二
誤字脱字多いですが生暖かく見守ってくだされば幸いです
行って来ますの挨拶さえもろくにないまま家を飛び出た
外で待っているはずのあいつがいない
「あの野朗待っててくれてもいいだろーがよ」
チッと舌ウチをしてその場でしゃがみ込む
「おーいわりいわりぃ」
聞き覚えのある声が聞える
「集合場所まで自転車で行こうと思ってね」
背の高い男はチリンチリンとベルを鳴らしながら近づいてきた
何故だかイラッとした
後ろの荷台を手でぺしぺしと叩く
「後ろ乗れよ~」
男同士で二人乗りなんて正直・・しかもこいつと・・と思いつつも後ろに乗る
「時間ないから飛ばすよ~」
「うむしっかり頼むぞよ」
何故か偉い身分になったような言葉になる
青年は続けて喋る
「集合場所って何処なんだよ?」
背の高い男は自転車を走らせるのに集中しているのか
風の音で聞えていないのだろうか
問いかけには返事をしなかった
自転車で走る事1時間
黒い屋根の大きな建物が見えた
背の高い男は腕時計をチラチラと見ながら
「あれだあれだ間に合ったみたいだ~疲れたよ」
「うむ大儀であった」淀んだ
近くで見ると大きさに圧倒されそうな建物
「こんな建物いつできたんだろう」
小声でつぶやいた
二人は自転車を降り大きな建物の入り口へと歩いていく
入り口に近づくにつれ異様な雰囲気がする
重々しいどす黒く淀んだ空気
気を抜けば腰を抜かしそうなほど重い空気
まるで背中に何かを背負っているかのような感覚
不安ばかりが脳裏をよぎる
建物入り口に着く
そこには熊程ではないが大きな体をした屈強な警備兵
ざっと見て50人、いやそれ以上
「やばそうな奴らがいるな戦争でもはじめるつもりかよ」
俺は小声でつぶやく
とその時
「お前は今年18歳になった子達か?そうじゃない部外者なら出て行け」
大きな体をした警備兵は鋭い目で俺を睨みつけ荒々しい口調で話しかけてきた
「はい18歳になったばかりです今日この建物に集合と聞いて来ました」
ビビッタ俺は丁寧に大きな声で返事をする
「そうかおめでとう会場はこの建物入ってすぐ左の階段を下りた場所だ」
先ほどまでの荒々しい口調とは違い警備兵は笑顔で優しく会場までの道のりを教えてくれた
おめでとうと言われた時に何故か背筋に寒気が走った
警備兵の笑顔が少し怖く感じた
俺達は丁寧にお礼を言い建物に入る
入ってすぐ左の階段を下りる 階段は薄暗く狭くそして寒かった
コツコツコツ
階段を下りていく
コツコツコ・・
何処まで下りて行くのだろうか
「階段長いな一体何処まで下りていけばいいんだ」
足を止めて俺はぼやく
背の高い男は黙って頷く
「お前ビビッテんの?」
さっきから黙ってばかりいる背の高い男を心配してか
俺はいつもの調子で煽る
「うるさいな歩けよ寒いからさっさと下りたいんだ」
背の高い男は少し不機嫌そうに答える
「ああ寒いの苦手だったっけかわりぃな」
不機嫌そうなのを察し俺もいつもの調子で謝る
コツコツコツ
まだ下りる
まだまだまだまだまだまだ下りる
階段を下り出して20分程たった
ゴーッという音と共に
「お・・・・と・・・う」
声?音?が聞える
会場がもう近いんだろう
そう思い俺達は歩くペースを上げた
下りていくにつれてはっきりと聞えてきた
「おめでとう!」
ドゴーンパチパチパチ
会場で既にパーティーでも始まってるのだろう
俺達は更にペースを上げた
階段を4段飛ばして駆け下りる
こんな荒業を使っても転げない俺の運動神経は見上げたものだなんて
思いつつ階段を飛び降りていく
そして目の前に大きな黒い扉が現れた
あめでとうの声はこの扉の中から聞えてくる
「遅刻してんのかな俺たち・・・入るのためらっちまうな」
背の高い男は小さく頷く
「でも入らないと駄目だよな・・しかたねぇ入るか」
二人は大きな扉を重々しく押し開ける
目が潰れそうなほどのまぶしい光
耳をつんざくとてつもなく大きな歓声
爆発音ともとれるような拍手
巨人でも収納できそうな部屋
暗い階段を歩いてきた俺達
いきなりのまぶしい光によって一時的に視力を奪われる
甲高い声の男がいきなり拡声器らしきもので叫ぶ
「welcome!welcome!ようこそ18歳!おめでとう!おめでとう!18歳!」
階段に聞えてきたあの音はこの人の声だろうと俺は一瞬でわかった




