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第10話 初めてのデート? 後編

「…もうお昼か。」


長い二度寝から覚めたナシュは、天井を見上げ、ふとつぶやいた。


「暇だなー。」


師匠がいればギルドに行ってさっさとランクを上げるのだけれども、

一人で行く気にはなれない。


正直、一人で行っても依頼を達成できるほどの力はあるつもりなんだけど、

「勇者の力」を使えるようにしなきゃいけない。


思いを力に変える力。名前はカッコ悪いけど、思い、すなわち精神力をそのまま力に上乗せする能力。

人によっては、持っている力を2倍にも、10倍にも、100倍にすることだってできる。


しかも、人は経験を積めば積むほど、精神力を鍛えることができる。


ようするに、修行をすれば同じ修行をした人の倍以上に強くなっていることになる。


だけども、自分一人では「勇者の力」を使えるようにはならない。

正しい言い方をすれば、使うことができない。


「…どうしようかな。」


深く考え込んでいると、体から大きな音がした。

ぐぅぅぅぅ


正式にはお腹からであるが。


「そういえば、今日は何も食べてなかったですね。」


近くに大衆食堂があったはずだし、行ってみますか。

…どうせ師匠は夕方まで帰ってこないって言ってましたし。



軽いおしゃれをして大衆食堂へと向かうと、食堂から出てきた人が目に入った。


「あれは、師匠じゃないですか?…うんそうだ。ししょ…?」


ここらへんで黒髪といったら師匠くらいしかいない。

顔がはっきりと見えたので、呼びかけようとしたとき、もう一人の存在気付いた。


「…あの子供は何ですかね?あの茶髪娘はもしかして、もしかしたら師匠の彼女さんとか言わないですよね。」


見た目は13、4だろうか?茶色で短髪の女の子といった感じだ。


「…いやたまたま声を掛けられて、食堂まで案内したとかそういう関係なはずです。」


頭で言い聞かせながらも、ナシュは二人のあとを追っていた。


「二人で本屋ですか…。」


二人の会話を聞く為に、本棚を一つ隔てたところで聞き耳を立てる。


「結構種類あるんだけど何かオススメある?」


「私が読んだのはこれかな?三つの世界が全部載ってて結構ためになるのよ。」


「じゃあそれでいいや。思ったより早く決まったな。」


「んじゃ喫茶店でも行かない?もちろんおごりなさいよ。」


………デートだ!!


二人でランチをとって、二人で買い物して、二人で喫茶店に行く。

どう見てもデートにしか見えない。


「…いえ、たまたま出会った少女に、お金がないと飯を奢らされて、その代わりに本を選んでもらったら、今度は喫茶店が近くにあるって話を聞いて、甘いものが好きだから行ってみるかみたいな感じなんです!きっと…。」


