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東方白來伝  作者: 冴月(元:九尾の白狐)
紅霧の異変
56/67

永遠に幼き紅い月

遅くなってすいません!

色々生活が新鮮すぎて、ちょっとづつしかかけなかったためこんなに遅く……。


※今回、文章前の空白がおかしくなっているかもです。なっていたらごめんなさい!

 相も変わらず、と言ったところだ。紅くて、薄暗い通路を、勘を頼りにして進んでいく。

 勘……というところが少々「不安」であるところだが、彼女にとってそれは不要。普通の人のものとは一線を越えた彼女の勘は、弾幕ごっこ時において、何かなくしたものを探す時、誰かの悩みを解決するときでさえも役に立つ。しかもそれが外れる事はない。それは度便りにできるものなのだ。

数分経ったころだろうか。上うえからよく効く声がかかった。

「ああ、いたいた。少しぶりだなぁ」

 魔理沙が、目の前に下りてくる。乗っていた箒から降りて、「よう」と声をかけてくる。

 少し前に二手に分かれたはずだったが……通路が合流している。終わりは近い……と言うことなのだろうか。

「少しぶりね……何かあったの?」

 ところどころについた薄いきり傷や、服の端が切れているのが気になり聞いてみた。

「いや、たいしたことないぜ。刃物を持ったメイドに襲われただけだ……おっと」

 魔理沙が体を後ろにそらす。数秒前まで体があったところを、ナイフが通り過ぎていく。

「……さあ、ナイフ狂のお出ましだぜ」

 魔理沙の向いている方向を見る。

「はぁ……はぁ……ふふっ、探す手間が省けたわ」

 そこにいたのは、先ほど私が倒したメイド長だった。しかし、なぜか服はぼろぼろになっていて、体に傷もあり、息継ぎもつらそうだった。

「……魔理沙、やりすぎよ」

「あいつが先に仕掛けてきたんだぜ?」

 私は悪くない、とばかりに笑みを浮かべる魔理沙。とても、悪い顔をしている。

「……奇術『エターナルミーク』!」

 メイドが仕掛けてきた。魔力でできた青い弾が、なりふり構わず打ち出される。

「乱暴な人は、嫌われるぜ?」

 ほぼ同時のタイミングで横に飛び出す。弾は、床に音を立てて消滅した。

「……ねえ」

 相手が放つ弾をよけながら、魔理沙に聞く。

「なんだ? 私はよけるのに忙しいんだぜ」

「あのメイドってさ、門番のやつが言ってた奴よね。時間を操るとか言う」

 お祓い棒で弾をうち払いながら聞く。

「だろうな。無駄に瞬間移動してくるし」

「ってことは、門番が言ってた一緒に調べた人って、あいつでしょ?」

「まぁ、そうなるな」

「じゃあ、何であいつの主人を止めようとしてる私たちに弾幕をはってくるのかしら」

「私に言われても……あいつに聞いてみるしかないな」

 魔理沙が、懐から小さい八卦炉を取り出す。そして。

「恋符『マスタースパーク』!」

 光り輝くレーザーが八卦炉から飛び出す。メイドか放った弾幕を巻き込みながら、突き進む。

「っ!? きゃあ!!」

 避ける間もなく、レーザーに巻き込まれる。

「……あっちゃー、ちょっと強すぎたか」

 ぷすぷすと煙を上げる八卦炉を見つめる魔理沙。少し申し訳なさそうに、頭をかく。

