紅魔館の日常④
咲夜さんに殺人ドールを食らった俺。
昨日はそのまんま倒れこんでしまったが、理由を聞いて我に戻った咲夜さんが部屋まできて謝罪してきた。
「すいません……」
「いや、みたのは俺だから良いんだけどさ」
「しかし!」
「いや、だから良いって」
「……いいえ、ダメです。このままでは私の気が収まりません。……わ、私の身体でお詫びを!」
「するなよ?」
「分かってますよ」
「ならいいんだ」
……と、よくわからないやりとりをする俺達。
「まぁ、それでも」と、咲夜が続いた。
「まぁ、それでも。一応お客様に危険な目をさせてしまったので。何かお詫びをしたいのです」
「なる程ね……」
お詫びをしたいと。それってつまり……。
「何でもいいってこと?」
「はい。可能な限り、ご奉仕致します」
ぺこりと頭を下げる咲夜。
……何でもねぇ……。
「それじゃあ……」
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「……本当に良いんですか?」
「あぁ。俺もやってみたかったことだしな」
そう言って、俺は執事服のネクタイをシュッと引く。
……さて、皆様。もう分かりましたでしょうか。
「それじゃあ、白夜。私と同じ立場に入りからあなたを敬う必要は無くなったわね」
「いや、敬っては欲しいけどな」
「そんな事どうでも良いわ」
興味なさそうに言う咲夜。
咲夜は、服を着終わった俺を眺めながら言う。
「……うん。変な所は無いわね」
ウンウンと、腕を組ながら頷く咲夜。
「そうか?ほれほれ。いくらでもみて構わんぞ?」
「いや、いいわ。なんか見てたらかめは○波撃てそうだったから」
「とんでもないもん撃てそうになるな!?」
か○はめ波ねぇ……咲夜が○めはめ波……。
「うん、鳥山○先生に謝れ」
「鱈山鷺羅?」
「誰だよたらやまさぎら!」
「え、しらないの?……かつて、黒衣の剣士とも呼ばれ、「二刀流」の剣技をつかうあの……」
「あの人の名前を偽造するんじゃないっ!!」
「……あの英霊」
「英霊!?キ○トさんサーヴァントだったの!?」
「知らはないの?たしか……第35次の英霊よ」
「どんだけ続くの聖○戦争!?」
驚きだった。聖杯は壊されたんじゃなかったけか?
まぁ、いいや。
「っと、こんな話してる場合じゃないんじゃないか?」
「そうね。そうだったわね。……それじゃあ、掃除よろしくね」
そう言って、咲夜はパッと消える。
「……さて。それじゃあ、仕事に取りかかりますかね」
俺は「執事」の仕事をすべく、掃除に向かった。
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「ふんふんふーん♪っと。ここもおわりだな」
そう言って、俺は部屋をでる。
さて。つぎは……え?なんで、掃除してるか?さっき、言ったじゃん。「執事」だって。咲夜が、何でもするっていったから、「じゃあ、掃除させてくれ」っていったんだ。前から気になってた所があったんだよなぁ~。
「あ、執事服はただの気分だけどな」
そう言って、前から気になっていた場所第一位、「レミリアの部屋」に入る。
「……よし、やるか」
そう呟き、誰から見ても、軽い「ゴミ屋敷」なレミリアの部屋の清掃を開始。
まず、明らかにいらない物を袋に突っ込んでいく。
しなびたニンジン。紙屑。茶色く変色したニンジン。半分におれた、ポケ○トモンスターファイアレ○ド。新鮮なニンジン……ってニンジン多いな。
やけに沢山あるニンジンを袋に放り込み、次は本人の確認をとらないと捨てられない物を袋に投げ込んでいく。
よくわからない本。三色がこわれている五色ボールペン。中身のないホッチキス。
「っておい……ピカチ○ウが緑色……」
……そして。皆のアイドルピカ○ュウの、緑色にカビた人形。
うわぁ……ヤバいんだけどこれ……ピカチュ○にこんな事言うのはあれだけど、正直キモイ。緑色なんて見たくなかった……。
ピンと立っている耳を摘み、袋に入れる。