自分で言っていて、あり得ないと思ってしまった。


ほかにも頭の中で必死に自分に都合のいい解釈をしてみたが、

デートをしているが一番しっくりくる。


「まさか、師匠がロリコンだったなんて…。」


変な誤解を受けた優輝であった。




「…なんていうか、本当に村なのかここは?」


優輝がいる場所はとても落ちついた雰囲気のある喫茶店だった。


「まぁそう思うのはわかる気がするわ…。」


落ちついた雰囲気がありつつも、ところどころにある絵画がその雰囲気を華やかに見せている。

元ひきこもりの二人には幾分かつらい場所でもあった。


「どうぞこちらにおかけください。」


見るからに執事の格好をした老人に案内された席は外からよく見える窓際の席だった。


「…そとから丸見えよね?」


「とんだ晒し者だよな…。」


執事から見ればこの二人はカップルに見えたのでこの席にしたのだが、

この二人からすればいい迷惑だった。


「とりあえずメニューを見るか。」


メニュー表を開くと、今度はちゃんとしたものだった。


「ちょっと見せて……よかった、今度は魔界にあるものと一緒だわ。」


メニュー表にはコーヒーや、ケーキ、パフェなどの定番メニューもあった。


サファイアが魔界にあるものと一緒といっていたから、人界より魔界の方が地球に近いらしい。


「御決まりになりましたらベルをお使いくださいませ。では、失礼します。」


まさに執事といった感じで去っていく。


「…あの人ただの店員さんじゃないわね。」


「?まぁ熟練の執事って感じはするけど。」


「自分の持っている魔力を完全に隠しているのよ?上級の魔族でもなかなかできないわよそんなこと!」


「そう言われてみれば、なんかいるはずなのにいない感じがあったかも。」


見えていなければいることに気づかないくらいに執事の気配が薄かった。

魔力の質が見えるサファイアでなければ、魔力を隠していることには気付けなかったくらい、

執事のレベルが高いことを示していた。


「さすが、トラヴィスタ家のグループ店だけあるわ…。」


トラヴィスタ家という言葉を聞いた瞬間に飲んでいた水を吹いてしまった。


「うわ!汚い!何吹いてんのよ!!」


「げほ、げほ…、わっわるい。」


慌ててテーブルを拭こうとしたがテーブルに敷かれていたテーブルクロスは一切濡れていなかった。


「大丈夫ですか、テーブルクロスは変えておきましたのでご安心ください。」


テーブルクロスは濡れていなかったのではなく、一瞬で違うテーブルクロスに変えられていた。

先ほどの執事が一瞬でそれを行っていたのをサファイアはしっかりと見ていた。


「あっありがとうございます。」


「では失礼します。ごゆっくりと御寛ぎくださいませ。」


そういうと執事は今度は消えるように去って行った。


「…本当にただの店員じゃないわね。うちに欲しいくらいよ。」


「さっき、トラヴィスタ家のグループ店とか言ってたけど、それってマジ?」


「マジもマジ、魔界で一番の大富豪でしょうが!そんなのも知らないの!?」


「いや、全くそういうのと無縁だったから…。」


大富豪って…。ってことは何だ?エレンは大富豪のお嬢様ってことか?

いや魔王の配下にはそういうのもいるだろうけど…。


母さんの借金肩代わりしてるくらいだから、かなりの金持ちなのは予想してたけど…。


「なに考え込んでるのよ!もしかしてトラヴィスタ家の隠し子か何か!?」


「んなわけないだろう。(一人娘さんとは知り合いですけどね!)」


「でしょうね。本当にどこに住んでたのよ?魔界の上位魔族すら知らないって…。

人界でも有名の魔族よ?魔族で唯一、人界にもグループ店を出している大商人なのに…。」


「なんだか詳しいな?」


「まぁちょっと親が知り合いらしくてね。よく争っていたらしいわ。…私には関係ないけどね。」


「…なんかわるいこと聞いたみたいだな?」


「うるさいわね!あんたもう頼むもの決めたの?私はチョコレートパフェとカフェオレとショートケーキとホットケーキと…」


「ちょっとまて多すぎるだろう!!飯食った後にそんなに食えんのか!」


「女の子には別腹ってもんがあんのよ!それに食べられなかったらあんたが食べればいいでしょ。」


「…勘弁してください。」




「なんでメニューを頼むとき全部俺に言わせるんだ?」


「別にいいじゃない、あんたの方がそういうの慣れてるんでしょう?」


結局、御互い飲み物と、一人では食べきれそうもないジャンボパフェで勘弁してもらった。

ジャンボパフェはサファイアが言いだしただったのだが注文したのは俺であった。

別に慣れているのは間違いないし普通ならいいんだが。


「カップル専用ラブラブジャンボパフェ~二人の愛を確かめて~季節の果物とチョコレートの甘いハーモニー。なんて言わなきゃいけないんだよ!!」


「相変わらず、その台詞を聞くと寒気がするわね…。」


「お前が決めたんならお前が言えよ!恥ずかしくて死にそうなんだよ!!」


しかもこれと似たよう名前の商品がたくさんあり、略して言うこともできず、耳を真っ赤にして言わざる負えなかった。


「私だったらそんな恥ずかしい台詞死んでも言えないわ。」


「ならなんで頼んだ!!」


「しいて言うなら一人で頼みにくくて値段が張るものを選んだだけよ?」


たしかにこの、カップル専用ラブラブジャンボパフェ~二人の愛を確かめて~季節の果物とチョコレートの甘いハーモニー。はこのお店の中で一番高く、カップルでしか頼めませんと書かれた、何とも独り身が見ただけでイラッとくるメニューであった。


