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 街路樹の縁に腰を下ろして休憩する。

 何故か、今日は秀和は来ない気がしていた。

 やがて空が赤く焼けてくるまで座っていたが、最後まで秀和は現れなかった。


「ん?」


 脇においたバッグが震えている気がした。


「まさか」


 ジッパーを開いて中を覗くと白紙の本が微かな燐光を放っていた。

 手にとって見ると燐光は弾けて消えてしまった。

 ただ、本のタイトル部分には、『カミキリバサミのいる場所』と書かれていた。

 ページをめくっていくと手書きのように見える地図と矢印、そこを通る時の注意事項などが書かれていた。


「とりあえず、役には立ちそうだな」


 本を片手に立ち上がり、誠は暗くなりつつある街を駆け出した。



*---*



 本の案内はなんというかショートカットだった。

 普通は通らない道。

 道ですらないもの。

 通ってはいけない場所すら平気で矢印は示している。

 しかし、普段なら躊躇するはずの誠は、ためらいなく指示に従う。

 ページをめくっていくうちに当初に目的としていた場所が変わっていっているのに気付いていたからだ。

 目標が移動しているのだ。

 13人目の犠牲者が出てからでは全てが遅い。


 間に合ってくれよ。


 ページをめくりつつ誠は走り続けた。



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