第3話 運命の番
「じょ、女王…戯れが過ぎます!俺はただの平民です!おやめください!」
「冗談などではない。お前も感じているのだろう?この抗いようもない運命を。」
「はっ…?運命……?
…っ!!まさか!!」
「そう、そのまさか。」
「「運命の番」」
カムイの頭は混乱していた。
しかしながら一つだけハッキリしているものがあった。
女王の薫りに、強烈に惹かれているということだ。
かいだこともないような、芳しい、花の香り。
「褐色の肌に、銀髪、緑色の目…私は嬉しいよ。”運命の番”がこんな美しいやつで。良い子が生まれそうだ。」
「…っ、勝手に話を進めるなっ!!番!?そんなの他にいくらでもいるだろうっ!お前ほどの権力者ならいくらでもΩのやつを囲えばいい!なぜ俺なんだ!」
「…運命だから。」
「ふざけるなっ!俺は認めないぞ!それに運命と言うなら、それは俺にとってシーラだ!!俺はシーラを愛しているっ!!お前の戯れでなぜ俺たちが引き離されなければいけないんだ!」
従者「おい!お前!無礼だぞっ」
「はっ、愛している?それは結構。だがお前も感じているだろう?この抗いがたい運命を。」
「くっ…」
たしかに、体はこいつと離れたくないと言っている。だが…っ!!
「運命なんて糞食らえだ!
俺の心は、シーラを求めている!!」
「…ふん。心、ね…。
いつまでそんな強気なこと言ってられるかな。」
「なんだと…?」
「だって、ほら。お前…」
ズクンっ
自分の体に違和感を覚えるカムイ
「薫りが強くなってきてるぞ?」
「っっ〜〜〜〜〜〜!!!!」
熱いっ…身体がアツイ…っ
なんだよこれ…っ!!
身体が溶けそうなほどあつい…っ
「ふっ。なんとタイミングがよいこと。本当に私のために在るような子ね、カムイ。」
まさか…っこれが……
あまりの身体の熱さに声が出せないカムイ
「そう、それが発情期。」
女王がニヤリと笑う。
「αの従者はコレにあてられる前に下がりなさい。残りのβで寝室の準備を。さっそく篭るぞ。」
「俺を…っ、はぁっはぁっ…どうする…気だ…!!!」
「私のもの、にするのよ。」
「や、やめろ…っ!!!」
「そやつの恋人は王宮から追い出せ。」
「イヤッ!!カムイっ!!」
「くっ…シーラ…っ!!」
身体がイウコトヲキカナイ。
「カムイ…っ!!」
目に涙をたくさんためているシーラ
その涙をぬぐいたいのに
身体が思い通りに動かせない。
「シーラ…シーラぁあああ!!!!」
シーラは部屋から連れ出され、部屋の扉は固く閉ざされた。