紅魔館の日常③
何故だろう
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パチュリーの猛攻を受け、なんとか生き延びた俺。……尚、美鈴は寝込んでいる。あたりどころが悪かったらしいな。
んで、俺はと言うと……。
「ほら!早くしないとアグニシャイン撃つわよ!」
「理不尽だ!この五万とある本を10分で片づけろとか無理だ!」
「10分で片づけろじゃないわ。10分で片づける気でいきなさいと言ったの」
「だから!そもそもこの本の量を1日で片付けるのが無理なんだって!!だいたいさ!この本はどっから来てんだよ!!」
「外から」
「外から!?」
なんと、この天井まで積まれている本達(約10メートルの物が100程)は外から来ていると言う。信じられないな。
「あんた、信じてないでしょう?」
「うん」
「じゃあ、行ってみる?ていうか、来なさい」
「行くの!?」
「ええ、荷物持ちで」
「やっぱりか……」
「それじゃあ、オーケーと言うことで……小悪魔!行くわよ」
「はーい」
そう言って、小悪魔とパチュリーはふわっと飛び上がる。
「えーと……どこ行くんだ?」
「フランの所」
「は?」
「フランに外とこっち(幻想郷)の境目を壊してもらうの」
「何平然として危ない事やってんの!?」
パチュリーは、「まぁ、いいじゃない」と言い部屋を出る。
「おい!ちょっと待て!」
それを追って、俺も部屋を出た。
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さて。
あの後、パチュリーと小悪魔を見失いフランの部屋を目指していたのだが、フランの部屋を知らない事に気づき、30分程さまよい歩いていたら、フランの部屋についた。
「とりあえず、『幻想郷と外の世界』の境界を破壊すれば良いの?」
目の前のフランが首を傾げる。
「そうよ。出来るかしら?」
パチュリーがそう言うと、フランが首を左右に振る。
「うーん……ちょっとやってみないと分かんないかな……」
「パチュリー様、やっぱり止めましょうよ。後で妖怪の賢者に何言われるか分かりませんよ?」
賢者?……あぁ、紫か。あいつ、「俺達、外行ったんだ」とか言ったら激怒しそうだな。小悪魔の言う通りだ。
「てかおい。行った事あるような感じだったけど初めてなのか?」
「そうよ」
「ドやんな」
「まぁ、いいじゃない。そもそも、フランが出来るかどうか「出来た!!」ありがとう、フラン」
何やら色んな色が渦巻いている裂け目が俺達の前に現れた。
出来ちゃったよ。フランちゃん、すげー。何でもありか。
パチュリーがフランの頭を撫で、言った。
「それじゃあお礼として……フラン?今から私達本買いに行くんだけど何か欲しい物あるかしら?」
「えーと……フラン、絵本沢山欲しい!!」
「絵本?……分かったわ。買ってくる」
「わーい♪ありがとパチュリー!」
ぎゅっとパチュリーに抱きつくフラン。
パチュリー。そこをどいてもら……ゴホン。何でもないです。
「それじゃあ……行きましょう?」
パチュリーが、そう言って裂け目に飛び込む。
「あ!待ってくださいよ!!」
軽く躓きながらも、慌ててパチュリーを追う小悪魔。
「はぁ~……まぁ、いいや。行ってくるよ。フラン」
そう言って、片足を裂け目に突っ込む。
「うん!分かった!行ってらっしゃい、お兄ちゃん♪」
「え?フラン、それ一体どうゆう――」
「お兄ちゃん」と呼ばれた理由も聞けないまま、俺は穴へと落ちていった。
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「……きなさい……」
「うーん……」
「起きなさいッ!!」
「ブダべッ!?」
腹に激痛が走る。
うー……頭が痛ぇ……。
「いつつ……っと。ここは?」
俺は起き上がり、辺りを見渡しつつパチュリーに聞く。
「分からないから聞いてるんじゃない」
「って言われてもなぁ……」
辺りを見渡す。
少し、高いぐらいのビル。目の前には海が見え、後ろには山。あとは、お土産屋みたいな店と八百屋がある。
……あれ?ここ、どっかで……。
「あ、白夜さん。スマホのGPS機能使ったら、ここ○○○町って出ましたよ?」