「つーか、カップルじゃないだろう、まだ初対面なんだし。」


「カモに初対面もないわよ。」


「ついに本性表したな!!ってかカモって言い方は酷くないか!!」


「冗談よ冗談。こういうのって成り行きでしか頼めないし、奢ってくれるっていったし、

ノリがいいから頼んでくれると思って。」


「…まぁ俺もこういうの頼んだことないからちょっと興味あったしな。」


冗談を言ってから本音を言うのはちょっとずるい気がする。

見た目が子供っぽいから余計威力があるんだよな…。


「お待たせしました。カフェオレが御二つとカップル専用ラブラブジャンボパフェ~二人の愛を確かめて~季節の果物とチョコレートの甘いハーモニー。が御一つになります。では失礼します。」


俺が言うと寒気がするんだけど、この人が言うと違和感ないんだよな。

慣れなのかな?仕事以外では決して慣れたくないけど。


「なんか凄いわね…。」


意外に大きく高級そうな器に金粉やら、色とりどりの果物があり、その上にはチョコレートがかかっている。ぱっと見は普通のパフェなのだが、貫禄みたいなものが見える。キングオブパフェといっても、通じるようなものだった。


「パフェも凄いんだが窓を見てみろ。」


「え?………うわぁぁぁ。」


このパフェが珍しいのだろか?通行人が足を止めこちらを見てくる。

一人や二人などではなく、数十人のレベルで…。


「…気にするとずっと続くぞ、さっさと食べよう。」


「…そうねってあれ?スプーンとフォークが一セットしかない?まぁいいわあんたがフォークを使いなさい。」


「…わかった。」


サファイアがクリームやアイス、俺が周りの果物といった感じで役割分担して食べていった。


「…飽きた。ってかあんたばっかりずるいわよ!!私にも果物食べさせなさいよ!!」


「ばれたか。わかったよどれがいい?」


「その赤い奴。」


「はいよ。」


言われたものにフォークを刺してサファイアの口元に持っていく。

サファイアが「あーん」といいその果物を食べる。

…なんか和むな。


外が何かうるさいけどなんだろう。


「やっぱりおいしいわね。次交代!はいスプーン。」


スプーンとフォークを交換して今度は俺がクリームやアイスを食べる番に入った。


なんだかまた外がうるさい。普通に食べているだけなんだけどな?


ちなみにいつもの逢沢家では


「ゆうちゃん。あーん。」


「あーん。…うんおいしいな。」


「そうでしょ!今日はちょっと高いお肉だったんだよ。ゆうちゃんのも頂戴。」


「はいよ。ほれ、あーん。」


「あーん。うん、やっぱりゆうちゃんがあーんしてくれると、とってもおいしいわ!」


「っていうか、こんな歳にもなってあーんするのっておかしくないか?」


「何言ってるのゆうちゃん!こんなの何処の家だってしてるのよ!!むしろこれが普通なの!!

してない方がおかしいのよ!!」


「そうだよな、これが普通であってるんだよな?」


「そうよ、小さい時からずっとしてるじゃない?ほらこのピーマン食べて、あーん。」


「母さん好き嫌いが多すぎ。あーん。…ちゃんと母さんもピーマン食べなさい。」


「ゆうちゃんがあーんしてくれるなら、頑張って食べる!」


「わかってるよ…。ほら、あーん。」


「あーん。…苦いけどゆうちゃんが食べさせてくれたからおいしい。」



こんなことが日常になっていた優輝には外から感じる視線の意味がわかることはなかった。


サファイアの方はただ単純にひきこもり期間が長すぎて、優輝がやっていることが普通なんだと思っていて、パフェを見るために通行人が足を止めているくらいにしか思っていなかった。





