散歩
「キョウ?」
その時、妙な空気を感じたパースが出てきた。
「どうし……た!?」
呑気に構えていたパースだが、驚愕した。
ミンは邪眼を放っていたのだ。それもかなり強力だ。
完全に油断していた。
パースの上体が揺れた。
そんなパースを、キョウが支える。
「パース?」
――ミンの狙いは、キョウだ!
パースはそう確信した。
でも何故? と疑問だったが、それ以上は考えられなくなった。
強烈な眠気だった。
パースは必死に何か訴えようと、キョウの腕を強く握っていた。だがその手からも力がなくなり眠ってしまっていた。
「おい? パース!」
「なんか眠っちゃったみたいね。疲れてたのかしら?」
ミンの瞳は妖しく光ったまま、キョウを見つめていた。
「眠った?」
キョウは疑問に思う。
さっきまで普通に話してたし、眠たそうな雰囲気もなかったのに。
とはいえ行商から帰ってすぐに市場を開いてその準備もしてたわけし、疲れてても不思議ではないのだが。
「パース? 運ぶぞ」
キョウはパースを抱え、中に運ぼうとした。
「待って。あなたは何も感じないの?」
「悪い。後で聞くから」
キョウは早くパースをベッドに寝せてやりたかった。
「じゃあ、いいわ」
と、ミンは付き添いの兵士と一緒に帰って行った。
「うん?」
キョウはなんだかおかしな気もしていた。
だが早くパースを寝せることに気が回り、ミンのことはあまり気にしていなかった。
* * *
キョウの家から出て少し歩くと、ミンは弟のガイルに会った。
「あら、優しい弟ね。迎えに来てくれたの?」
「キョウに何もしてないだろうな」
ガイルは身長一九〇センチほど。なかなか威圧感がある。
だが、ミンにとっては実の弟。さほど気にするでもなかった。
「怖い顔。何もしてないわよ。というより、何もできなかったわ」
それを聞いて、ガイルは怪訝な顔になる。
「……邪眼にまったくかからないのはどういうことかしら?」




