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月色の砂漠~帰ってきた行商~  作者: チク


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19/23

夕方の訪問-2-

 その意味に気づいて、キョウは赤くなった。

「いや、その時は導師もいたし」

「導師ってレファイ家の魔導師?」

 キョウは頷く。


「えー? 気が利かない男だな」

 と、言いつつもパースはにやにやしている。



 キョウが動揺しているその隙に、パースは思い切って聞いてみた。

「なあ? なんで髪切られた?」


「……これは自分で切った」

「あの女隊長さんが人質に取られたんだって?」

「誰から聞いた?」

 一応は、ルウ族皆口外しないことになってるはずだった。


「内緒だけど、ランズから聞いた。犯人は誰かわかってるのか?」

「あぁ……あ! いや」


 パースはやれやれとため息をつく。

「言わないってことは犯人の素性は知ってるってことだろ? ルウ族の中にいるのか?」

「………」

「……お前が喋ったって誰にも言わないから」

 パースは小声で聞いてみた。


 キョウは手が止まったまま、だんまりだったので。

 パースはじっくりキョウを見る。

 よほどのことがあったんだろうと推測はするが、キョウは黙ったままだ。


「悪かったよ。そんな言いづらいなら聞かないよ」



 その時、キョウの家のドアが呼び鈴が鳴った。




     * * *


 キョウがドアを開けると、玄関にいたのは意外な人物。

 ミン・ラテーシアだった。


「こんばんは」

 ミンは、一番隊隊長であるガイルの姉であり、強い魔法使いである。

 ミンは一番隊の兵士と来ていた。


「ちょっと、夜の散歩しててね」

 ミンはにっこりと微笑む。


「そうなんだ」


「月が奇麗よ」

 とミンはキョウの手を握り、外に引っ張り出そうとした。

 後ろに控えている兵士は、なぜか下を向いてキョウとミンの方を見ないようにしている。


「あの、客が来てるから」

 キョウは、ミンの手を離した。


「え???」

 ミンは意外そうに目を丸くした。


「ねえ? それよりも……」

 ミンはじっとキョウの瞳を見つめた。

「私の目を見て……」


 キョウは不思議に思ったが、言われた通りミンの目を見た。

「……? ゴミは入ってないみたいだよ?」


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