プロローグ
初投稿です
主人公はプロローグ以降登場します。
青春のせの字も経験してないのにいまどきのJKの心なんて描写できるんですかね...
__1945年7月18日 アメリカ ニューヨーク州マンハッタン
一人の男が郊外の公園、そのベンチに座っている。自国産の葉巻をふかしながら、両手に持つ日刊紙に目を通していた。
程なくしてもう一人、男が現れてベンチに座る男の隣りに座った。挨拶もかわさずあとに来た男が先に来た男に言う。
「タバコくらいにしか金をかけられないお前が、よくそんな安タバコを買おうとおもったな」
葉巻を吸う男は相手を目して「最近、"節約"を考えるようになっただけさ、アーサー」と言った。アーサーは「フンッ、あんなべらぼうに金のかかった計画に参加しといてよく言うぜ」と少しキツめに返事をする。
葉巻を吸う男はフッと笑うとうつむき、アーサーを見ずに話を続ける。
「アメリカが開発したアレは恐らく世界を変える。すさまじいスケールでね」
「戦争はもちろん、産業、医学、生活、エネルギー、世界中の人間がこういった物の変革に飲み込まれていくだろうね」
「・・・原子力(atomic power)か」
「そう、人間は悠久の歴史の中で新たな技術革新を成し得た。これから全く新しい時代が来る。たとえ望まずとも。我々は創りあげてしまった」
「・・・・・・・・・」
「アーサー、軍人の君は二日前に行われた実験の話を聞いてきっと不安に思ったはずだ。それは変革への不安、変わりゆく環境に自分もまた変わらざるをえないと言う、外側からの圧力への恐怖」
男は葉巻の火を消して続ける。
「そうさ、アレによって戦争は変わる。戦略も、戦術も、戦後も。どんなに人が嫌がっていても、変わってしまうんだ。変わることができない人間は時代という大河に置いて行かれたまま、死んでゆくんだ」
そう言うと男はそろそろ時間だと言ってベンチから立ち上がり、「まあそうだね、戦争が終わればゆっくり会おう。アトミックパワーは人と人との友情にまで影響を与えたりはしないさ。いや、脳科学的には原子の作用が働いたりするのかな?まあいいや、それじゃあまた今度」
このおっさんたちの会話の二日前、世界初の原爆実験が行われました。