さぁ、修行だ!![妖夢編]―②
戦闘シーンって、書いていて面白くて書きやすいんですけど、なんか変な感じが……。
「さぁ……コロシテアゲル♪」
「妖夢キャラ変わってるよ!?」
俺は今、白玉楼にいる。理由はもちろん、修行の為だ。
「まぁ、そんな事はどうでも良いです。兎に角、今日は真剣を持ってみましょうか」
「えー、まだ早くないー?」
「それは師である私が決める事。口答えは許しませんよ?」
「……見た目より案外年取ってるBBAめ」
「この見た目でBBAに見えますか?それに、私は事実を受け入れます」
「……貧乳」
シュカッ!!
「すいませんでしたーッ!!」
ビーンだぞ?俺の頬かすって妖夢の剣がビーンだぞ?……たかが貧乳って言われただけで……。
「また失礼な事言われた気がします」
「き、気のせいだZE☆」
「そうですか……?」
妖夢が首を傾げる。大丈夫だよ妖夢!貧乳なら大きいお友達にとかに需要あるからね!
「……あ、なんかムカついてきました。白夜さん、斬らせて下さい」
「その結論おかし……ってうぉい!?本当に斬るな!……くそ。やってやらぁ!」
なんだかよく分からない内に修行開始。
ギィン、ギィン!!と、剣と剣のぶつかる音がなる。
そして10分ご暗いだろうか。妖夢と俺の剣がぶつかった時。
「妖夢に何しとんじゃぁぁぁぁぁぁ!!」
「師匠!?」
妖夢と俺の間に一人のおっさんが現れた。
「妖夢、大丈夫か!!」
「ていうか何で居るんですか!!」
「そんな事はどうでも良い!まずは目の前の敵を倒すだけ!」
「し、師匠ー!!その人はし」
「部外者はだまっておれ!!」
妖夢の話を一つも聞かないこのおっさん――魂魄妖忌は俺をこちらを睨む。
「お主……我が最愛の妖夢に手を出したこと……後悔するが良い!はぁぁぁっ!!」
「ッ!?」
一瞬で間合いまで詰め寄られ、切りかかれる。それを何とか剣で受け止め……るが、俺は真横に飛び出した。
ヒュン!!と、左からきた剣筋が俺の髪の毛を何本か持って行く。
「ふむ。今ので仕留めるつもりだったがな。それなりにやると言うことか」
両手を地面に付き、尻もちをついている俺を睨みながら妖忌は言う。
「……おい妖夢!!このおっさん何とかしてくれ!!俺が死んじまう!!」
「あー……白夜さん。師匠は私の事になると周りが見えなくなっちゃうんです」
「はぁ!?じゃあ妖夢が変わりに止めてくれよ!」
「無理です。私の剣のクセを師匠は知ってるので、本当に一瞬でやられます。だから……」
妖夢は最大級の笑顔で言った。
「ファイト!(グッ!)」
「ファイトじゃね……おわ!?」
このおっさん!いきなり切って来やがった!……たしか妖忌って妖夢の師匠だよな?じゃあ、「あれ」で行かないと無理か……?まだまだきついんだけど……。
「……畜生!やってやるよ!」
「ほう、斬られる覚悟が出来たか」
「その覚悟じゃねぇよ!……妖夢、その剣貸してくれ!」
「へぁ?は、はい!」
妖夢が投げた剣を俺は空中で掴む。イメージは黒の剣士。そして、俺は出来ると思い込むんだ……!
