事の起こりは
初めまして。九尾の白狐と申します。処女作ですが、読んでいただければ幸いです。
※2017、11/1追記:読んでいただきありがとうございます。64話から色々と変わっておりますので、気になる方はそちらからお読み頂いても大丈夫です。
2018、8/4追記:1話からの再編集を開始しました。
幻想郷。
それは結界を隔て、現代の裏側に広がるもう一つの世界。
そこは人間と、それ以外の生き物、妖怪、妖精、神などが伴って暮らす事の出来る理想郷。
この話は、1人の妖怪と、少女が織り成す、物語である。
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やあ。俺は、白夜。出雲白夜。妖怪だ。
いきなりだけど、現在アルバイト中。ちょっと欲しいもん買ったらお金が無くなってしまってな……。仕方なく働いているのだ。妖怪でも働かなくてはいけない、世の中世知辛いのじゃーってか。
「白夜、なんか渋い顔してるね。」
お客さんが居ないタイミング。一緒のシフトに入っていたアルバイトの先輩が話しかけてきた。
「……なんだか世の中に絶望してる、みたいな?」
「そりゃそうですよ。ちょこっとだけ、娯楽にお金を費やしただけで金銭難ですし」
「ちょこっとって……いくら使ったのさ」
「150万程……」
「それはちょこっととは言わないかな」
呆れ顔を通り越して、もはや無表情である。そりゃそうだ。
「でも凄いよね」
唐突に、先輩が言った。
「何がです?」
「いや。150万も溶かして、親とかからも怒られてるだろうに、やけに落ち着いてるなーって」
……そうだった。このバイトに入る際、色々と嘘をこしらえたのだった。
妖怪である俺は親は当然いない。住所も無いし、籍も無い。様々な事を偽った。年齢ももちろんだ。……ちなみに、俺の見た目は高校生くらいである。ちょっと若く見られがちな気もするな。
閑話休題。
そんなこんなでバイトをこなしていると、お客さんが沢山入ってきた。俺がしているバイトは飲食店。その為に時間帯によって客の出入りが大きく変わるのだ。
「……うん?」
「どうしたの?ぼうっとしてないで、動いた動いた!」
「あ、すいません」
……なんだか、今。一瞬だけとても大きな力を感じたような……。お客の中に、妖怪でも紛れ込んだか?
この後しばらくは、この力の正体が気になり、お客さんを食い入るように見つめていた。
*この文章には作者独断の解釈を加えている場合があります