深く考え込んでいる間に優輝たちを見失ってしまったナシュは、喫茶店の周りに来ていた。


「中に入ってもいいんですけどね。…いや無理ですね。」


自分の財布の中身を確認して、またため息をする。

ここは人界でも有名なトラヴィスタ家のグループが運営する喫茶店。


外見はこの村に合うようになっているが、内装がとても豪華で、カップルにとても人気のある喫茶店であるが、料金がほかの喫茶店よりも割高なのである。


今、ナシュが気にしているのは割高なことではない。

師匠が女と二人でカップルに人気のある喫茶店に来ていることだった。


「師匠は本当に彼女さんとデートでしょうか…。」


胸の中がどんどんともやもやしてきた。


「…もしかしてこれがヤキモチっていう感情なんでしょうか。」


初めての感情に軽く戸惑っていると、視界の中に黒髪の人が見えた。


慌てて近くの木に隠れると、気付かれないようにして顔を確認する。


「うん師匠だ。ってあの席は…。」


あのお店はちょっとした噂がある。

外から見える席で、カップル専用ラブラブジャンボパフェシリーズの最高級の、

カップル専用ラブラブジャンボパフェ~二人の愛を確かめて~季節の果物とチョコレートの甘いハーモニー。を頼むと、二人は末永く幸せになれといった噂が…。


実際そんな物を頼んでいる時点で、かなりのバカップルだし、あのあり得ないほどの値段の物を頼めるのなんてお金持ちくらいだからそりゃ幸せになりますよね。


外から見える席でそんな物を頼んだら、噂を信じている人たちが見に来ることなんてわかりきっているから、誰もやろうとしない、ある意味伝説級の噂だから気にしなくても…



「見てあれ!!」


「あれってもしかして、カップル専用ラブラブジャンボパフェ~二人の愛を確かめて~季節の果物とチョコレートの甘いハーモニー。じゃない!!」


……あれ?


