第89話 再会
シュミ達は、馬車を走らせ急いで移動しているが、皇国国境沿いに行く予定だが、国境沿いのどこに行くと決まっていなかったが、途中でマリアにボラタから連絡が入った。
「はい……はい……分かりました……急いで向かいます。」
「ん?どうした?……かーさんから?」
シュミは手綱を握り、マリアの方を向いた。
「えぇ、グリーグの町に向います。ボラタ様の情報だと、リンクス様がピュトーン及び眷属と戦闘に入ったそうです。」
マリアは、御者台に移動してシュミの横に座る。
「マジ?ヤバくないか?」
シュミは、焦った顔をする。
「多分大丈夫です!ユウナ様が向かったそうですよ。ウォックス家の精鋭を連れて、ボラタ様もグリーグの町に向ったそうですよ。そこで集合です。」
「そうか……なら…勝てるな!…よし急ごう!」
「えぇ。」
シュミは、馬を早く走らせる。
シュミの馬車が、スピードが上がったのを見て、ジュリアも馬車のスピードを上げる。
「なんかあったんっすかね?」
「たぶんね。」
ジュリアの問いに、しのぶは短く答える。
シュミ達は5時間程走り、日も沈み、やっと遠目にグリーグの町の明かりが見えて来たが、途中リンクス達が戦闘したと思われる、焼き焦げた大地を通過した。
グリーグの町に入る門の門兵が話しかけてくる。
「失礼する、ウォックス家の御一行か?」
「あぁ。」
シュミは短く答えた。
「そうか、この門からずーっと真っ直ぐ突き当りまで行くと、宿屋のカドヤという宿に、ウォックス家の御一行が居る。そちらに行ってください。」
「はい、分かりました。」
マリアが答える。
シュミ達は馬車を走らせ、カドヤに着いた。
馬車を馬車係に預け、シュミ達一行は宿の中に入ると、リンクス・ボラタ・ユウナ・レカルド達が、一階の食堂兼酒場で、シュミ達の到着を待っていた。
「ご苦労様、みなさん。今日はゆっくり飲んで食べてしてください。」
ボラタが、シュミ達に微笑みながら迎え入れる。
「お疲れさん!シュミにみんな!」
リンクスが、エールを飲みながら、言葉をかける。
「お兄様、遅いお出ましで。」
ユウナは、食事をしていたが、一度手を止めこちらをチラッと見たが、食事を再開した。
「ふう、疲れてたよ。」
シュミは、テーブルに着きながら言う。
「すみません、遅くなりました。」
マリアは、頭を下げてると セルーヌ達も皆頭を下げた。
そしてシュミと同じテーブルについた。
「ところで、ピュトーンはどうでしたか?」
シュミは、リンクスの方に顔を向けた。
「ん?あぁ、最初からピュトーンは、応援と合流して倒すとレカルドと決めてたんだよ。だから最初は防戦の構えをしてたんだけど、眷属が出てきたからなぁ〜、防戦してたらジリ貧と思ったから、応援が来るまでピュトーン以外を倒さないとなぁ〜っと思ってよぉ、戦端を開いた訳だ。」
リンクスは、エールをグビっと飲み話を続ける
「こっちの負傷者が、思ったより多くなってなぁ、ヤバいと思った所に、ユウナが来てくれたというわけさ!」
ニヤニヤしながら、ユウナの方を見ると、ユウナはため息つきながら、呆れ顔をしていた。
「言っておきますが、お父様!もう少し戦い方を学んだ方が良いのではありませんか?突撃と後退以外にも、戦い方はあるのですよ!」
ユウナは、アホを見るような目つきで、リンクスを見る。
「お?おう…そだな。」
リンクスは、頭を掻きながら返事をした。
「お祖母様が、迅速に私達を派遣したから良かったものの、1日でも遅れてたら、お父様達の屍だらけでしたよ?お祖母様に感謝ですね!」
ユウナは、素っ気なく言う。
「おう。」
リンクスは短く答え、レカルドのテーブルの方に、そそくさと移動した。
「お兄様も、部隊を率いる戦いを経験した方が、良いのではないですか? 指揮を執る事も、今後あると思いますし、冒険者等辞めて、ウォックス家の恥にならない様に、色々勉強すべきですわ!」
ユウナの矛先がシュミに移った。
「ん?えーっとな…ユウナは、かーさんの次に当主になるから、部隊を任されているんだよ。俺はさ……ほらパーティーの少人数の指揮で手一杯なのに、部隊を率いるとか無理なんだよ。それに指揮は、ほとんどマリアにしてもらってるし、お前ほど優秀でもないし、冒険者位が丁度良いんだよ。」
シュミは、自分が部隊を率いる才能が無いのは、知っているし、人に任せるより自分がやった方が早いと思う性格なので、人の能力を伸ばす作業は、向かない事を知っている。
「だから、お祖母様も俺ではなく、お前に色々任せているだろう?お祖母様は、人の能力をどう使えば効率的か、分かっているんだよ。俺が少人数精鋭の方が、戦いやすいと思ってくれているから、ウォックス家の冒険者として、使っているんだよ。俺達も外から見れば私兵だが、私兵の様に王国軍の規律のしがらみもなく、迅速に自由に動ける部隊として、お祖母様は俺達を家名付きの冒険者にしたと思うんだよ。」
ユウナに、シュミは真面目に話す。
「えぇ、分かっていますよ。兄様が人を扱えないのは……ただ、部隊を率いれば視野を広くなりますし、色んな戦法が使えるのではないですか?だから、経験をしておくのも良いという話ですよ。」
ユウナも色々と考えている事が分かる。
「確かにな!だがその時指揮を執るのは、俺ではなくマリアだと思うけどなぁ〜。」
シュミは、マリアの方を向くと、嫌そうな顔をコチラに向けていた。
その後も、深夜まで久々にユウナと話をする事になった。




