さぁ、修行だ?[アリス編]―②
アリス宅にて……。
「思ったんだけど」
「おう」
「あなたって、妖力、霊力使えるじゃない」
「うん」
「それで聞いた話によると、あなたスペカ使った時、魔力の使い方分かったらしいじゃない」
「そうだけど」
「だから私、修行付き合う必要ないじゃない?」
「ああ」
「だから家事でも教え「自慢じゃないが、家事は紅魔館のメイド長並みに出来るつもりだ」え……?いやいや。そんなわけないでしょ。……そうね。あなた、料理作ってみなさいよ」
「おう」
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「くそ!!上手いし旨い!!嫉ましい!」
ガスッガスッ!!と、俺の写真を貼ったわら人形を木に釘で差し込むアリス。
……あ、どうも白夜です。
見ての通り、上の事がありアリスが只今狂ってますハイ。
「じ、じゃあ!此処に洗濯物と洗いかけの食器あるからやってみなさいよ!」
アリスが唐突に言い出す。
「……いいよ」
俺は自信たっぷりに答えた。
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「……負けたわ。何で洗濯物が新品同様になっていて、食器がLEDライト並みに光ってるの……」
アリスが見事なorz(四つん這い)になりながら落ち込んでいる。
「まぁまぁ、良いじゃないか」
「良くないわよッ!あなた!女が男に家事全般負けたら何気に傷つくのよ!」
「そりゃあ、まぁ……うん。……ドンマイ」
「うっさい!!」
「全く……」と良いながら立ち上がるアリス。
「そういやさ、俺これからどうすんの?」
「え、あー……そうよねぇ……実践経験積む?」
「実戦経験?」
「そうよ。私、こうみえても、人里の自警団なんかやってるのよ」
「へぇ……」
意外だった。アリスが人の為に一肌脱ぐとは。アリスのくせにやるな。
「なんか失礼な事言われた気がしたわ」
「き、気のせいだZE☆」
「そうかしら……」
ふぅ、危ない危ない。また心読まれる所だった。
「ならいいわ。じゃあ、早速行きましょうか。時間もちょうど良いし」
そう言って、アリスは自宅から出ようとする。
「ま、待ってくれ」
俺も慌てて家を出た。
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所変わって人里入り口。そこに、何人かの人が集まっていた。
「お、妹紅」
「なんだ、白夜じゃないか」
久々の顔合わせ、藤原妹紅。永琳とか鈴仙とかてゐにはちょくちょく会っていたけど、妹紅は久しぶりだな。
「元気にしてたか?」
俺が妹紅に聞く。すると、妹紅は笑みを浮かべて答えた。
「まぁな。お前はどうなんだ?何でも、修行をしてるとか聞いたが……」
「まあまあだよ。とりあえず戦えるようになった。今日来たのは実戦の為だな」
「なる程な……私とやってみるか?」
「あと、千年後にお願いします」
妹紅はふふっと笑い、「じゃあまた後で」と別れた。
「あなた、紅色と知り合いだったのね」
「紅色?……あぁ、妹紅か。そうだよ。竹林を案内してもらった」
「ふーん……あら?あれは……」
アリスが指差した方を向く。
そこには、よく見知った二人の子供……いや、「少女」がいた。
二人はこちらに気づき、駆け寄ってくる。
「「白夜!」」
「……何で居るんだ?霊夢、魔里沙」
皆さんご存知、魔里沙と霊夢だ。まだ二人とも、少し幼さが残る顔立ちをしている。
魔里沙が笑って答えた。
「いやぁ……なんか必死に修行してたらさ、実力認められたみたいで自警団に入れてさ」
「自分で実力あるとかいうか……」
でも、正直、勝てる気もしない。もちろん霊夢にも。俺も一年間修行はしてきた……けれどもだ。
「そういえば、白夜は何で居るのよ」
「いや……修行の実戦?ついでに来た」
「ふーん……」
霊夢が興味なさそうにした。興味ないなら聞くなよ……。
「それでは、皆様お願いします」
人里の村長ぽい人が皆に言う。
「じゃあ、俺は行くから」
そう言って、二人と、アリスと別れた。
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「……ほいっと」
襲ってくる妖怪を弾幕にぶつけ、ぶっ飛ばす。
「……ふぅ。そろそろ二時間か。もう帰ろうか……ん?何であそこに妖怪が……?」
とりあえず、近づいてみる。そこには……。
「し、シャンハーイ……」
ボロボロになったシャンハイ人形が。
そして、俺の中のスイッチが「カチッ」と入った。
「てめぇ……覚悟はできてんだろうなぁ!!」
シャンハイ人形はアリスの家族。友人の家族が、目の前でボロボロにされているのに、助けない奴がどこにいる?
今まさに。シャンハイ人形を噛みちぎろうとしている妖怪狼にあれを放つ。
「……妖器![ダークスパーク]ッ!!」
妖怪は塵も残らず消え去った。
「シャンハイ無事か!」
必死にあたりを見渡す。
「……シャンハーイ!!」
「うおっ?シャンハイ!」
シャンハイが俺に飛びついてきた。
「……シャンハーイ……」
シャンハイが俺に顔をうずめた。……よっぽど怖かったんだな。
「しかし、何でシャンハイが……「シャンハーイ!!シャンハーイ!!どこにい……あぁぁ!!いたぁ!!」あ、アリス」
「シャンハーイ!!」
アリスにシャンハイが飛びつく。
「ああもう!!どこ行ってたのよ!!心配した……なんでこんなボロボロなの!?」
「……シャンハーイ」
「え?妖怪狼に襲われた?」
言葉分かるのかよッ!!と、ツッコみたいが、場合が場合なので我慢する。
「……どうやら助けられたみたいね。ごめんなさい……」
「いやいや、いいんだよ」
謝るアリスを止める。そして、一言。
「だって、大切な人(友人)の大切な家族が危ない目にあってたんだ、助けない訳ないじゃないか」
「ッ!?……」
……あれ?俺、何か言った?何でアリス顔赤いの?
その後も、アリスは「大切な人」だとか、呟いてたけど話しかけても相手にしてくれなかった。……何故?