第9話 この世界のお年寄りの癖。
錬金術士のハボックさんのお店を訪れた日から1週間たった。
メインの武器はもう決まっている。ナックル系とトンファー系だが、近付けない相手となると攻撃が出来ないので、サブ武器を考えている。
とりあえず、錬金術士のハボックさんが帰ってくるまでには、構想を作っておかないと!
そういえば、以前居た世界の格闘用っぽいの武器を色々思い出してみる。
(インドの方に、チャクラムって武器があったよなぁ〜
あれは?ブーメランみたいになげるんだっけか?投擲武器っぽいな)
シュミは、MMORPGのファイナルナンチャラ14の踊り子を思い出していた。
(手裏剣とチャクラムどっちが良いかな〜?斬れ味的には、チャクラムか!)
(十手とかも面白そうだけど投擲武器と全然関係ねぇ)
考えれば考えるほど、違う方向になっていくシュミ
(中国拳法で、銭形平次みたいに小銭を投げるのも有るけど、魔物相手に無理だわなぁ〜)
跳ね返って来る光景が目に浮かぶ…………
ナックルとトンファーの構想と制作は、ほぼ形になっている
薪割りと格闘術の練習の合間に、暇を見て木材を使いコツコツ作っていたのだ。
生産職のスキルが有れば簡単に作成出来ただろうが、シュミは生産職のスキルを知らない為、完全に手作業だった。
ナックルは3種類考えていて、1つ目は拳を完全に覆う感じで作り、手首を固定するかかなり悩んだ結果、固定しない方向で作成した。完全に打撃専用 《作成済み》
2つ目は、拳の辺りに鋲や鏃みたいなのを取り付けて打撃&ちくりと刺す感じ、実際はかなり痛そうだ。
3つ目は、拳辺りに薄くて丈夫な切れ味の刃物を取り付けるタイプ 打撃&斬り裂く感じで、フックを打つとスパッといく感じで、考えている。
2つ目と3つ目に必要な物を鋲みたいなのと刃物っぽいのが欲しくて、鍛冶屋と錬金術の店を以前尋ねたのだった。
トンファーは、皆さんが知ってるあのままの感じで作りあげた。
今日も薪割りを終え、格闘術では※発勁の練習を重点的に修練した。
シュミは、商店街にでも出掛けようとした。すると家の前の通りを爺さんが、こちらに向かって歩いて来る。
(あれは?恐らくハボックさんかな?見た事ないから分からないけど。)
どんどん近付いてくるから、間違いないだろう。サンタクロースの様な髭をして、細身でローブを着ている。
「うっほーい!」
こちらに気付き、少し距離がある所から爺さんに声をかけられる。
(うっほーいって………ロボット女の子の挨拶っぽいな!)
「うっ…うっほーい!」
シュミも赤面しながら、真似て挨拶をしてみたw
「ほっほっほっ 元気が良いの〜。お前さんがリンクスの息子のシュミ太郎じゃな?」
(いや、いや、太郎ってなんだよ!この世界の年寄りは名前の後に、何か付け加える癖があるのか?……どこぞのお笑い芸人なら癖がつえーんじゃ!ってツッコまれるぞ!)
「えっと、シュミです。」
冷静に答えた。
「ほっほっほっシュミ太郎じゃな。フムフム」
ニコニコしながら、髭を触っている。
(シュミ太郎を譲る気はないらしいな………)
「お、名前を名乗ってなかったな、わしは ナウで紳士なハボック兄さんじゃ!」
(ほっほー ナウで紳士なお兄さんときたか!)
シュミは、あえて真顔で接する。
「錬金術士のハボックさんですね。父からお話は聞いています。」
「なんじゃ面白みがないの〜ほっほっほっ」
ほっほっほっと髭を触っている。
とりあえず、立ち話もアレなので家の中に案内する。
「どうぞ、お入りください。」
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※発勁とは、中国武術における力の発し方の技術のこと。
昔よくテレビであったが、人に触れた時に触れられた人が宙を舞う感じで、吹っ飛ばされてるが 簡単に言うとあれが発勁で、かなりの達人じゃないと出来ない。
ちなみに、航の通ってた格闘塾の塾長は、実際に発勁を使えていた。体重が100キロ位はある塾生を吹っ飛ばしてたのを見た事がある。
ちょいちょい、全話に訂正や改文をしていますので、ご容赦ください。これからもよろしくお願い致します。