さて。お次は……。
そんな感じで掃除をしていると、いつの間にか部屋は見事に綺麗になった。
部屋にあった椅子を少しだけ貸してもらい、座る。
一息ついていると、ガチャっとドアが開く。
レミリアか?……と思ったが、入ってきたのは咲夜だった。
「何?私じゃ不満?」
「いやいや、そんな事はないさ」
ふわぁ~っと欠伸をする。……眠い。
「というかまぁ……よくここまで綺麗にしたわねえ……」
咲夜が、床を指でなぞりながら言う。
「まぁな……好きでやってることだし」
「それでもねぇ……タイルの隙間までやったの?細かすぎじゃない?」
咲夜がなぜか部屋にあるタイルをなぞりながら言う。
「うーん……ま、そんな事いいんじゃないか?俺は、皆が笑顔になればそれでいいし」
「……はぁ……全く(こんなだから美鈴が惚れるのよね……)」
咲夜がなにやらため息を付いていたが、何故かはわからないのでほうっておく。
「さて、そろそろ……あ」
目の前にあったゴミ入れ袋に躓く。
「っと。危ない危ない」
難なく立ち直る。だが、躓いた衝撃からか、袋の封が開く。
そして、開いた袋からブ~ンと。
Gが飛び立つ。
しかし、運の悪いことに。咲夜は後ろをむいて部屋を見ているため気づいていない。
そして、ピト。……っと。
咲夜の耳に止まる。
「ん……?何か……し……ら……」
耳の物(G)をつかみ、凝視。そして。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!?」
……壮大な悲鳴。
「きゃぁぁ!?きゃぁぁぁぁ!?きゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」
Gをブン投げ、部屋をグルグル回る咲夜。
「きゃぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「おわっ!?」
そして、俺にぶつかった。
ぶつかった衝撃で、後ろのベッドに倒れ込む。
……あぁ……こんな中でも咲夜に抱きつかれるのが嬉しいと言うのが悲しい……。
未だにキャーキャー言っている咲夜を抱き止めていると。
「レミリアさーん、入りますよー」
しばらくおひさだった麟の声が。
そして、ガチャっとドアが開く。
「レミリアさーん?何騒いで……あ」
部屋に入ってきた麟と視線が交わる。
……あぁ……そうだ……抱きついてベッドに倒れ込んでいたらもうアレじゃん……。
そう思い、急いで麟に説明をしようとするが……。
「白夜さんのバカァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」
麟が、目からキラリと光るものを垂らしながら弾幕を発射。
弾幕は、なかなか壊れない部屋の壁を反射し飛び回る。
「ちょ、まっ、麟!これは誤解……っていない!?」
どうやらバカと言い放った後すぐに出て行ったようだ。
「あああ!?何なんだよーッ!!誤解だってのにーッ!!」
俺の悲痛の叫びと、咲夜の恐怖の叫びは、弾幕がレミリアの部屋をぐちゃぐちゃにするまで続いた。
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「はぁ……もう一度寝ようかしら」
そう呟きつつ、自身の部屋へ歩みを進めるレミリア。
しばらく歩き、部屋のドアノブに手をかけ、引く。すると……。
ドサドサドサッ!
「キャア!?」
部屋から溢れてきた物に飲み込まれるレミリア。
「全く!何なのよこれは!」
プンスカプンスカ怒りながら、ゴミ山から抜け出す。
そして、山をかき分けながら部屋に入る。
そこには。
「なんであんたたちがいるのよーッ!!」
Gによって気絶した咲夜と、弾幕によって気絶した白夜が抱き合ったままベットに倒れ込んでいたのだった……。
番外編を、違う小説として纏めて投稿しました。
名前は、「幻想小話~東方白來伝番外~」です。
なにかの記念、暴走のときは、こちらを更新するのでそちらもどうぞ。