小悪魔がスマホを見ながら言った。
何故に持ってるし……。
にしても。
「○○○町ねー……俺の前住んでいた所だわ」
その言葉にパチュリーが反応する。
「あら、そうなの。それじゃあ、ここで一番大きい本屋に連れて行ってくれる?」
「おうよ」
俺は本屋へ向かうべく、大通りへと出て行った。
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「……ねぇ……あれって……」
「そう……だよな。……パ、パチュリー……か?」
「ママー!あの人達変な格好して「シッ!見ちゃ駄目よ!」」
…………。
やらかしてしまった……。
「何で気づかなかったんだ……」
「?どうかしたんですか?」
小悪魔がうなだれている俺を覗き込む。
「ああ……やっちまった……」
本当に。嘘じゃないぞ。だって、可笑しいじゃん。
紫寝間着の紫髪の奴と、頭から悪魔の羽生えた赤髪の奴と、執事服着た緑髪で頭と背中から耳と尻尾が生えた奴が周りをキョロキョロ死ながら歩いてたら。
「と、とりあえず!とりあえず走るぞ!」
俺は、キョロキョロしている二人の手を掴み、裏路地へ走り出した。
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「ここまで来れば良いよな……」
と、胸をなで下ろす俺。
そんな様子を、パチュリーと小悪魔がツッコむ。
「何で走ったのよ」
疲れた顔をしながらパチュリーは言う。
「いや、だって可笑しいだろう?」
「何が……あぁ、そうゆうことですか」
小悪魔は気づいたようで、自身の羽を触りながら言った。
「まぁ、確かに浮いてるわよね」
パチュリーが、服の裾を持ち上げながら言った。
そして、ぶつぶつと何かを呟く。
「よし。これで大丈夫なはずよ。周りの人からは、如何にも普通な人に見えてる筈」
そう言って、近くにあった鏡の破片を俺に見せる。
それをのぞき込むと、なんだかダサい位な人が立っていた。なる程。これが俺ね。
「それじゃあ、行きましょう?」
パチュリーは、ズカズカと歩いていった。
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一時間後。俺達は、両手に沢山の本が入った袋を持ち、フランが開けた穴へと向かっていた。ちなみに、持っているのは小悪魔と俺だけだ。
パチュリーが目の前をスタスタ歩く。俺も、それについて行くが……。
「はぁはぁ……ひー……」
小悪魔が顔を真っ赤にしながらヨタヨタ歩いている。
「……小悪魔、大丈夫か?」
右にフラフラ、左にフラフラ歩く小悪魔に聞く。
「だ、大丈夫で……あっ!?」
本の重さに耐えられなかったのか、小悪魔は後ろに倒れる。
「っと。大丈夫か?」
小悪魔を両手で支える。……すると、途端に小悪魔の顔が真っ赤になる。
「あ、ありがとうごさいます……」
何故か俯く小悪魔。しばらくこの状態でいると、小悪魔がハッとしたように顔を上げた。
「あ、あのっ!!もう大丈夫ですからっ!!早くパチュリー様の所へ行きましょうっ!!」
小悪魔はすぐに身を翻し、パチュリーの元へ向かう。
「な、何なんだ……」
俺は、一人。そう思っていた。
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「オラァ!!このアマがどうなってもいいのかぁ!!」
パチュリーに追いついた……と思ったのもつかの間。
「パチュリー……なに捕まっとんの……」
なんと、パチュリーは、よくわからない犯罪者の男に捕まっていたのです。ナイフを首に突きつけられて。
「パ、パチュリー様?大丈夫ですか?」
小悪魔が少し焦ったような感じでパチュリーに聞く。
すると、パチュリーはこちらに気づいたようで、親指をぐっと立てた。
あいつ、大分余裕そうだな……。
「オラァ!!どきやがれ!!そしてさっさと警察を呼べ!!そして金を……」
「よこせってか?」
「うおっ!?何だテメェは!!」
後ろから話しかけた俺に驚いた男は、慌てて振り向く。
そして、俺はドヤ顔で、犯人に言ってやった。
「俺か?……名乗る程の者でもないさ」
自分でもわかるぐらいのドヤ顔で言う。ただし、ちらっとパチュリーを見ると、馬鹿を見るような目で見ていたが。
