白玉楼の庭師
無駄に長くなった……。
とんでもない悪夢を見てしまい、本当の夕食に気分が乗らないまんまの俺、出雲白夜。
しかし、夕食時に当たり前のようにいたフランが、翼をピコピコさせながら「ごっはん♪ごっはん♪」と、フォークとナイフを持ちながらやっているのを見て、元気百倍になった。
そして、フランと遊びをして次の日になった……。
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朝早く、麟と共にさっさと紅魔館をでようとしたが、咲夜に捕まり「そんな逃げるように帰らなくても」と言われたので、朝食だけお世話になろうということになった。
麟と共に朝食に向かう。
が、その途中、やけに寒かった。
「な、なあ、寒い……よな?」
ガクガクブルブルしながら麟に聞く。
麟の方も寒いらしく、ガクガクブルブルしながら言った。
そして、食堂の前の曲がり道を曲がった時、曲がった時、『奴』が見えた。
「アタイサイキョー!!」
氷の妖精、チルノを見た。その周りには、何時ものメンバーの、大妖精、ルーミア、リグル・ナイトバグ、ミスティア・ローレライが。
そして、大妖精達が慌てた様子でチルノに話しかけていた。
「しー!チルノちゃん大声出さないで!お口ミ○フィーだよ!」
大妖精が口のまえで、指をバッテンしながら言った。
「何で?」
チルノはポカンとしている。……如何にもアホそうな顔で。
チルノの何故?という疑問にはリグルが答えた。
「だ、だってボク達黙って忍び込んだんだよ?見つかったらフランちゃんとこ行く前に……レプリカ?とかいう吸血鬼のお姉さんに見つかって、幽香さんとこ以上の事されちゃうよ!」
リグルがすげー必死だ。
「そうなのかー……?だれかいるのだ?」
おっと。ルーミアに隠れていたのがバレたらしい。俺達はバカルテット(?)の前に立つ。
「やあやあ、こんにちは。少女達」
「「「?」」」
俺が、自分でもよく分からないノリで言ってしまった。
そのためか?なんだかしらけた。
しらけるのを脱出すべく、俺はバカルテットに話掛ける。
「なんで君達はここに?」
まずはこれからだな。さっき、黙って忍び込んだんだって言っていたし。
「あたい達、フランちゃんに会いに来たの!」
チルノが胸を張って答える。
「友達か?」
俺がそう聞くと、チルノは輝くような笑顔で「うん!!」と答えた。
……ウホッ!いいチルノ!
……はっ!?危ない危ない。危うく、(自主規制)してしまうところだったぜ。
俺がそんなくだらない事をしている内に、麟が俺の前に出て、口を開いた。
「そうですか。でも、忍び込むのはいけませんね」
麟がすごい正しい事を言う。そんな麟が、少々お姉さんに見えたのは内緒だ。
バカルテットは、麟の言う事を素直に聞いた。
「「「はい……ごめんなさい……」」」
バカルテット達が素直に謝ると、麟は「いいですよ」とニコッと笑った。
「それなら、私の方からレミリアさんに行っておきますね」
おおっ!麟優しい!
「それじゃあ、白夜さん。この子達をフランさんの部屋に案内お願いします」
……おおっ麟さん厳しい……。
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「麟、次、どこ行こうか?」
お昼頃。紅魔館の咲夜から貰ったサンドイッチで昼食を取りながら聞いた。
それまで何してたかって? チルノ達を案内した後、フラン達と遊んでだけど何か?
「モグモグ……そうですね……。ゴクン。……白玉楼はどうでしょう?」
麟がタマゴのサンドイッチをモグモグしながら言った。
「白玉楼かぁ……」
確か、白玉楼って遠いんだよな?東方の二次創作だとそんな感じがしたんだが。
「それってあれか。先に遠いところから行っちまおうというあれか」
「あれが何かは分かりませんけど、そうですよ。アリスさんとこはすぐに行けますしね」
そんな話をしていると、サンドイッチが無くなった。
しかし、美味しかったな、咲夜特製サンドイッチ。今度作り方教えて貰おうかな。
さて、そんなことより出発だ。いくら何でも場所は冥界。遠いしな。
いや、遠いのか?
「まぁ、行こうか。グダグダやっててもしょうがないし」
「わかりました。……はい」
麟が手をさしのべてきた。
その行動の意味が分からず俺はポカンとなる。
「麟、これは?」
「また飛ぼうと思って。そっちの方が速いので」
「そういうことか」
俺は納得して麟の手を掴んだ。そして白玉楼へ飛んだ。
……そういや麟の顔が手を掴んだ時シュボッて紅くなったのは何でだ?
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しばらく麟と飛んでいると辺りが段々と薄暗くなっていく。
そんな中、たまに出てくる妖怪を麟が蹴散らしていった。
「今更何だけどさ。麟って戦えたんだな」
「そうですよ。……あ、流石に無闇にはやりませんけどね」
麟が近くに寄ってきた妖精を蹴り飛ばしながら言った。なんか怖い。
そんな感じでしばらく飛んでいるとすごく長い階段についた。
その階段の前に降り立つ。
「ッ!?白夜さん!?」
麟が急に俺に飛びついてきた。その反動で俺は倒れ込む。
「麟、どうし……ッ」
バシュン!!
先程まで俺たちがいた所に一筋の斬撃が走る。
その斬撃はそのまま飛んでいき、近くにあった石垣を粉々に粉砕した。
……ヤバいヤバいヤバい!!あんなの当たったら死んでたぞ!?
先程の斬撃により、辺り煙がまう。
そして、斬撃から俺を助けて倒れ込んでいた麟が急にムクリと立ち上がる。
「……白夜さん。下がって下さい」
煙で辺りが見えない中、麟がとある方向を鋭い眼差しで睨む。
麟がそう言い終えたとその時、辺り一面の煙が急に晴れた。
晴れた先から、誰かが歩いてきた。
「あ、あいつ……!」
中から出てきたのは、白玉楼の庭師、魂魄妖夢だった。
疲れた……