師匠の方を見てみると、二人は向かい合っておりその間には、

カップル専用ラブラブジャンボパフェ~二人の愛を確かめて~季節の果物とチョコレートの甘いハーモニー。が置いてあった。


一人が立ち止まると一人また一人と立ち止まりそれが連鎖になって大きな人混みができていく。


二人が食べていく光景は一種のショーみたいになっていた。



途中で相手の方が何かを言いだした。

多分恥ずかしくなったのだろう。

普通なら恥ずかしさで食べてられないはず。


「みて彼氏の方が!!」


キャーといった歓声が起こっている。


何が起ったのかと見てみると、


ナシュの中の時が凍りついた。


彼女と思われし人が優輝に、あーんをされていた。


「……………………………………。」


ナシュの体からオーラのようなものが出ている。

隠れていた木を強く握ると、

メキメキメキッという音を立てていく。


優輝がフォークとスプーンを交換してまた食べ始めた。


「………間接キスまで。」


木が大きな音を立てて倒れていく。


しかし、周りのギャラリーはそれに気付かず優輝たちの方を見て目を輝かせている。


「見て、そろそろ食べ終わるわよ!」


「私あの噂を本当にやる人始めてみた!!」



二人はパフェを食べ終えカフェオレを一気に飲み干した。


「さて、食べ終わったな…。」


「なんだか、どっと疲れた気がするわ。」


「視線が痛いからさっさと行こう。」


「…賛成。」


外をちらっと見るとたくさんのギャラリーが手を振ってくる。

一体何だって言うんだ。


「でもこのままだと、あの人たちに囲まれそうね。」


「そうだな、裏口から逃がしてもらう?」


「…いえ裏口も危なそうだから、ちょっと魔法を使うわ。さっさと会計を済ませて。」


会計を済ませると、サファイアは執事に何かを尋ねて俺の方に振り向いた。


「許可も取れたから行くわよ。」


そういうと彼女の周りに魔法陣のようなものが現れて、体がどんどんと粒子状になっていく、

確かこれは、母さんが使った魔法に似ているような。



目の前が光りに包まれたと思った瞬間、俺とサファイアは村の広場に立っていた。


「…ちょっと距離あったし、しばらくきついかしら。」


サファイアを見てみると、かなりふらふらしている。


「大丈夫か!?」


「…寝不足で魔力を限界近くまで使ったから眠いだけよ。

少し…寝かせて…頂戴…。」


そういうと俺の方に倒れこんだので支えると寝息を立て始めた。


「かなり無茶したのか…。」


近くにあったベンチにサファイアを寝かすと、優輝はベンチに座りサファイアの頭を太ももに乗せる。

いわゆる膝枕をしていた。


「なんか寝顔を見てると俺まで眠くなってきた…。」


軽く瞼を閉じただけのつもりだったが、優輝は夢の中へと入って行ってしまった。




目を覚ました時にはもう夕方になっていた。


「ふぁ~、……もう夕方か。サファイアはまだ寝てるか。」


サファイアを見ているとスヤスヤと寝ている。


「寝てると可愛いな。起きてるとうるさいけど。」


そう言いながらサファイアの頭をなでていると、遠くから


ドーンという大きな音がした。


「…膝枕まで。」



…あれってナシュさんですよね。隣に倒れた大きな木があるんですけど、何だろうな…。


「し・しょ・う!!」


大きな足音を立てながらどんどん近付いていらっしゃる。

なんだかめっちゃ怖いんですけど。


ものすごいオーラを放ちながらゆっくりと優輝に近づき優輝の一歩前で立ち止まる。


「しーしょーうー!!その子は何ですか!!」


「あのナシュさん…ちょっと怖いんですけど…。」


「質問に答えてください!!」


「…うーん。」


ナシュの大声でサファイアが起きたようだ。

サファイアがナシュの顔を見ると、


「…あー、こいつの彼女さん?」


どうやらナシュを俺の彼女だと思ったらしい。

ナシュが「へっ!?」っていう顔をしている。

サファイアがゆっくりと立ち上がり。


「…悪いことしたわね。んじゃユウキ、私は帰って寝なおすわ。また明日…明後日だっけ?

お昼にギルドで会いましょ。」


大きなあくびをしながら帰って行った。


「…とりあえず師匠。」


「…何ですか?」


「続きは帰ってからゆっくりと聞かせてもらえますか?」


満面の笑みなはずなのに、今の俺には怒っているとき以上の恐怖が伝わっているのはなんでだろう。


首根っこを掴まれて、宿まで引きずられていく優輝だった。




『エレン、今話せる?』


『何でしょうかアリス様。』


『ちょっと嫌な予感がするから、急いだ方がいいかもしれないわ。今どこら辺?』


『今はまだ王都です。明日には魔界の入り口に着けると思いますが…嫌な予感ですか…。』


アリス様の嫌な予感は余り外れたことはない、というのをお父様やお母様から伝えられている。

とくにあることに関しては100%の自信があるらしく一度も外れたことがないとアリス様自身も仰っていた。


『そう、しかもゆうちゃんに関しての予感よ…。』


『!本当ですか!?』


あることに関してというのは、アリス様の息子で居られますユウキ様のことです。

その気になられれば何処にいてもユウキ様の場所が分かるほどに当たるそうで…。


『ええ、命の危機ってわけじゃないと思うけど、なんかものすごくゆうちゃんが怯えている感じがするの。』


『…そうですか。なるべく早く向かいますが、やはり往復で2週間はかかります。』


『それに関しては片道の心配をするだけでいいわよ?』


『…それはどういうことでしょうか?』


『母さんに話をしたら、帰りは送ってくれるって言ってたから。』


『なるほど…。今、お父様の元にいらっしゃられるのですね。』


『そういうこと。後、孫の顔が見たいから、エレンの記憶を覗かせてほしいって言ってたわよ?』


『その件に関しましては「あまり深くは覗かないでください。」とお伝えください。』


『わかった、それじゃなるべく早く帰ってあげてね。あんまりほっとくようなら、私が結婚しちゃうからね。』


そこで念話が切れた。

あいかわらず冗談が上手い御方です。




今、俺は正座をしながらナシュの取り調べを受けている。


「では、成り行きなんですね。デートじゃないんですね。ナンパをしたわけじゃないんですね。

彼女ではないんですね、彼女もいたこともないんですね。」


「その通りでございます。」


なんか師匠と弟子の立場が逆転しているよね?

年齢=彼女いない歴 まで聞かれて俺の精神はもうズタボロなんですけど…。


「…それじゃ今日あの子にしたことを、明日私にもしてくださいね。

それで許してあげます。…そうですね、それと今日は腕枕してください。」


「え!?腕枕は勘べ「わかりましたね!!」…わかりました。」


その夜は、腕枕しているせいで向かい合って寝ることになり。

悶々としながら寝ることになった。


おかげ様で次の日、目にくまができたことは言うまでもない。




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