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反抗声明  作者: みざり
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亜竜狩り・終



 さて、ザッカート達のいる場所に戻ってきたわけですが、亜竜の始末はまだ終わっていません。残り10匹程しかいませんが……。

 これはわざわざ私が出る必要はなさそうです。


 「はぁ……、今日は大した収穫にはなりませんでした」


 ブレスはクテルの黒靄で吸収し、爪などの物理攻撃はザッカートが防ぐことで、レーヴェを攻撃に集中させています。

 相手の能力がわかっていることを除いても、即席の連携としてはまずまずでしょうね。


 「おや?……腐っても竜種、その程度の知恵はありましたか」


 亜竜達は追い込まれた状況の中でようやく危機感を覚えたのか、クテルの黒靄を突破するために残り少ない数でブレスを合わせてきました。


 「ザッカートも禁呪抜きであのブレスを防ぐのは厳しいでしょう。クテルがぎりぎりで粘れていますが、それもすぐに破られますかね?」


 クテルは死にそうになれば変化するでしょう。けれど亜竜の魔力を喰らった状態で変化させるのは少し不安があります。出来るなら万全の状態で挑みたいところです。


 「もう手出しする気は無かったのですが……」


 魔力を解放し、ポケットから取り出したものを亜竜の内の一匹に投げました。


 『蝕み、花開け』


 亜竜に投げたのは植物の種でした。

 もちろん、ただの種ではありません。私の魔力にさらし続けたものです。

 これは私が考えていることなのですが、この世界の生物、特に魔獣の類はやけに強い力を持っています。

 前の世界の記憶を持っている私からすると不思議で仕方ありませんでした。

 そこで思いついたのは、前の世界とは大きく違う点、魔力の存在でした。なので私は実験として、元は普通の植物に魔力を過剰供給し続けました。いくつもの植物が枯れていく中で生まれたのが先程投げた種の植物でした。


 種は私の魔力を持った言霊に反応し、芽を出しました。

 私の魔力が植物の変異を促したせいか、この植物は私の魔力に反応して芽を出し成長します。

 芽は亜竜に取りつくと急速に成長を早めます。亜竜は必死になって身をよじり植物を取り払おうとしていますが、まったく効果がありません。

 仲間の亜竜達も突然のことに驚きブレスを止めてしまいました。


 それを好機と見たレーヴェとザッカートが魔術を編み上げました。


 『獣王舞刃』

 『巨骨の一握』


 『獣王舞刃』は風属性の魔術の上級魔術です。巨大な爪が降り下ろされたように、何匹かの亜竜が切り裂かれたました。

 『巨骨の一握』は水属性ではなく、その上位の氷属性に当たります。そして、この魔術はまだ魔術の第一段階でしかありません。本来なら氷の全身骨格を造り上げるのですが、今は片腕しか呼び出してません。まぁ、全体を造るのは禁呪となるので今のザッカートは使えませんが……。


 最初に種を投げた亜竜は、全身に根をはった植物に魔力や血を吸われて干からびていました。植物の方は亜竜が力尽きた時点で養分や魔力を一点に集めて、真っ白で綺麗な花を咲かせていました。

 この植物、最初の言霊で花を咲かせるようにしておかないと、際限なく繁殖し魔力を集め続けます。

 一度、花を咲かせないようにした時の光景は繁殖というよりも侵食といった感じでした。


 最後の一匹がザッカートの魔術によって握り潰されました。今日はこれで終わりですね。

 あまり目に見える範囲では大きな成果もありませんでしたが、クテルは亜竜の魔力を吸収したので何かしらの変化はあるはずです。

 それを確認するのは、また今度で良いでしょう。

 今日は亜竜の死骸の片付けをして帰るとしましょう。


 『闇よ、広がり飲み込め』


 亜竜の死骸も綺麗さっぱり無くなりました。この言霊は回収用に作ったものなので、後々、飲み込んだものを取り出せるのです。

 亜竜の素材は一級品と言っても問題ないものですが、まだ大量にいますから値段も下がるでしょうけれど。


 近寄ってきたクテル達に帰ることを告げ、歩み始めます。

 まだ日も高いので日が暮れる前には帰りつくでしょう。本当なら転移などの魔術などが欲しいのですが、細かい指定が必要なので言霊の力技では無理ですし、魔術も転移などになるとまだ発達していない部分が多くて存在していませんでした。


 亜竜の素材が手に入ったので何か移動用の魔導具でも造ろうかと考えましたが、今は気にすることもないでしょう。


 「ザッカートは錆落としぐらいにはなりましたか?」


 後ろにいるザッカートに振り返ることなく尋ねました。


 「ええ。ですが、帰ってからもう少し剣を振ろうと思います。」

 「そうですか。レーヴェとクテルはどうでした?」

 「……強化が強すぎ」

 「あのでっかいの美味しくなかった……」


 どちらも苦々しい様子ですが、クテルの言葉には謎があります。

 

 「レーヴェはまだまだ鍛練が足りません。あの程度の強化なんてアナタの目標からしたら誤差の内にならないといけませんよ。あとクテルは何と言いました?」

 「あのね、あれ美味しくなかったの」


 ふむ、確かに亜竜の、というよりは魔獣の肉は特殊な処理が必要なものが多いですが、彼女は生で喰ったのでしょうか?いくら貧民街育ちとはいえそこまで餓えさせていませんし、亜竜には近寄ってさえいなかったのですから。


 「もしかしてブレスのことを言っていますか?」

 「そうだよ、あのバーッてやつ!」


 腕を広げ全身で亜竜のブレスを表現する様はとても可愛らしいのですが、あの黒靄は味覚も備えていたんですね……。

 隣でレーヴェが、ブレスって何味? と小さく呟いていますが、たぶん混乱していますね。私も少し混乱しています。


 面倒なので考えるのは止めました。考えるのは全部、明日に回してしまいましょう。

 今日は湯浴みをしたら、すぐに寝てしまいましょう。


 黙ってしまった私にクテルがどうしたの? 聞くので、何でもないです、と私は答えました。

 クテルの手を掴み、再び言葉を交わしながら歩みを進めました。

 





魔術には属性ごとのモデルがあります。

風属性の獣なんかがそれですね~。


風属性→獣

水属性→妖怪

地属性→地母神

光属性→天使、神様


みたいな感じです。作中にない火属性はどうしようか、ない頭で考えております。

闇属性と無属性はあえて決めてないです。


気にしている人がいるのか、いないのかわからないお話は置いといて、

ここまで読んでくださり、平にご感謝を



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