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 街へ出ると真っ赤な服装の4人組みに出くわした。

 いかにもカラーギャングです、といった身なりだが、そういった連中特有の暴力的なオーラを発していない。


「よー、誠」


 その中でも頭の金髪が一際目立つ青年が気さくに声をかけてくる。


「よお、金髪先生。またサボりか?」

「退学になった奴に言われたくねぇっての」

「それも、そうか」


 金髪の周囲が笑いに包まれる。

 ちなみに金髪先生というのはあだ名で本名じゃないし、そもそも本名を知らない。

 ただ、見てくれほど悪い連中じゃないのはわかっていた。

 そもそも知り合ったのが、悪質なカラーギャングにからまれている誠を救ってくれたのが縁だ。

 それ以来、仲間とはいかないまでも声を掛け合う仲にはなっていた。

 外見に似合わず、街のゴミ拾いやお年寄りの荷物を持ったり、道案内したりとボランティアまがいの事もしている。

 服装が赤いのも、強調性があっていいじゃんとの軽いノリかららしい。

 その為、街の道沿いの店とかからはむしろ評判がいいし、顔も広い。

 今日、誠が街に出てきたのは彼らに会う為だったが、さっそく会えるのは運がいい。


「なぁ、最近、変な噂聞いた事ないか?」

「噂って? 言っちゃなんだが噂なんていくらでも事かかないぜ、どんな噂だ」

「それがはっきりしないんだが……カミキリバサミって知ってるか?」


 一瞬、金髪を含めて彼らが凍りついた。


「知ってるのかっ?!」

「その前に、どこで聞いたその噂」

「俺の妹からだ。そいつに髪を切られたらしいんだが、正体が分からなくて」


 金髪が仲間を振り返ると、他の赤い服装の連中も顔を見合わせている。


「な、なんだよ。知ってるんだろ?」

「……まぁ、知ってるっていうか、なんて言うか。どうする?」

「”本人”に説明してもらったらいいんじゃないですか? 電話番号教えてもらったんでしょ」

「なんで知ってやがるっ?! じゃ、なくてだな。大丈夫か?」

「気丈そうなコだったし、大丈夫じゃない? それにあんた得点かせぐチャンスじゃない? なんだかんだで電話かけれずじまいでしょ?」

「だぁっ、だから、なんで俺のナイーヴな心理状態を読むんだ」

「あはは、だってあんた分かりやすいんだもん。だけど、どっちにしてもカミキリバサミの件は、あのコに聞くのが早いんじゃない? ネットで検索しても全然ひっかからなかったじゃない」


 真っ赤に染めたショートヘアの少女の言葉に、誠も内心頷いていた。

 昨晩、パソコンで調べてみたが、それらしいものがみつからなかったのだ。


「犠牲者二人か。さすがに放っておく訳にもいかないか。あー、誠。そっちの話も聞かせてくれよ」

「勿論。話せる事は少ないと思うけど」

「かまわねぇよ。俺らのテリトリー……って言うと大げさだけど、目の届く範囲で女の子泣かせるような奴がいるのは許せねぇからな」

「って、どこいくんですか。金髪先生」

「どこって電話だよ」

「ここですればいいじゃない」

「どこでかけようと俺の自由だろうっ。てか、ついてくるなお前ら」


 真っ赤になりながら、逃げ回る金髪を追い回す赤い服の軍団を誠はもとより通行中の人間がクスクス笑っていた。


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