7話
大切……大切?
「そうですか」
神官長が、私を大切に思ってくれたことはわかった……いや、いまいち納得はできないけど。
「でも、それと手紙の件、関係ないですよね?」
神官長が私をどう思うかと、私が神官長をどう思うかは別なはずだ。
「まあ……そうだな」
神官長が、しょんぼりと頷いた。
よほど、ショックだったらしい。
えっ、そんな顔するんですね!
あんなに普段、偉そうなのに。
「……でも、心配してくださってありがとうございます」
感謝は、伝えておくべきだろう。
うんうん。感謝は大事。
「ああ」
小さく頷いた神官長は、まだ元気がない。
だんだんかわいそうになってきた。
「何か……何かあったら手紙を出しますね」
まあ、ニート生活に特に何も起こるはずないけど。
「何もなくても書いてくれないだろうか?」
えっ……!!
うーん……ううーん。
「一ヶ月……いや、三ヶ月に一回くらいなら」
まあ、私も神殿の後輩の様子とか気になるし。
三ヶ月に一回なら丁度季節の変わり目くらいでいいんじゃないだろうか。
「わかった。……ありがとう」
やっと、少しばかり元気を取り戻した神官長は、ふと、私を見た。
「俺は――」
「はい」
神官長は、そこで一瞬アイスブルーの瞳を揺らした。
何かを口に出すのを悩んでいるようにも見える。
「俺は――ユリアが聖女として落ち着いたら、還俗しようと思っている」
「え!?!?」
あの、あの権力の鬼とまで言われた神官長が、還俗。その座を手放す……だと!?
「何か心境の変化が……?」
思わず尋ねてしまった。
でも、気になる。
かなり大きな心境の変化があったに違いない。
神官は、神官期間中は、男性としての機能がない。つまり――、好きなひとができたから、神官辞めたい、とか?
これは一大事。
えー、もしそうだったら、誰だろう。
後輩のメグミあたりが怪しいと思うんだけどな。
「もう、地位にこだわる必要がなくなった」
必要がない。……お金が貯まったとかかなあ?
神官長ともなれば、お給料もたんまりだろうし。
その金に魅せられて普通は、やめたがらないんだけども。
「へぇ、そうなんですね!」
まあ、神官長ともなれば、面倒ごとも多かっただろうし。
案外、疲れて早く第二の人生を送りたいのかもしれない。
「長きに渡るお勤め、お疲れ様です!! 還俗パーティーには呼んでくださいね」
還俗パーティーでは、美味しいご飯も出るだろうし。
「いいのか、呼んでも?」
「……? ええ、まあ」
さすがに、それくらいの神官長に対する感情はあるつもりだ。
なぜ、そんなに含みを持たせられるのかがわからない。
「……わかった」
ゆっくりと細められた瞳は、嬉しそうだった。
私って、そんなに冷酷に見えるかなぁ。
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