「あぁぁ!!やってやるよ!」
俺は妖忌に二本の刀を左右に持ち、駆けだした。
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「はぁ!!」
右手の剣を後ろに引き、地面を滑るように移動。そして、勢いを載せた右手の剣で切りかかる。
「……ふん!」
妖忌はいとも簡単そうに左手の刀でそれを弾く。そして右手の刀で俺の首をめがけ横凪。
それを俺は剣を軌道上に置き受け止める。
そして、一撃でも与えるべく、ラッシュを開始する。
右左右左右左右付き右付き右付き左付き。
一つも当たらなかった。
妖忌が俺の剣を受け止め、呟く。
「ふむ……まだまだだの。少しは見込みのある奴だと思ったのだが……ふん!」
妖忌が俺の頭上から刀を振るう。
それを剣をクロスにして受け止めた俺だったが、あまりの衝撃に吹っ飛んでしまう。
「……我が最愛の妖夢を傷つけた恨み。ここではらさせてもらう!!」
「いやいや!!むしろ傷つけられたの俺だから!」
「そんな事知らん!!」
「ふざけんな!!」
くそ!!何言っても無駄か!!……こうなったら、本当に妖忌を気絶させるしか……。
そう思いながら、なんとか妖忌の剣をかわしていく。
そして、妖忌の動きがほんの一瞬だけ止まった時。
「(今だッ!!)うらあぁぁぁぁぁぁ!!」
俺は反撃を開始した。
「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
イメージするなら……そう。天から無数に降り注ぐ隕石のように。俺の剣は止まらず、加速していく。
「ぐ……ぬぅ……!!」
だんだんと、剣を振るうスピードが上がっていく俺に対し、妖忌が剣筋を読み切れなくなり、対応が遅れて来る。
そして、計37発目。
ギィン!!
かん高い金属音を立てながら、妖忌の剣が宙を舞った。
「はあはあ……」
「ぬぅ……まさかこれほどとは……」
驚く妖忌の首に剣を突きつける。
そして。
「頭冷やして少し冷静になれ。この弟子馬鹿」
ドスッ!!と、俺は妖忌の腹に一発アッパーを入れる。
妖忌は、呻きながら俺に倒れかかり、気を失った。
「……ふぅ」
そして、安堵感に包まれた俺も、地面に倒れ込んだ。
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夢を見た。
あの腰から白鳥の首だけビョーンってでてるやつを着た妖夢が顔を赤らめてこちらの服を脱がそうと――。
「んなわけあるかぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「ヒャア!?」
俺は、そんな夢を蹴散らすかのように布団から起き上がる。
「何なんですか!!」
しりもちを付き、不満そうに顔を膨らます妖夢。
「いやな。嬉しいような悲しいような夢を見たんだよ」
「はい?……」
訳が分からない、と言った感じで首を傾げる妖夢。
「あ、そう言えば何なんですかあの剣使い!!」
「は?」
「だから!師匠を倒した時にやったじゃないですか!!もう……こう……スバババッ!!って!しかも数が増えるごとに剣のスピードが上がって行きますし!!後半は何も見えませんでしたよ!!」
「あー……」
そう言って、妖忌との戦闘(?)を思い出す。
んー……あの37連撃ね。正直、自分でもうまく言ったことにびっくりしてるやつ。
「あれは……頑張った」
「理由になってません!」
「あぁ、そうだった。麟に「別に倒してしまっても構わないのだろう?」って言って突撃したらなんかできた」
「なんですかその死亡フラグ!!白夜さんそんなアーチャー的な事言ってませんよねぇ!」
「途中で、「フィジカルフルバースト」って……」
「あの、危ないんで止めて下さい!」
「とまぁ、そうゆう訳だ。アンダスタン?」
「どういう訳ですか!!アンダスタン?じゃないですよ!」
妖夢がギャーギャー五月蠅いが、俺は辺りを見る。……どうやら白玉楼らしいな。それもそうか。
すると、ガラッと目の前の襖が開く。
「あらま~、やっと目覚めたのね~」
襖を開けたのは、相変わらずほわほわした笑顔の幽ヶ子だった。
「ゆゆさん。なんか迷惑かけたな」
「いいのよ~。迷惑かけたのは……妖忌だしね~」
そう言って体を端に寄せる。その先に、いかにも申し訳なさそうにした妖忌が立っていた。
妖忌は俺に近寄り、頭を地面にこすりつけた。
「誠に申し訳御座いませぬ!!我が最愛の妖夢にばかり頭が回っており……もう、これは自害するしか……」
「「わーわーッ!!止めろ!!(てください!!)」」
懐から小型のナイフを取り出し、自らの腹に刺そうとする妖忌を妖夢と止める。
「は、離して下され!!私には!白夜様に許していただくにはこうするしか!」
「いやいや!!もうとっくに許してるから!!だから早くナイフをしまってくれーッ!!」
俺の叫びが白玉楼にこだました。
「……あらあら。元気ねぇ~」
幽ヶ子はその光景を見て、優しげな笑みを浮かべていた。
最後に幽ヶ子がかっさらってた気が……。