四
続きです
よろしくお願いします
18歳の青年達は恐怖のあまり両親、最愛の人の名前を泣きながら叫びだす者もいる
中には逃げ出そうとし警備兵に捕まえられ手に持っている堅い棒の様なもので
めった打ちにされ席に戻される者もいた
おっさんは淡々と喋る
「別に死ぬわけじゃないのよ~勝てばいいのよん勝てばん」
「全てが終わればまた普通の生活に戻れるわよぉおおっほっほっおお」
おっさんは豚のように鼻をならしながら
腹を抱えて笑っている
俺も気が気ではなかった
俺が気を取り乱すと背の高い友人にも影響がでてしまうと思い
俺は下をうつむいたまま震える足を押さえクールに決めて見せた
「さてとどっち行くかなー」
ぼそっと呟き友人の方をチラっと見た
背の高い友人は怯える素振りも見せず
「俺はどっちでもいい」
と呟いた
友人の口元は少しニヤリと緩んでいたようにも見えた
「どっちでもいいって!?俺たち戦争しあうのは嫌だぜ一緒に東へ行こう」
俺は焦りながら友人に同じ軍になろうと促す
「そうするかなあ~東いっちゃおっかぁ」
いつものおちゃらけた感じで背の高い友人は喋る
甲高い声の男
「はいはいお喋りはそこまでよんっ目隠し渡すわねん」
そう言うと目隠しを配布し始めた
列の前から目隠しが回されてくる
後ろを振り向いて目隠しを回す時の子供たちの顔は
泣き顔だったり
笑顔だったり
怒りだったり
戦争できるのを喜んでいたり
こんな極限状態だからこそ人間の本当の喜怒哀楽を見れたのかもしれない
甲高い声の男
「後ろまで回ったら目隠ししてねん」
「さぁ行くわよ」
「東へ行きたい人手ぇ挙げてぇぇえんん☆」
生きる為の戦争
俺達の東西戦争がはじまる




