表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/8

8話

満足げな神官長が帰って行った後。


「さて」


 まだお昼くらいだ。

 

 ……ともなれば、やることは一つ。


「森を散策しよう!」


 私の目標といえば、スローライフ。

 スローライフといえば、好きな時間にお散歩するものだろう、たぶん。


 魔物がうようよいるんなら、せっかくだし、ご対面してみたい。

 それに、お腹が空いてきたんだよなぁ。

 いや、物理的には空いてないんだけど、心理的に。


 ……というわけで。


「ニートといえども、外にはでよう!」


 陽光を浴びることは大事だとかなんとか、神官長もさっき言ってたし。


 さて、早速うきうきわくわく、扉を開けーー。

「うっ……!!」



 日が眩しい!


 え?

 陽光ってこんなに眩しかったっけ?


「……だめだ、明日からにしよう」


 せめて、夕方。

 夕方にしよう。

 うんうん。


 寝室に戻って、ベッドにダイブ!

 私の妄想力もといイメージ力により、ベッドはいつも最高の状態だ。

「わーい」


 さっきは、神官長が来て面倒だなぁとか思っていたけど。

 神官長が来たことにより、また新鮮な気持ちでぐうたらできる!


 そうか、私に足りないのはこれだったんだ!!


 適度な刺激。


 それが欠けていたのね。


 ……まあ、毎日来られても困るから、三ヶ月に一度くらいのペースで何か起こったらいいなぁ。


 うんうん。


 それでは、皆様おやすみなさい。


◇◇◇


(神官長視点)

「……?」


 俺がリアナの領地から戻ると、聖女ユリアが待ち構えていた。


「どうしたんだ、聖女ユリア」


 ユリアの頭には無垢なる世界樹の冠がある。その冠が、ユリアが聖女たる証だった。


「神官長」


 ユリアは、アリアとお揃いのグリーンの瞳で、俺を見つめた。

 ……嫌な予感がする。


「わたくし、聖女を辞めたいのです」

「……は?」


 聖女を辞めたい。

 まだ、ユリアが聖女として立ってから、一週間と少し。


 ユリアは大いなる光。


 そうであるように、育てられてきたはずだ。


 そして、ユリア自身もそれを望んでいた。


 だからこそ、リアナは煮湯を飲ませざるを得なかった。


「だってぇ」


 ふっ、とまつ毛を伏せたユリア。


 その表情は、明らかに、以前と異なる。

 無垢な様子は微塵も感じられない。これでは、まるでーー。

 


「わたくし……、恋しちゃったんですもの」



 頬を桃色に染め上げて、そう言う姿は、いつぞやのアリアに似ていた。

 姉妹なのだから当然なのだが。


「つまり、その無垢なる冠の重みを理解していないと」


 アリアと同じか。

 ……俺は元々ユリアを聖女にするのは反対だった。


 それでも、聖女の座にねじ込まれたのは、ユリアのやる気と聖なる力が見込まれてのことだったのに。


 しかし、すぐに、その座を放り出すようなら、聖なる力の衰えも早いだろう。


「やだ、こわーい」


 ユリアは肩を抱きしめて、震えて見せる。


「なんのために、聖女になった? 誓いの言葉は、嘘だったのか?」


「嘘じゃないわ。気が変わったの」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