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スケスケ

作者: 川里隼生

 男なら誰もが一度は想像するものである。女性の服が透けて見えたら。


 20になろうとしている俺も、そのような妄想に耽る1人だ。なぜこんな寂しい妄想をしなければならないかと言えば、回答は単純。見せてくれる相手がいないから、である。


 今日も今日とて前の机に座るサオリ先輩の一糸纏わぬ姿がどうか見えますようにと唱える。中学生の頃から全く進歩していない。


 あるとき不思議なことが起こった。脳内に直接声が聞こえてきたのだ。

「願い……聞き届けたり……」

 えっ、と顔をパソコンの画面から上に向けると、先輩がどうしたの、と尋ねてきた。他の先輩や同僚たちも不思議そうに俺を見た。


 謎の声とコンタクトを取ってみる。

「それは、見れるということか?」

「そうだ……全て丸見えになる……」

「俺は何か代償を払わなければならないのか?」

「不要だ……」


 それを聞いてすぐに取引した。さて、先輩の背中に意識を集中する。


 すると、白い線が見えた。これは背骨だ。内臓も見える。確かに丸見えだ。契約内容に偽りなし。いや、違う。俺の予定以上の透け具合だ。こうじゃない。


 しかし何と言っても無料でもらった能力だ。こんなものなのだろう。諦めてパソコンの画面に視線を戻し、文書を作成する作業に戻る。


 画面が見えない。基盤が視界いっぱいに入り込んでいる。これも透けている。パソコンをまともに操作できなくなった俺は、みるみるうちに業績を落とした。


 今日もキーボードを闇雲に押すしかなかった。はあ、と息を吐いた。おや、何か聞こえるぞ?


「パソコンも使えないなら消えれば良いのに」


 誰の声だ? 待て、この声には聞き覚えがある。そうだ先輩の声だ。うん?


 聞けば聞くほど、俺を罵倒する内容だ。まさか、あの優しい先輩が? 先輩の本音が、透けている。

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― 新着の感想 ―
[一言] BDでは内蔵までくっきり見えます! スケスケは、BD特典
2016/04/02 00:50 退会済み
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