「うぅ……やられた」

 服がぼろぼろになり、倒れているメイド。

「さて……いろいろ喋ってもらうわよ」

 メイドに近づく。メイドは起き直り、尻餅したような形になった。

「……さっきの巫女と魔法使いね」

「何よ今更」

 ……わけの分からない、何を意味不明なことをいっているのかしら。でも、なんか……。

「……なーんか、さっきと雰囲気が違うな」

 魔理沙が呟く。

「やっぱりそう思う?」

 じぃっと、メイドを見つめる。メイドは、私たちの顔を見回し、あたりを見渡した後、うーんと考え込んだ。

「うーん、なんかはっきりしないわね」

「なにがよ」

「記憶が。なんかぼんやりしてるのよ」

 「でも……」とメイドが続ける。

「お嬢様のことだけが頭にあったのよねぇ。……大丈夫かしら」

 ……? 言っていることがよく分からないわ。

「もしかして不思議ちゃん?」

「不思議ちゃんってなによ。私はメイド長よ?」

 ムスッとした顔になる。魔理沙が口を開いた。

「まるで別人みたいだな。さっきまで殺気がバンバンだったのに」

「操られてでもしてたんじゃない?」

「その根拠は?」

「勘よ」

「……」

 こいつ駄目だ……と、目で訴えてくる魔理沙。

「まあ、でも。その線かもなぁ……となると、憑依されたか能力か」

「あー、お嬢様は吸血鬼よ?」

「じゃあ、チャームってやつじゃないか。吸血鬼の服従させる能力」

「その線かしらね……それじゃあ、メイド。あんたの主のところまで連れてってくれる?」

「人使い荒いわね……ついて来て。それと、私には十六夜咲夜って名前があるんだけど」

「メイド、早く連れて行ってくれ」

「……言っても無駄なようね」

 ため息をつくメイド。私たちは、その後を付いて行った。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆







 どうも、白夜です。白玉桜に向かった……なんて、言ってたけど、どう考えても歩いてじゃ一日で着かない。行き先を変えるべきか……麟が心配だ。

 あんなに強いこともあり、いうほど心配はしてなかったりするのだが、「家出」と「異変」が重なってる今、何が起こるかわからない。

 一応、この紅霧異変の「表面」は知っているが、「内裏」は知らない。妖怪がより活性化したって聞いたような気もするし、とにかく危ない。しかし、どこに言ったのか……。

「やっぱ紅魔館か……? いや、アリスの家とか、幽香のとことかもあるな……」

 もしかしたらそこ以外の、俺がしらないところかもしれないし……。

「……おーい」

「うーん……」

「おーい……」

「どこにいるんだ……」

「おい!」

「うわ!? なんなんだよ!!」

 後ろを振り向く。

 そこにいたのは、ドレスを着た少女。赤、黒、白で彩られているのがとても特徴的である。さらに、とても長い黒のストレートヘアで、頭に獣の耳。爪も、普通の人間より長く伸びている。

「……だれ?」

「今泉影狼。狼人間よ」

「今泉……?」

 誰だろう。俺が知らないだけの、ゲームに出でいたキャラなのだろうか。……そういえば、今泉って、昔の人でいなかったっけ……?

