で、キョウの髪は灰色に戻っていた。
気のせいか? いや、確かにキョウの髪は金色だった。その時、キョウが動いた。
椅子から落ちないかと危惧したパースは、キョウの体を両手で支える姿勢になった。
キョウはパースの腕の中で震えていたが、やがて顔を上げパースを見た。
「パース」
「大丈夫か? 怖い夢でも見てたのか?」
「あ? あぁ……」
キョウはまだ震えていた。




