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第一話 マゾ職やってます

一発ネタ小説ですが、暇つぶしになれば幸いです。

基本的に軽いノリかと思われます。

また、【 】の記号は、スキル名を表しています。

「痛!ちょっ、おま、針は痛いって!」

「やめ、やめて!早くパッシブ発動して!!」

「毎度毎度どうなってんだこの発動確率!」


必死にそう叫ぶ俺の周りには、アクティブモンスターが15匹ほど群がっていた。

しかもその全てが、紫色の外殻に黄色のまだら模様を持った針ワーム。

彼らがうようよとうごめいているのは、非常に吐き気を催す光景である。


しかし、俺からは手を出せない。


俺の職業は、あるスキルが発動しないと、その他一切のスキルが使えないのだ。


逃げだしたい衝動にかられながら、肉体的・精神苦痛に耐えて、ただそのスキルの発動を待った。



――パッシブスキル【魔王の束縛】が発動しました。



脳内に響くのは、機械的なスキル発動の効果音。

俺は、思わずほっと安堵の溜息をついた。


それと同時に、うねうねとしていた針ワームたちにエフェクトが発生する。


おどろおどろしい髑髏エフェクトが、針ワームの頭上に浮かびあがった。

針ワーム達の足は止まり、攻撃速度も目に見えて遅くなる。


無事に恐慌状態になってくれたようだ。

恐慌状態になったことで、針ワームたちのHPがゆるやかに減少し始める。


RPGでいう毒状態の強化版が、恐慌状態なのである。



俺は【魔王の束縛】発動による、スキル使用制限解除を確認して、弱化スキルを発動しながら長槍を振り回した。


「――【脆弱な兵士】!」

敵の攻撃・防御を減少させる【脆弱な兵士】のおかげで、なんとか針ワーム達の攻撃が痛くなくなる。

俺が、弱化した針ワームからくらうのは30ダメージ。

それに対して、俺の槍攻撃で与えているのは、たったの10ダメージ。


「――【冥界の祝福】!」

恐慌状態の針ワーム達に殴られ続けながらも、俺はニヤけて、ついに【冥界の祝福】を発動する。



これこそ俺の大好きなDoTスキル。

Damege on Timeを略してDoTと呼ばれている。

DoTスキルは、毒や出血といった、一定時間に継続してダメージを与えるようなスキルのことだ。


【冥界の祝福】は、範囲内の敵に、使用者のHP総量2%分の毒ダメージを一定時間与えるDoTスキル。

粘着質な俺の性格にはぴったりだ。



恐慌と毒のダブルパンチで、やっと苦しみだした針ワーム達に、長槍を振り回す。

相変わらず、針ワーム相手に10ダメージしか出ない。

ただ、俺にとって槍は、あくまでMP回復手段だから問題ないのだ。



「って、なんかダラダラしてたら……もう効果切れか!」

針ワームに表示されていた髑髏エフェクトが、頼りなく点滅し始める。

もうすぐ恐慌状態が切れてしまうのだろう。


「まだHP半分しか減ってねー……」

思わずそう呟いた俺を誰が責められよう。




それからしばらくの間、俺のマゾい戦いは続いたのであった。




――俺が、古参VRMMO「ワールド・クラウン・オンライン」で選んだのは、殴られ系マゾ職「ダークナイト」。


パッシブのカウンタースキルと、DoT・弱化系スキルしか使えない、火力皆無のネタ職であった。


その狩りのマゾさと、殴られているその狩りの様子から、人は彼らをこう呼ぶ――「真性マゾ」と。

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