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「おや、いらっしゃい」


 喫茶店に入るとマスターらしき人が金髪に声をかけて来る。

 彼らの服装を見てと特に気にしないあたり、彼らの人徳だろう。


「後一人来るんだけど」

「壁際の席はどこも空いてるよ。注文は来るまで待つのかい?」

「いや、遅くなるかも知れないから」

「あいよ」


 壁際の席は確かに空いており、ガラスの壁越しに外が見える席を選んで全員着席する。


「全員、ホットでいいな」

「却下!」


 金髪を除く全員の声がハモった。


「このクソ熱い真夏になぜホットなんです、金髪先生」

「なんでこんなところで我慢大会やんなきゃなんないのよ」

「お前、汗腺ないのかよ」

「な、なんだよ。みんな、ちょっとしたジョークじゃないか」


 みんなに攻められ、金髪がたじたじになっていたところにウェイトレスがやってきた。


「お決まりになりましたか?」


 全員を代表して誠が答えた。


「彼がホット、他はアイスティー」

「も、もがっ」


 金髪が反論しようとするが、誠以外が口を覆う。

 何事もなかったかのようにウェイトレスは一礼して戻っていった。


「……お前ら、鬼だな」

「それよりも、その女の子。ここ知ってるのか?」

「ああ、俺らが見つけた時、ここに連れてきたんだ」

「なるほど」

「さっきの続きだけど、お前が知っているのはそれだけか?」


 ここへ来る途中に歩きながら、誠は知っている事は話してあった。


「ああ、俺自身はカミキリバサミなんて聞いた事なかったし、千里は詳しく聞ける状態じゃなかったし」

「まぁ、俺らの時もそうだったなぁ。さすがにもう落ち着いていると思うが、有益な情報があるとは限らんぜ」

「ないよりマシだ。やられっぱなしは性にあわねぇ。特に俺ならまだしも千里に手を出したんだからな」

「あいかわらず妹ラブはかわってないなぁ」

「あいつは俺と出来が違うのさ。俺みたいな教師ぶん殴って高校クビになるような馬鹿に出来る事なんて、体張ってくぐらいしかねぇさ」

「どんなコだろ。千里ちゃんて。会ってみたいわねぇ。ね、ね。今度、連れてきてよ」

「冗談。千里が悪い影響受けそうなお前らに合わせられるかよ」

「ひでー」


 赤い軍団が全員で合唱する。

 その時、ドアに付けられてるベルが鳴った。

 見ると、制服姿の女子が店に入って来ていた。


「あ、湊ちゃん。こっちこっち」


 金髪が手招きすると、小走りにこっちに来る。


「ちょっとちょっと。金髪先生。あんた、授業さぼらせたの?」

「え? あ、え?」

「普通に考えて、今授業中じゃない? ねぇ、誠クン」

「まぁ、そうだな。千里は今日は美容室に入ってるけど、普段なら授業受けてる時間帯だな」

「金髪先生、減点マイナス5ですね」

「ちょ、いきなり5点。ていうか何点満点?!」


 少女は誠達のテーブルに来るなり開口一番にこう言った。


「髪切られた人、後何人って言われたんですか?」


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