傘
「あぁ。そっちじゃなくて、この相合傘もできる大きめの傘にしたらどうだ?」
「あいあいがさ?」
「知らないか。男女二人で一本の傘を使うことを相合傘っていうんだ」
パースは大きめの傘を持ち、開いて見せた。
「これなんかいいんじゃないか?」
右手で傘を持ち、左手で傘を開いたパース。
キョウには、その表情が一瞬曇ったように見えた。
さらに、キョウの目にパースの左手の肘から小さく火花のような光が見えた。
ほんの一瞬だった。周りの誰にも見えてないようだから、やはり気のせいか。
パースの開いた傘の柄、星空を散りばめた模様で三日月があしらわれていた。
キョウはその傘が気に入った。ファウも気に入ったようだ。
「じゃあ、そのあいあいがさにする」
「あ、いやいや、相合傘ってのは男女二人で一本の傘をさすことをいうのであって、これはまあ、普通の傘」
「ふうん?」
キョウは買った傘を広げてみた。
数歩、ファウと並んで歩いてみたが、さすがに目立つと思い傘をたたんだ。
二人並んで歩く様子はのどかだが、少し前に壮絶なことがあったのだ。
*
「ねえ? あの人なの?」
と、パースに問いかけたのは、シヴァだった。
シヴァも行商に混じり露店を出していた。
シヴァは行商たちに用心棒として雇われたのだが、出会ったきっかけはシヴァがたこ焼き屋を開いていたからだった。
たこ焼きというものを知らないパースは、シヴァにルウの地でたこ焼き屋を開いてみないか?と誘ったのだ。
道中シヴァが意外に強いこともわかり、用心棒と観光も兼ねて商売のためやってきた。
「ところで、今のがキョウ・テセティア?」
「ああ」
「確かきれいな金色の髪って言ってなかったっけ? 僕、どんなきれいなのか楽しみにしてたのに」
シヴァは、行商に行ってる期間の用心棒としてパースといろいろ会話していた。
その間、パースはよくキョウの話をしていたのだ。
「見せたかったなー。本当にきれいな金色だったんだ」




