跪く。《( ゜д゜)》
馬車を降りて目の前にそびえ立つ建物を見上げた。思わずため息が出る。
「さて、王城…心の準備はできてるし…行くか。」
「お待ちして降りました。こちらです。」
入り口で俺を見つけた騎士達荷物を預けて兵士達の案内についていく。
「では、私達はこれで。」
騎士たちが遠ざかって行く。目の前には荘厳な雰囲気の扉。
なるべく音を立てずに開く。開き終わり、突然の光に目を瞑る。
目を開けると、そこには夥しい数の市民。そして、豪華絢爛、と言う言葉が似合う様な男が1人、中央にいる。
あれが、王か。オーラが違う。普通の…いや、誰もが彼に跪くだろう。
…だがな。
「やっぱり…人間至上主義なんて…気に入らねぇ。」
憤り誰にも聞こえない様な声で1人呟く。
【夥しい】の中に、亜人は1人もいなかった。
「–––––。–––––」
気迫の入った大臣の声が聞こえる。王の側近でいられる事がそんなに嬉しいのか。
王が3つの神器を手に持つ。歪神の剣には高級そうな布が、神焔の杖には美しい帯が巻かれていた。蒼石の双竜は煌びやかな箱に入っている様だ。
蔑んだ目線を心の底に沈め、王に跪く。
「受け取らせて、いただきます。」
そう呟くと、市民からの盛大な拍手を耳に受けた。
これを以って儀式は終了するらしい。
「早くヒカリに会いたい…」
王が退場したあと、俺も静かに立ち去った。
ギルドに戻ると、職員から褒められ、Bランクになった。やったぜ。
歪神の剣を使ってみていいか、と聞いたところ良いですよと返事が返って来たので早速使う事にした。
職員たちも楽しみなのだろう。
俺は出口を向いて剣を構えて
後ろに使わない廃木材を置いてもらった。
念のため廃木材から離れてもらい、剣を縦に軽く振った。
ばばばばばばばばしゅばしゅばしゅ!
はいもくざい に 12044 の ダメージ!
はいもくざい は こっぱみじん に なった! ▼
煙が引いたと木、思わず目を見開いた。
廃木材の中心として、球を描く様に斬撃の跡が見えた。
周りの目が完全にシリアルキラーを見る目だー!
「まさか此処までの斬撃とは…。」
思わず呟いた一言にギルド職員も頷いた。
そして、一枚の紙を差し出された。
【契約書】と書いてある。あっ…もしかして。
「…コホン。申し訳ありませんが悠也さん。訂正があります。」
咳払いの後の言葉で全てを察した。「…何でしょう。」
「ギルド内、いえ都内では絶対にその剣を振るわないでください!」
わかりました、と言って剣を懐にしまう。
それじゃ、家に戻りますかね。
ヒカリがいることを祈って家に足を進めた。