「で、その影狼さんが何のよう? 俺、ちょっと忙しいんだけど」

「いや、今日は危ないって警告を……」

「警告? ……ああ」

 そういえば、姿が人間のままだったな。……よいしょっと。

 ひそかにかけていた術を解く。俺の隠していて耳と尻尾があらわになった。

「!?」

 俺の姿を見るなり、血相を変える。かなり真剣な顔だ。

「……貴方、狼なの?」

「んー、半分、かな。人間と狼男から産まれた」

「……そう、なるほど……ね」

 少し悲しそうにうつむく影狼。なにやら訳ありらしい。

「……なんかあったのか?」

 口をつぐんでいる。どうやら言いたくないらしい。

「あー、なんだ。聴いて悪かったな……ごめん」

 人(正確には妖怪だが)……はみんな話したくないことだってある。俺だってあるし、あののんきそうな霊夢や、麟だってあるだろう。

 しかし、影狼は口を開いた。

「……私、ニホンオオカミなの」

「……なるほど」

 ニホンオオカミ……かつて、日本に生息していたイヌ科のオオカミ。今は、絶滅してしまったといわれている。

 ようするに、だ。ニホンオオカミは、今存在しない。目の前の今泉影狼を除いて。

 一人ぼっちなのだ。彼女は。自分以外に、同じ者が存在しない。幻想郷も、それは例外ではなかったらしい。

「うん……?」

 確か……おれお親父って、ニホンオオカミだった気が……。

「……」

 うつむいている影狼を見る。……とても、悲しそうな目だ。

 ……う、うーむ。なんか、カミングアウトしずらいな。でも、あんな目してるのに、しないわけには……。

「……俺、さ。ニホンオオカミの子供なんだ。」

「……へ?」

「いや、親父がニホンオオカミでさ。それで半妖でさ。だから半分ニホンオオカミって言ってもあながち間違いじゃないって言うか……」

「……!!」

 ううっ、なんだあの輝いてる目。なんかまぶしくもおぼえてきた……。

「仲間が……!! 仲間がいたよ!!」

俺の手をとり、ブンブン振ってくる影狼。

「お……おう」

なんだかすごい喜ばれてるな……ずっと一人とかで、寂しかったりしたのだろうか……。尻尾がぐるんぐるんなってるし。

もう少し話したい所だが、いつまでもこうしているわけには行かない。麟を探さなければならないのだ。

「ご、ごめん。お取り込み中悪いんだけどさ、俺そろそろ行かなきゃ……」

「あ、ごめん」

少しシュンとする影狼。頭の耳と、尻尾がへなっと力弱くなる。

……何だこの可愛い生き物。

「……あ、そうだ。紅白の服を着て、金髪の女の子見なかった?」

「えっと……紅白の巫女と、白黒金髪の魔法使いなら見たわ」

紅白巫女と白黒魔法使い……霊夢と魔理沙のことだろう。

「そいつらじゃあないな」

「そっか……じゃあ、後はわからないわ」

「手がかりなしか……ありがと」

俺はお礼を言って、その場を立ち去ろうとする。

「あー……ねぇ。あんた名前はなんていうの?」

「出雲白夜。じゃな!」

「あっ、ちょっと! あんたさ、その女の子の物持ってないの?」

「? ……手紙くらいしかないけど」

そう言って、俺は麟からの手紙を取り出す。……非常に悲しい内容だよ、ほんと。

「ちょっと貸しなさい」

影狼にもぎ取られる。影狼は、手紙を顔の前に持っていき……匂いを嗅いだ。

「……あぁ、匂いをで探そうって事」

「そう言う事。ていうか、貴方一応狼でしょ? 多少は鼻が利くんじゃないの?」

「俺は半分人間だからなぁ……人間よりちょっと利くぐらいしかわからん」

「ふーん……見つけた。こっちよ」

影狼が歩き出す。その方向は霧の湖、紅魔館のある方向だった。

「あのさ、有難いんだけど。なんでそこまでしてくれるんだ?」

「……? だって仲間じゃない。当然でしょ」

「仲間……」

仲間……か。妖怪としての意味、ではなく、同じ「狼」として。血の繋がった、「仲間」として。……なんか恥ずかしい。

「何顔赤くしてんのよ」

足を止めた俺の顔を見て、不思議そうに顔を傾げる影狼。俺は一層顔が火照った気がした。

「い、いやっ、別に……」

……まったく。あんまり慣れないことは直ぐ顔にでてくる俺である。

自分で勝手に、自分の空気を悪くしたため、なんとか言葉を捻り出そうとする……も、影狼はずんずん進んでいく。

小走りで影狼に追いつき、なんとか絞り出した言葉を言う。

「その……なんだ。……これから宜しくな」

「……良く分からない人ね……まぁ、よろしく」

意味不明な事を口走った俺を、さらっと受け流す。流石はニホンオオカミである。

「どうやらこの先みたいね」

木々で暗くなった道を抜け、霧の湖に出た俺達。影狼が向いている先には、吸血鬼の館の紅魔館しかない。

「この後はずっと。この先に匂いがあるわ」

霧の湖のずっと先を指さす。……麟はやっぱり紅魔館行ったのか……しかしなんで?

いや、考えても仕方が無い。とにかく麟を早く見つけて、あの手紙の内容のことを聞いて、早く家に戻ろう。この紅い霧がどう効果があるのか分からないし。

「あ、ここまででいいよ。あいつがどこにいるか、大体想像出来たから。」

「そう? なら、私は戻らせてもらうわ」

振り返り、今来た道を戻ろうとする影狼。

「ありがとな」

「どうってことないわよ。じゃあね、親友」

……親友?

その言葉にぽかんとしている内に、影狼の姿は消えていた。

親友って……やっぱり、縄張りとか仲間意識のある狼だから、直感的とかで、「仲間」とか「親友」とか直ぐ感じられるのか……。

影狼がもし、そのように感じていたとしたら、俺は少し罪悪感を覚えてしまう。俺はそのように感じることが出来なかったから。直感的な物がないくせに、影狼に日本狼だとか言ってしまったから。同じ、「仲間」に対する価値とかが違ってて、それで…………。

「あー!! 何だこの感じ!!」

なぜだかイラつく。……しかし、そんなことをしている場合ではない。

俺は苛立つこの感じを抑えながら、紅魔館に向かった。


今思ったんですけど、色々おかしい気が……とりま、初の今泉影狼さんの登場でした┏○ペコ

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