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反抗声明  作者: みざり
20/29

盗賊退治


 申し訳ありませぬ。遅れた上に短いです。



 兄が第二王女を娶ることが決まった日から一週間が過ぎました。

 けれど第二王女が公爵家に来ることになるのは、まだまだ先のことです。よって公爵家は表面上は変わることのない日々でした。

 その間に、クテルに能力を制御させることに費やしました。その甲斐あって黒靄は自由に出し入れできるようになりました。まだ体を変化させるのは上手くできていませんが。

 その能力の制御訓練の中でわかったことですが、どうやら黒靄は魔力の無効化だけではなく、魔力の性質を吸収する特性もあったようでした。

 これに気付いたのはクテルの魔力性質が、私の魔力性質に近づいていたからでした。

 本当に驚いたことですが、クテルの能力はキメラとしてのものだけでなく、蠱毒自体が反映されていました。

 つまり、クテルは竜の魔力を得られれば、竜の存在に近付くことも可能なわけです。


 それは喜ばしいことではありましたが、私を含めザッカートやレーヴェにとっては焦りを感じることにもなりました。

 今でさえ、クテルとの特訓は時間停止こそ使っていないとはいえギリギリのところなのです。

 これから先、クテルは色んなものと戦い、魔力を得ることになるでしょう。そのために生み出したのだから当然のことではあります。

 けれど能力を全て使いこなせば、クテルはより強くなるでしょう。そして強くなればなるほど、もしもの時に彼女を止めるのが困難になってしまいます。

 私だってまだ幾つかは隠し玉はありますが、味方を止めるために使うのでは本末転倒です。



 ですので、これからしばらくは実力を上げるためにも、ギルドで依頼を受けようと思っています。



 そういうことで、現在、盗賊退治の依頼を受けています。依頼難易度は二級といったところで。わりと実力のある盗賊らしいのが依頼を受けた理由です。

 何の縛りもなくやれば潰すのは簡単ですが、それでは実力を上げることにはならないので、私とザッカートはそれぞれ縛りがあります。

 私は魔力解放の禁止、ザッカートは魔術禁止です。ちなみに誰が一番殺せるかの賭けをしています。




 「~♪」


 鼻歌まじりに盗賊達の砦を歩いています。

 盗賊達は古い砦を寝ぐらにしていました。この砦はかなり前から使われていなかったそうですが、そこに盗賊達が流れてきたようです。

 余談ですが、公爵領でギルドに盗賊退治の依頼が出されるのは、公爵家に成果の幾らかを支払わないところだけなのです。家は表向きはそれほど悪い部分はありませんが、裏じゃ真っ黒ですから。

 聞いたところでは、ここの盗賊達の数は大体百を超えるか、超えないかぐらいだそうです。

 砦に入ってから殺したのは十人ほどです。魔力解放を使うつもりがなかったので声をあげる前に手早くやりましたが、ザッカートとレーヴェが殺すより速く、あと三十人ほど殺す必要がありますね。

 次の敵は盛大に殺すとしましょう。

 そう決めるとすぐに次の獲物を見つけました。


 

 「テメェ、何者だ!?」

 「派手にすると決めたものの、どうしようかというのは悩みますね。火属性はこんな古いところだと崩落しちゃうかもしれませんし……」

 「質問に答えやがれ!?」


 意外と悩ましいものです。一番派手なのは確かに火属性なのですが、やはり崩落の危険を考えると少し躊躇いがあります。


 「よし、決めました」

 「そうかよ、とっとと死ねやァッ!!」


 『獣天咆哮』


 使うことにしたのは風属性の魔術でした。

 『獣天咆哮』は大気を圧縮し、前方に解放するという風属性の魔術ですが、空気を解放するときに凄まじい音を発生させます。殺傷能力はわりと低いのですが、込めた魔力量の影響とあの至近距離で受けたこともあり、男は挽き肉のようになってしまいました。

 音を聞きつけ、様子を見に来た盗賊どもがぽつぽつと集まってきました。

 さてさて、もう一仕事するとしましょう。




* * * * *




 盗賊の砦に凄い音が響いた。まず間違いなく、トゥーリ様だと思う。


 トゥーリ様の奴隷になってから、色んなことがあった。

 冒険者として活動することも多かったから、盗賊退治に関しても結構、受けたこともあった。

 けれど今回はトゥーリ様とザッカートさんも参加しているから、取りこぼすこともないだろう。

 あと何故か殺した数を競っている。

 『私より多く殺せたら、大抵のお願いは聞きますよ?』と言っていたので、少しはやる気を出してみようかと思う。


 盗賊の集まるところなんて、そんなに変わらない。

 大体は食べ物のあるところか、女の人がいるところに集まっている。今回は古い砦だから食堂にあたる場所に行こうと思う。


 少し急ごう、さっきから砦に響く音の間隔が速くなってるから。




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