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第二話

前回のあらすじ


・家から出ようとすると外に、緑の小さな生物がいた。

「…………」

「鈴木さん? おーい鈴木さん?」


 緑の小さな生物は俺の目の前で飛び跳ね、俺の視界にちょくちょく入ってくる。

 それに対して俺は嫌な汗をかきながら、固まっている。


「鈴木さん!!」


 緑の小さな生物は強く俺を呼んだ。

 その声で俺はようやく我に返ることができた。

 

「は、はい!」

「ハンコお願いします」

「は、ハンコですよね、ちょっと待ってくださいね」


 俺はカバンの中を必死に探す。

 せっかく整理して用意したものを入れていたが、そんなのを気に止めてなどいなかった。

 なにより俺は今目の前に起こっているこの状況に理解ができなかった。 


「あ、あった。は、はいハンコです」

「それじゃあここにお願いしますね」

「はーい……」


 俺は気を使いながら指さされた部分にハンコを押す。

 指定された部分には見たこともない文字のようなものがびっしりと書かれていた。


「はいオッケーでーす、それじゃあ荷物の方なんですけども……この大きな段ボール三つになりますね~」


 緑の小さな生物はそういうと、三箱積み上げられた段ボールを片手で持ち上げる。


「はぁ」


 俺は力なく返事をしてそれらを受け取る。

 それらはお米10㎏を4個ほどの重さである。


「お、重い……」

「まぁそりゃあね。きしししっ」


 ……いやいやいやいや! おかしいでしょ!!

 この緑の生物軽々と片手で持ち上げてたよね!?

 てか明らか身長おかしいし、それに頭から生えてる角みたいなのはなんなんだ!?

 まず宅配便なんて頼んだ覚えないんですけど!?


 まぁ頭では困惑しているものの、ゆっくりと足元に段ボールを置く。


「あの佐藤さん……そんなにじろじろ見ないでもらえますかね?一応これでも女なので……」

「あぁいやそんなつもりじゃないんですよ!」


 いやそんなつもりじゃないってなんだよ俺!!

 てか女!? 絶対性別詐称だろ!!

 いやまず人じゃねえし!!


 ……そしてなんで不審者を見る目で俺はにらまれてるの?


「……まぁまた何かあったらぜひゴブゴブ宅配サービスをご利用ください」

「あ、はい」

「ではまた……あ、忘れてました!」


 緑の小さな生物はそういうと手に持っていた紙の控えの部分を切り取ると、俺に押し付けてくる。


「その控え大切に持っていてくださいね。きしししっ」

「は、はい」


 俺はポケットに突っ込むと、それを確認した生物は「うんうん」と二回頷く。

 そして見たこともない亀のような巨大な生物にまたがると、鞭のような茶色いもので叩いた。


「…………」


 俺はそれをただ無言で見ている。

 すると2秒ほどおいてその亀は大きなうなり声をあげた。


「ブオォォォォォォォォォ!」


 俺のほうを向いて、鼻息と、を吹きかける亀。

 少し鼻水のようなものが飛んでくる。

 べたべたとはまではいかないが、少し濡れてしまった。


「それじゃあまた来まーす!」


 大きい亀が空を駆けていく。

 それを見た俺はさらに呆気にとられる。


 ありえねぇ……

 こんなことが現実になっていいのか……


 そんなこと思いつつ冬の寒い風が顔に当たるなか、俺は……


「ははははは、そうか夢か……」


 現実逃避に浸っていた。

第三話でいよいよミーシャが出てきます!


ここまで読んでいただきありがとうございました!

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