第94話 停滞の森へ
シュミ達が、領都ブラウニーで暇を持て余している頃、ブラウニーから西に馬車で10日程の距離にある、停滞の森から不穏な気配が動き始める。
停滞の森は、上手く物事が進まない事が多い為、冒険者や兵士達からそう呼ばれている。
森の中では常に方向感覚が失われ、魔物や魔獣の住処になっていてるが、希少な魔鉱石が取れる場所だ。
その為何度も採取隊が組まれ、冒険者の護衛隊も何隊も森に入っているが、ほぼ壊滅状態で帰って来る。
昼夜の判断も出来ず、絶え間なく魔獣や魔物が襲い掛かって来る為、警戒状態のまま数日過ごす事になり、精神的にも肉体的にボロボロの状態に陥る事になる。
その停滞の森から、以前とは桁違いの瘴気が発せられていた。
森の中では黒く不気味な物が、数多く蠢き数を増やしていった。
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そして、その情報がユウナの元に届いたのは、ブラウニーに駐留して2か月も経った頃だった、ユウナの斥候部隊はブラウニーに着いて、すぐに各方面に散って情報を集めに奔走していた。
斥候部隊を取り仕切っているライラ部隊長が、夜遅くにユウナの司令官テントに入って来た。
「ユウナ様、斥候が帰ってまいりました。」
ベットに横になっていた、ユウナは起き上がり、テント内の机の上に地図を広げながら、ライラの顔を見た。
「そう、遅かったわね。」
ユウナは、素っ気無い返事をした。
「申し訳ございません。」
ライラは深く頭を下げる。
「っで、情報は?」
「はい!ここより西にある、停滞の森と呼ばれる森に、濃い瘴気が出ているとの事です、そこには無数の魔獣や魔物が集まっている様です。」
「そう、西ですね……。では、我が全部隊に伝えて……早々に出陣準備をしなさいっと。」
ユウナは少し思考した後、寝間着を脱ぎながらライラに伝えた。
「は!」
ライラは、指令本部テントへ走って行った。
「西ですか~……国境に近いから厄介ですね……。」
ユウナは、ポツリと独り言を言いながら、深紅の鎧と深紅のマントに着替えて指令本部テントへ向かった。
夜が明けると、一斉に駐留している全ての部隊が準備を始めると、各部指揮官クラスが指令本部テントに呼び出された。
シュミ達の中からは、もちろんマリアが呼び出される。
そして指令本部テントでは、ボラタより各部隊へ役割と遭遇時の作戦内容が告げられた。
「ふう、疲れました~。」
マリアは、凝った肩を回しながら、シュミ部隊の指揮テントに入ると、シュミPTは、皆集まっていた。
(シュミ・ボラタ・セルーヌ・マリア・ソーシャ・エリカ・ジュリア・しのぶ)
「皆集まっているわね、私達は先鋒を受け持つことになったは、先鋒と言っても、斥候に近いけどね。とりあえず、接触して敵の情報を集めて、後方にいる部隊に情報を共有し、火力が限界に達したら、後方部隊と交代を繰り返すわ。」
マリアが皆に説明した所で、テントの外から「ゴホン」っと咳払いが聞こえる
「あっ!そうそう今回は、ハボック様やリリールルがボラタ様の部隊なので、雅さんが私達のPTに入る事になったわ。」
テントに雅が入って来る。
「え~っと、今回はお日柄も良く……じゃなく、え~っとよろしくお願いします!」
あわわしながら、雅は頭を下げた。
「よろしく~!」×8人
まるで子供の集まりの様な返事をする。
そしてシュミ達PTと近衛兵100人は、停滞の森へと出発する。
今回は速度重視の為、近衛兵達も最低限の荷物しか持たず、シュミ達の馬車を先頭にかなりの速度で、西へ向かって走る。
そして、ボラタ部隊・ユウナ部隊・王国軍・ブラウン辺境兵が順次出発した。
ちなみに、冒険者部隊と貴族私兵混合部隊は、指揮官クラスに適任な者がおらず、結局ボラタ部隊として2800人をボラタが指揮する事となった。




