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東方白來伝  作者: 冴月(元:九尾の白狐)
紅霧の異変
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吸血鬼と、巫女と。それから・・・

タイトルが適当すぎる……すいません

 壁につけられた松明が、紅い壁をうっすらと照らしながら、不気味に燃えている。

 メイドの後を着いて歩いていた霊夢は、この館の趣味の悪さを改めて噛み締めていた。

「おい、まだなのか? いくらなんでも長すぎるぜ」

 魔理沙が愚痴を言う。いかにもつまらなそうに、自分の髪の毛を弄っていた。

「……あの扉の先よ」

 咲夜が足を止める。咲夜の視線の先には、紅い、大きい両扉があった。

 霊夢は言った。

「……従者のあんたは行かないのかしら」

「従者が主人に逆らえるわけ無いでしょう?」

 主人を止めるのが従者の役目でしょう……と言いかけたものの、異変を解決しにこの館に忍び込み、その従者をボロボロにした霊夢達が言えることではなかった。

「さて……じゃあ行くか」

 魔理沙が扉に手を掛ける。霊夢も、反対の扉に手を掛けた。

「よっ……!」

 二人一緒に扉を押す。扉は、見た目以上に軽く、簡単に動いた。




□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■


 紅い館が見えてきた。既に何度か見た光景でもある。

 走ってくる俺に気づいた美鈴が、こちらに手を振ってくる。

「白夜さん!」

 俺を呼ぶ。その表情は、とても真剣なものだった。

「美鈴! どうしたんだ?」

「お嬢様が! 変なんです!」

「そうです、私が変なおじ……ごめん。変ってどんな感――!?」

 突然、爆音が響く。思わず耳を塞いでしまうほどの大音響が、紅魔館から響いた。

「今のは……」

「なんか大変な事になってそうだな……美鈴、行こう!」





 紅魔館の中はやけにホコリっぽかった。あの、完璧で、洒落ているメイドが居るのに、だ。

 更に、先に進むにつれて、瓦礫が落ちていたり、壁が傷ついていたりもしている。俺は、だんだんとただ事では無いような気がしてきた。

「……なぁ、美鈴。弾幕ごっこで、こんな傷できないよな……?」

 それは、明らかに砕けちった後。壁が、非常に大きな力で壊された後だった。

「……お嬢様とパチュリー様は、博麗の巫女の相手をしている筈だから……まさか!」

 妹様。美鈴は言った。

「フランって、狂気は収まったんじゃ無かったのか?」

 以前、紅魔館に少し居候していた時は狂気なんて感じなかった。レミリアも、パチュリーも、「フランの狂気じみた面は薄くなってきた」と言っていた。

「……実は、妹様。戦いになるとまだ狂気じみてしまうんです」

 美鈴が壁の穴に触る。どこか悲しそうだ。

 美鈴は言った。

 完全には治りきっていない。弾幕ごっこや、美鈴が咲夜と定期的に行っている「訓練」等を見ると、まだ狂気が溢れてくるそうだ。以前、その状態で、弾幕ごっこなんかに加わった時はかなり大変な事になったらしい。

 こちらが何を言っても言う事を聞かず、ただひたすらに大量の弾幕を放ち、モノを壊し回ったそうだ。

「今は、お嬢様が異変を起こしています。その対処に館の者達は追われているから、妹様は暇しているでしょう。……もしかしたら、その『暇つぶし』として暴れているなら……」

 美鈴はこっちを向き直り、真っ直ぐな目で言った。

「すいません、白夜さん。妹様探すのを手伝っていただけないでしょうか?」

「乗りかかった船だ、了解だよ」

 そんな状態のフランを放っておける訳が無い。

「よし、早く探しに……うん?」

 コツン、と。何かが足に当たる。

「これは……麟の簪?」

 紅い木の実を模した飾りがついている……間違い無いだろう。

「……なぁ、美鈴。麟見なかった?」

「見てませんよ? ……まさかそれって麟さんのですか?」

 黙って頷く俺。もしかしたら、フランになにかされている可能性が……そんな考えが頭をよぎる。

「……いやいやいや」

 無いだろう、そんなこと。麟のちゃんとした実力は分からないが、あの妖夢に対抗出来るくらいだ。逃げることくらいは出来るだろう。

「……心配ですか?」

 美鈴が聞いてくる。俺は、麟が家出してしまった事を話した。

「それは……理由は分かりませんが、ここにいる可能性があるのは確かです。直接あって話してみましょう」

 美鈴が先に進んでしまった。……考えるより動けって事か。

「……なんも起きてないでくれよ!」

 俺は、心の中で祈りながら美鈴の後を追った。




□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


 扉を開けた先には、真っ赤に染まった部屋が広がっていた。

「趣味が悪い部屋ねぇ、目がおかしくなりそうだわ」

 目を細めながら、ぼそりという。

「お譲様の意向よ。私の考えじゃあないわ」

 フンと鼻を鳴らしながら答える。

「それより、あいつ。なんだか相手してほしいみたいだぜ?」

 魔理沙が前を指さす。

「……主の私を差し置いてお喋りとは。いい身分になったもんね、咲夜」

 冷ややかな声が響き、クスクスと笑い声が続く。

 声は何処から聞こえるのか……辺りを見回すが、何もない。

「お客様のお相手をするのがメイドの役目ですわ」

 空中を見つめる咲夜。目線の先には誰もいない。

 しかし、突然。何処からとも無く現れたコウモリが一点に集まり出した。

 そして姿が現れる。

「博麗の巫女に……ただの魔女か。こんなのに負けたのね、あなた達は」

 羽をはばたかせながら、言う一人の吸血鬼。紅い月が天窓に映るその光で、影がいっそう大きく感じられる。

「やっぱ使えないわね。人間って」

「……従者は主によく似ると言いますが」

「そんなこと言わないわ」

「なら、主より優れている場合もあります」

「……それは咲夜が私より優れているといいたいのかしら?」

「誤解ですわ」

 ジロリとメイドをにらみつける吸血鬼。

「まあ、いいわ。それより貴方」

 私を見る吸血鬼。

「ここまで来てなんの用かしら。生憎だけど、出口は反対側よ」

「悪いけど用ありよ。この紅い霧を止めて欲しいの」

「無理ね。住みにくくなっちゃうわ」

「……じゃあ、やられても文句はないわね」

 私は、数枚のカードを提示した。

「ルールは分かってるわね?」

「ええ」

 吸血鬼もカードを提示する。

「なあ、霊夢。私も混ぜてくれよ」

「あんたは、そこのぼろメイドと端で見てなさい」

「ちぇっ」

 不満そうに、後ろに下がる魔理沙。

「……残念だけど、貴方の望みは叶わない」

 手のひらに妖力の塊を生み出し、宙に浮かべる。

「運命が、そう決まってる。もし、それでも抗うのなら……」



「望みを抱いたまま溺死しなさい!!」



まだまだ続くよ!


自分の予想では、後数話かな?



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