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真相①

 郁人たちが城へ向かう準備をしていると、いきなり窓をノックする音が聞こえ、窓を開けると小十郎の姿がそこにはあった。

 まさか本人が直接来ると思っていなかったようで、四人は思いっきり動揺してしまう。


「え、閻魔様! まさかここに直接来られるなんて!」

「そうじゃ! 言ってくれれば、すぐに行ったのじゃぞ?」

「城ばかりでいると気が重くなるからな。こういう息抜きも必要だろ?」

「そ、それはそうだけど~」


 昼間のバカにしていた様子が嘘かというぐらい、テンパっている三人の姿が郁人にはちょっとだけ面白かった。いくらバカにしていたとしてもやはり直接は言えないらしく、まるで某ネコアニメのキツネ顔を思い出す。

 三人は急いで、小十郎が座るイスやお菓子などを慌てて準備し始める。

 郁人はその間、完全に傍観していた。


「こ、こら! お主も畏まらんか!」

「知らないっての」

「何を言ってるんですか!? 一番偉いんですよ!!」

「そうだよ、せめてそういう風な雰囲気だけでも出しなよ!」


 必死にそういう三人を郁人は無視する事にした。

 小十郎にそういう風な態度を取らなくていいような気がしたためである。理由は分からなかったが、自分の直感を信じる事にしたのだ。

 小十郎はイスに座りながら、三人を手で制して、郁人への注意を止める。


「度胸はついたみたいだな」

「おかげさまで」

「このままグダグダ話していても仕方ないし、本題について話すか。確か夢の話だったっけか?」

「そうそう……ん? なんで知ってるんだ?」


 郁人はそのことについて、三人には話したが小十郎に話したはずもないのに、そのことについて知っている事が気になった。

 三人を順番に見てみるが、三人も首を横に振る。

 小十郎を見ると微かに口端を歪めていた。


「昼間の話を聞いたからな。おっと、普段から聞いてるわけじゃないが、そういう能力があったっておかしくはないだろ? まぁ、俺は不器用らしいから、三人には言ってなかったかもしれないが……」


 その声に三人の身体は跳ね上がる。


「思いっきりバレてんじゃん」

「じ、冗談ですわ」

「うんうんうんうん」

「ワシらが本気でそう思っているわけがないであろう」


 完全に声が震えている三人。

 むしろそこまで動揺していたら、遠まわしに言っていたと認めているようなものである。

 軽くでも小十郎の事をバカにしていたのだから、このまま弄られる姿を見るのも楽しいかもと思ったが、それよりも夢の事の方が大事だったため、郁人は助け舟を出す事にした。

 

「昼間の件は後にするとして、あの夢の原因って分かる?」

「たぶんの話になるけどな。んー……その前に、だ。お前らにその覚悟があるのか?」


 小十郎は意味深に郁人だけではなく、燐、エイミー、メアリーにまで指差して尋ねる。

 この三人も何らかの関連があるからこそ、郁人と連動して同じ夢を見ていることが今分かっている唯一の情報だったが、小十郎の問いの意味が分からず、三人とも首を傾げた。

 何に対する覚悟をすればいいのか、分からないからだ。

 しかし現状を打開するためにはその答えを聞くしかないため、三人には頷く以外の選択肢はない。

 三人は少し困った顔をしつつも首を縦に振った。


「じゃあ、教えてやろう。郁人には言ったが、ここに連れてきた理由が『あのまま人間界にいると死ぬ』からだ。そのことを思い出したみたいだが、その死因を教えてなかったな」

「うん、聞いてない」

「あれはな、道路に飛び出した猫を助けるために郁人も飛び出るんだが、間に合わずトラックに轢かれて死ぬ。つまり事故死だ」

「えぇー!? そんなので俺死ぬの!?」


 郁人は驚きを隠せなかった。

 むしろ死因がよくある展開過ぎて、逆にびっくりしてしまったのだ。

 小十郎が記憶を消してまで隠し通したかった死因が意外としょうもない。

 三人なんて必死に笑いを我慢しているらしく顔を逸らしている。が、バカにしているのが丸分かりだった。


「んで、その猫は助かるのか?」

「いや、死ぬ」

「おい! 助けた意味がないじゃん!}


 我慢できなくなった三人失笑していた。

 身を挺して救ったわけでもなく、最終的に両方死ぬのだから、全く良い方向になっていない。最後の最後までこんな感じだと今まで生きてきた人生の意味について考えたくなってしまう。

 あのまま人間界にいるよりも、ここに来る事が本当の正解のように思えてきたことに郁人はかなりショックを受けてしまった。

 しかし、小十郎の追撃はまだ続く。 


「もうちょっと加えると、郁人と出会わないほうが猫は死なない」

「俺はその猫にとって死神か何かかよ!」

「だからここにいるんだろ?」

「うん、そうだねー」


 郁人は真っ白に燃え尽きたように棒読みで答えた。

 せっかく好意で助けるつもりが、逆にそっちの方が猫にとって不都合な展開になるなんて考えたくもなかった。


「くくく、報われんとは……」

「お、お腹がね、捻れ……そう、ですわ」

「ごめ、ごめんね。それは、お、面白いよ……」

 

 後ろの三人は小十郎の前だというのに我慢が出来なくなり、お腹を押さえて爆笑し始める。

 無性に腹が立ったが、自分でもそれが聞く立場だったら三人と同じように笑っていだろう。

 そのため、止めることが出来なかった。


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