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たったひとつの冴えない能力(ちから)  作者: 相田 彩太
第五章 最悪の勝利者
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その8 希望の挑戦者たち

 天野も驚愕していた。無敵と思われる防御を朝顔が破った事に。

 天野は必死に思考を廻らす。

 よく考えろ、私は何か間違えていた。

 まず、力押しでは通じない。

 私の仮説通り総帥の防御に限界があり、それを超えれば通じるとしても、今の私達ではそのレベルに達しない。

 だけど、あの光の壁の防御を突破するしか勝利の目はない。

 どうすれば突破できる。事実、朝顔が突破したのだ。方法はある、方法があるはずだ。

 そもそも、どんな攻撃も防ぐ壁を持っていたとして、普通に生活出来るのか。

 常時展開していたなら、誰も総帥に触れる事すら適わない。

 熱いシャワーを浴びる事も、いや熱々のコーヒーを飲むことすら出来ないだろう。

 不意打ちが効かない事は狙撃の結果からも明らかだ。

 だから、あの壁は自動防御の機能を備えている事は間違いない。だったら、その発動条件を見つければ。

 天野はギッと風船を睨み付け能力(ちから)を込める。念動力(テレキネシス)では無い、精神感応(テレパシー)能力(ちから)だ。

 割れろ!

 その意志の力に光の壁が出現し、それは阻まれる。

 やはりだ。私の仮説が間違っていなければ、あの光の壁は自動防御、そしてその発動条件は……

 一定以上の威力、もしくは悪意・敵意に反応する!

 その考えに到って、天野は再び下を向いた。

 発動条件は分かった。だがそれを突破するのは難しい。

 もしくは”or”条件なのである。

 威力があってもダメ、悪意・敵意があってもダメ、両方持っていても当然ダメ。

 先程の朝顔の攻撃が通ったのは、悪意も敵意も威力もなかったから。

 彼女は総帥を慕っていた。

 総帥を傷つける意志があった訳ではない、ただ憤っていたのだ。

 優しいと信じている存在がみんなを傷つけた事に。

 そしてその拳には威力は無かった。

 事実、腹で受ける分には問題なく、たまたま、玉にあたったから、ああなったのだ。

 だけど、どうする、どうやって風船を割る。

 天野の前に自らの影が写る。それを見て、天野はひとつの考えに到った。

 「止めろみんな!」

 天野は叫んだ。

 「そう言われても、止められないっすよ」

 「そうそう、俺らにも意地があるんでね」

 立ち向かっている者達は既に片手で数える程に減っていた。

 「勘違いするな馬鹿ども! 作戦が出来た! 皆は所定の位置で待機、雑賀はそのままオフェンス。時が来たらポイントを伝える。海下と朝顔はこっちに来てくれ」

 作戦という言葉に皆の目に輝きが戻る。

 「ホントかよ!」

 「信じていました」

 「やっぱ頼りになるぜ兄貴」

 みな口々に叫んで総帥の元から離れていく。

 ただ一人残った雑賀は、総帥の攻撃を必死に受け止めていた。

 「やるぞリン! 俺達で勝利を掴むぞ!」

 「ああ、お前が勝利の鍵だ!」

 もう下は向かない。強い意志を胸に抱いて天野は立ち上がった。

お読み頂きありがとうございます。

ここではリンが総帥の絶対(と思われる)自動防御の秘密を見抜く話です。

ですが、本作のコンセプトとして「分かってもどうにもならない」という面があるので、真の攻略はこれからです。やっとコメディ要素が出てきました。

今回の小ネタは「勝利の鍵だ!」ガオガイガーの次回予告の後の一枚ですね。

もちろん勝利の鍵は雑賀ですよ、主人公ですもん。

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