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東方白來伝  作者: 冴月(元:九尾の白狐)
紅霧の異変
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夢幻夜行絵巻~Mystic Flier

設定として、満月のせいでルーミアのリボン封印が緩み、いつもより大人なルーミア、という事を御了承下さい。



 その頃、白夜の家を名前の通り飛び出た魔理沙は目の前を通った霊夢と一緒に飛んでいた。


「……全く。誰よこんな悪趣味な霧を出した奴は。お陰で洗濯物も干せないじゃない」


「え、霊夢洗濯物なんかしてたのか。お前がやるのは、金が絡む仕事と排泄と食事だけかと」


「とりあえず魔理沙。いっぺん死んでみる?」


 霊夢が御祓い棒で魔理沙を叩こうとする。


「まぁまぁ、そう言わずに。……お客さんもお出ましだしさ」


 魔理沙が言う。霊夢は、前を向いた。

 二人の目に映るのは、少女。黒を基調とした服を着ており、髪は金。そして、幾何学的な模様をした紅いリボンを付けている。


「……ふふっ」


 少女は笑った。


「なによ、あいつ。私達の行く手を阻むように居て。気味悪いわね」


「でも、その「気味悪い」奴はやる気満々だぜ」


 魔理沙がそう言い終えたと同時に二手に飛ぶ。


 そして、バン! と。


 二人が居た場所に弾幕が放たれていた。


 霊夢が言った。

「魔理沙、あんた先に行きなさい。多分この後五、六人の奴らが邪魔してくるはずだから」


「ちなみにその根拠は?」


「勘よ」


「分かったぜ。ちゃんと後から着いて来るんだぜ?」


 そう言って、魔理沙は霧の濃い方、魔法の森へ飛んでいった。


「……はぁ。なんでこんなよく分からない奴と」


「よく分からないって何よ。私の姿が見えないの?」


 金髪の少女が、自身の姿を見せつけるかのようにクルリと回る。


「うっさいわね。人は暗いところでは物が良く見えないのよ」


「あら? 夜しか活動しない人も見たことある気がするわ」

「それは取って食べたりしてもいいのよ」


「そーなのかー」


 手をポンと叩く少女。霊夢は、本題に入った。


「で、邪魔なんですけど」


「目の前が取って食べれる人類?」


 少女からのピリピリとした気を感じ取る霊夢。


「……良薬は口に苦しって言葉知ってる?」


 霊夢は少女――ルーミアに弾幕を放った。





◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇





 暫くの間、ルーミアとの弾幕合戦が続いていく中。霊夢は違和感を感じまくっていた。


「……(なんか、変ね。アイツ、本気を出していないというか……)」


 先程から、甘い弾幕の撃ち合いばかり。勿論、霊夢は本気ではないが、ルーミアも本気ではないだろう。


「(ものは試し……ね)霊符「夢想封印」!」


 霊夢がスペルカードを発動させる。


 すると数個の光の玉が浮かび上がり、ルーミアに向かっていった。


「……」


 ルーミアは、顔色一つ変えずにそのまま静止する。


「……?」


 何かおかしい。そう思う霊夢。


 そんな中でも、夢想封印はルーミアに飛んでいく。


 そして、ルーミアはその夢想封印を……。









 斬った。



「ッ!?」


 意外な出来事に、息をのむ霊夢。


「……ふふっ」


 ルーミアは笑う。……右肩に、禍々しい大剣を担ぎながら。


「……なによ。そんな手を持っていたなら最初から出しなさいよ」


「残念ながら出せなかったの。……月の明かりが妖怪達を活性化させる事は知っているでしょう? 妖力がある程度ないとこの大剣出せないのよ」


「……なる程ね」


 霊夢は空を見上げる。


 空には、紅い月が浮かんでいた。


「さて。久しぶりにこの姿になれた事だし……」










 ――楽しみましょう?




「ッ!?」


 一瞬で、距離を詰められた。


 そして、大剣が霊夢に襲いかかる。


「ちッ!!」


 避けられないと察した霊夢は、手に持っていた御祓い棒を大剣の軌道上に合わせた。



 ズンッ!


 霊夢に、強い力がのしかかる。


「うっ……やぁ!」

 両手で大剣を押し返す。


 そして、霊夢は距離を取った。


「……よく壊れなかったわね。その棒」

「伊達に私の御祓い棒はやっていないわ。今ならセールで七百円よ」


「……遠慮しておくわ」

 ルーミアが呆れたように言う。


「あっそう。なら、私から行かせてもらうわ」


 今度は霊夢が一瞬で距離を詰める。


 勢いを利用して蹴りを放つが、大剣の腹で受け止められる。


 それどころか、そのまま押し返された。


 空中で体勢を立て直す霊夢。

 その隙を見逃さず、ルーミアは大剣を振るう。


「うっ……くっ……」


 次々と繰り出されるルーミアの斬撃を、時には御祓い棒を使いながら避け続ける霊夢。だが、だんだんとその反応は遅れていく。


 そんか霊夢が、ルーミアの大剣を御祓い棒で、両手で受け止めた時だった。


「闇符「ディマーケイション」!」


 ルーミアが放つ。

「ッ!?」


 急いでその場を離れる霊夢だが、間に合わず。




「……ふふっ」


 霊夢は弾幕に包まれた。












 ――しかし。


「夢符「封魔陣」!」


「えっ?」


 そんな……確かに当たった筈……。そう思うルーミア。


「え、嘘……手応えはあったのに……」

 ルーミアは、目を見開く。


 確かに被弾したはずの霊夢は掠り傷一つついていないどころか、服に掠りもしていなかった。


「なんで当たって無いの!? って顔ね。聞きたい? 簡単な事だけれど」


「……ええ」


「結界で防いだのよ」


「えっ?」


「だから、結界で防いだの」


 ポカンと口を開けたまま止まるルーミア。


「(そんな……昔は神とも張り合えたのに……)」


 はぁ、とため息をつくルーミア。


「それでどうすんの? 私としては、先に進ませてほしいのだけれど」


 霊夢が言う。


 ルーミアは、少し落ち込んだ顔つきをして、


「……もう、戦いたくないわよ」


「あらそう。それじゃあ、行かせて貰うわ」


 さっきの戦いは無かったかのように、スイーっと飛んでいく霊夢。




「……はぁ。私も鈍ったものね」


 力を先代の巫女達に封印された事を悔やみながら、ルーミアは大剣を消滅させた。

実際は、ルーミアはなまったのではなく、封印が完全にとれていないため、力が足りず霊夢に負けた、と言うわけです。




まぁ、それでもかなりつよいですけど。

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