それにキレたのか、犯人は俺に突っかかってくる。
「ンだとテメェ!!」
男は、パチュリーを放り投げ、俺にナイフを突き出す。
「っと。危ないじゃないか。こんな物振り回して」
そういいながら、俺は危なげなくナイフを避ける。
「ッ!!オラァ!!」
俺に避けられた事で怒りが増したのか、男はムチャクチャにナイフを振り回す。
「ホッと、ヨッと。ホホイのホイの、ヨヨイのヨイッと」
男のナイフさばきは、余りに……その……ザコかった。だって、兎に角当たればいいと思ってんだもん。
「ハァ……ハァ……糞ッ!!」
ナイフが当たらなく、只動き回っただけの男は肩で息をしている。
……こう、比べるのもあれだけど。やっぱり弱いな、美鈴とか妖夢とかより。ナイフの起動が全部読めるし。しかも、こんなけで息が切れるとかどんなけ体力無いんだよ。
「畜生!!当たりやがれ!!」
男は、大振りにナイフを振るう。
……やれやれ。分かんないようだな。
「はぁ……フッ!」
まず、振り下ろししてきた右腕の手首に自分の左手を当てナイフを落とす。
それと同時に、丁度体重が乗っている右足を思い切り払う。
「グッ!?」
右に倒れ込む男。それに合わせ、男の手から離れ空中を舞っているナイフを掴み、男の上半身へ乗っかかる。
そして、左手で男の右手を押さえ、自身の右手でナイフを男の首に突き立てる。
「ヒィ!?」と、声を上げる男。
そして、男は一言。
「言っておくがな……俺の友人に手ェ出したら……殺すぞ?」
グッと、ほんの数ミリだけナイフを首に入れる。……ふぅ。これでいいだろう。
俺はナイフを持って立ち上がり、小悪魔とパチュリーに声を掛ける。
「さて。パチュリー、小悪魔。行こうか」
二人に声を掛ける。
すると、パチュリーが不満そうな顔をする。
「全く。たまに格好良いから皆惚れるのよ……」
「ん?何だパチュリー」
「何でもないわ。行きましょう、こあ」
「は、はい!」
パチュリーと小悪魔は、一緒に歩き出す。さて。俺も後を……。
「だぁぁぁぁッ!?」
またまた。起き上がった男が俺に走ってくる。
……ったく。めんどくさいな。
そこで、俺は持っていたナイフを振り向きざまに投げつける。
シュカッ!!
ナイフは男の頬を数ミリ削り取り、延長線上にある木に突き刺さった。
「ヒ……ヒィィィィィィ!?」
男は走って、逃げ出した。
全く。馬鹿だからこうなるんだよ。
「はぁ……疲れた」
そして、俺は荷物の本を回収し、パチュリー達に追いつくよう走り出した。
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「さて……と。妖怪の賢者に起こられる前に帰りましょう」
俺達が出てきた穴を目の前に、パチュリーは涼しげに言う。
「涼しそうな顔しやがって……」
「涼しそうじゃないわ。涼しいわよ」
「ふざけんなよ……」
はぁーっと、小悪魔と二人でため息をつく。
「まぁ、いいや。早く帰ろうぜ……」
そう言って、俺達は幻想郷に戻った。
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とりあえず、フランの部屋に戻ってきて、フランに絵本を渡し、図書館に買ってきた本を置いた。
そして、荷物運びで汗だくになった身体を洗おうと、風呂へ向かうことに。
「ふー……リンゴーとはーちみつーっと」
歌を歌いながら、風呂場へ。
ドアを開け、ガラガラっと勢いよく風呂場へのドアをあける。
「……あーあ。ここで、誰かがいたりしてキャーッ!?、とかならないk「キャァァァァァァァッ!?」ワァァァァァ!?」
いきなりの悲鳴に驚く俺。
「なんだなんだなんなん……だ……!?」
目に入ってきた光景に身体が固まる。
「……びゃぁぁぁぁくぅぅぅぅやぁぁぁぁ!!」
そう。悲鳴の正体は咲夜さんだったのです!何という悪運!咲夜さんは、髪の毛が逆立ち、身体からは赤いオーラが出ております!
「ちょ、まった!!咲夜待つn」
「誰が待つかッ!!メイド秘技[殺人ドール]×3!!」
「はぁぁぁぁぁぁっ!?ちょ!まっ」
こうして。俺は咲夜さんのナイフを大量に受ける事になった。
次回もこんな感じです(^_^;)