変貌
* * *
次の日、ルウの地は盛り上がっていた。
行商たちが一か月ぶりに帰ってきたのだ。
行商は地方を回り、ルウの地の産物を売り、また各地の珍しいものを買ってくる。
ルウの地中央の広場では、行商たちが露店を開いていた。それをルウの民は市場と呼びお祭りみたいになるのだ。
行商たちのほとんどは四番隊と兼任である。
「そこの女隊長さん、傘はいかが?」
ファウに声をかけたのは、四番隊隊長でもある行商の男――パース・ソナリアだ。
その露店の前で、ファウは足を止めた。
「珍しい。傘か……」
ファウは少し考え、
「少し前に雨降ったし買おうかな……。これ」
ファウが取ったのは紫陽花柄の傘だった。もっともファウはその花の名前は知らなかったが。
ファウは、パースにお金を払った。
「じゃあ、私も買おうかな」
と、隣にいたキョウも傘を選んでる。
ファウの隣にいたのがキョウだと気づいて、パースは驚いた。
「……え? お前、キョウか? 髪、どうした?」
パースは、ファウの隣にいた男がまったくの別人だと思っていた。
キョウの長くあざやかな金色の髪は、今や灰色の短い髪へと変貌していた。
一か月、ルウの地を離れていたパースが、キョウの髪のことを知らないのも無理はなかった。
さらに。
ファウとキョウが二人一緒にいるのも、パースには不思議だった。
「……お二人さん、出来てたのか」
「うん、そう」
赤くなり否定しない二人に、パースはさらに驚いた。
「ええっ!? キョウ! お前は俺の運命の相手じゃなかったのか……」
このパースという男は、男女関係なくこういう台詞をよく言うのだ。
「あははは……」
いつものことなので、キョウはパースのセリフを本気にはしていなかった。
「そうか。まあ、うん、おめでとう。だからきれいな髪をばっさり切ったんだな?」
*
「あ、まあ……うん」
この際そういうことにしよう、とキョウは思った。
「この傘にしようかな」




