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反抗声明  作者: みざり
15/29

蠱毒は終わり、眠りに沈む


8/24 タイトル、ミスってたので変更






 さて、蠱毒の儀式は終わりを迎えました。

 最後に残ったのは、幼い少女でした。残ったというより、わざと残したのですが。

 別に残るのがむさい男なんて嫌だ、なんて理由で少女を無理に操ってまで、生き残らせたわけではありません。違うと言ったら、違うのですよ?


 なんて冗談はさておき蠱毒の終わりに、結界に閉じ込められた負の感情や魔力といったものが少女に集まります。

 貧民街にいた人間はおおよそで一万人ほどでしょうか。そんな数の人間から集めた負の感情や魔力は、当然ながら普通の人間が触れようものなら発狂してしまいます。

 確かに強くても、敵味方の区別がつかなくては意味がありませんから、少しでも狂わない可能性のある少女を残したわけでした。

 発狂する可能性があることに気づいたのも蠱毒の最中でしたから、少し焦りました。そんな中で偶然見つけた、私の魔術を弾くほどの心の強さを持った少女。

 可能性としては先程の男とほんのわずかしか変わりませんが、それでも高いに越したことはありません。

 そんなわけで少女、というか見た目的には幼女ですね、を選びました。


 なんて考えているうちに、全てが幼女に収束し終えたようです。

 どのような変化があるのか、楽しみですね。




* * * * *




 あのあと、幼女はぶっ倒れました。

 別に負の感情や魔力に苛まれて、とかではなくて純粋に衰弱していたのが原因でした。

 それもそのはず、元々、死ぬ手前の状況にあったのですから倒れても仕方のないことでした。こういうときには回復魔術では体力までは回復できないのが歯がゆく感じます。


 「ひとまず容態は安定していますから、すぐに死ぬなんてこともないでしょう」


 現在、公爵邸に戻ってきました。

 さすがに、いつまでも貧民街にいるわけにもいきませんし、眠かったこともありましたから。

 娯楽も少ない今世にて、夜更かしする理由もありませんから寝るのは早くなるのです。……夜の運動をするというのもありますが、生憎、こちらはまだ十二才なのでそこまで飢えてないのですよね。せいぜいレーヴェを虐めて遊ぶくらいです。


 「ザッカート、とりあえず今日はもう戻っていいです」

 「良いんですか?その娘はまだ目を覚ましていないですが」

 「構いませんよ、たぶん朝まで起きることもないでしょうから」

 「それならお言葉に甘えて、失礼させてもらいます」


 ザッカートのその言葉に、おやすみなさいと答えてレーヴェと幼女を挟むようにして眠りにつきます。

 明日、この幼女がどんなものを見せてくれるのかを楽しみにしながら、眠るとしましょう。

 今夜はいい夢が見れそうだ、それではおやすみなさい。




* * * * *




 夜に幼女が暴走を迎えるなんてこともなく、穏やかに眠りました。

 いつもより少し起きるのが遅いですが、それでも普通からすれば十分早いでしょう。まだ幼女どころかレーヴェさえ起きていませんから。


 いつものように柔軟を行ったあと、座禅を組んでいると、どうやら幼女が目覚めたようです。

 少し身じろぎしたあと、起き上がろうとしたのでしょうが、失敗してベッドに倒れこみました。まぁ、随分と衰弱してましたから当然の反応でしょう。

 ベッドに倒れこんだままの幼女に近寄り、声を掛けます。


 「目が覚めましたか。体はどうでしょう?」

 「……アナタは?」

 「そういえば、自己紹介がまだでした。初めまして、トゥーリ・トラバリンと言います。アナタのお名前は?」

 「……クテル」


 警戒した様子で答えてくれます。その警戒は正しい反応ですが、あまり意味のないことでもあります。


 「そう警戒しなくても、取って食べたりはしませんよ。ところで目はちゃんと見えていますね?」


 その言葉に、クテルはハッとなりながら目を押さえました。どうやら目が見えていることに違和感はなかったようですね。

 クテルは言わば、一万人近い人間の集合体です。多少の意識が混濁していてもおかしくはありません。主人格はクテルのものでしょうが、無意識下ではごちゃ混ぜになっているはずです。そして、その大多数が目は見えていたのですから、違和感もなかったでしょう。


 「混乱するでしょうけれど、今は湯浴みにでも行きましょうか」


 未だに混乱して言葉のでないクテルに告げます。

 昨日は時間がアレでしたから、クテルの汚れも軽く拭うくらいで済ましました。なので、起きてからずっと汚れているのが気になってたんですよね。

 そのためにも、滅多に使わない呼び鈴で使用人を呼び出し、湯浴みの用意するように言いつけます。


 「それにしてもアナタはいつまで眠っているつもりですか?」

 「……むぎゅっ」


 未だに起きる気配のないレーヴェをベッドから叩き出しました。下は柔らかい絨毯ですから、怪我もないでしょう。


 「うぅ?」

 「湯浴みに行くから準備してください。湯に浸かれば、目も覚めるでしょう」


 最近、レーヴェは奴隷としての自覚が薄いですね。少し苛めてやろうか、と考えているとレーヴェがすごい勢いで準備を始めました。


 使用人が呼びに来ました。湯浴みの準備ができたようです。

 動けないでいるクテルを抱きかかえます。お姫様だっこというヤツですね。それにしても軽いこと、一体幾つなんでしょう?見た目的には五才ほどですが、思ったより言葉ははっきりしていますから、発育が悪いだけでもう少し上の年齢かもしれません。


 疑問に思うこともありますが、ひとまず湯浴みに行くとしましょう。

 何、時間はまだまだあるのですから。




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