決着。あるいはプロローグ
空には暗雲が立ち込め、地は鳴動し唸りをあげる。
正に闇が世界を覆うその中で、まるでこの世の邪悪を圧縮したような「魔神」と、世界の希望を一身に背負うかのように神々しい「機神」が、お互いを見据え、対峙していた。
生半可な攻撃等では傷もつかないであろうその体は、しかし両者ともに深く傷ついており、決着が近いのだと感じさせる。
そして、幾らかの時が過ぎた後…ふいにその時は訪れた。
「行くぞダークロア!父さんの遺志とっ!みんなの希望っ!そして、俺の勇気を力に変えてっ!必殺!トリニティ・エンドッ!!」
少年の掛け声と共に、神々しい機神が吼える。その手に持つ剣が、体が金色に輝く光をまとい、機神が、魔神へと突撃していく。
「良かろう。これが貴様の最期だ。デス・ヴァイオレット・インフェルノォッ!」
対する魔神もその三対の拳を前に突き出し、紫雷を纏わせ、膨れ上がらせる。
その禍々しき余りにも膨大な暴力の奔流は、今違わずに金色の機神へと放たれた。
激突する2つの力は拮抗し…しかし、金色の機神が禍々しき稲妻を調伏し、その剣を魔神へと突き立てた!
「グゥッ!?バ…バかなッ!!これが人の…絆の力だというのかぁぁぁぁぁっ!?」
「そうだ!そしてこれが…お前を倒す、正真正銘、最後の一撃だぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
その叫びと共に機神の剣から激しい光があふれ出す!
「ファイナルッ、ブレイクッ!!」
「こ、この電脳魔神、ダークロアが、敗れるなど…っ!お、おのれカイザー!そしてサガミ・コータあああああああぁぁぁぁぁぁ…!!」
怨嗟の声とともに魔神が消滅し、辺りに満ちていた禍々しい気配が晴れていく…それは、正に魔神が打ち倒されたことの証明であった。
「父さん…俺、やったよ…見ててくれたよな…」
果たして世界を混沌の海に堕とそうとした電脳の魔神ダークロアは、同じく電脳の機神カイザー、そしてそのパートナーであるサガミ・コータによってこの世界より消え去り、この世界は平和を取り戻したのであった。