第68話 セルーヌの実家
中央のドームの町には、宿屋が1軒も無く、ここは避難所だからだろう。
外部の人間が入ってくるという想定が、されてないみたいだ。
「セルーヌの家に行くのは、どうかな?ここにもあるよね?」
シュミは、セルーヌの方を見る
「はい、多分有ると思うけど、外れに有るのかもしれないわ。」
少し暗い顔をしているセルーヌ
「セルーヌ、私達は気にしないから、大丈夫よ…」
っとボラタは、小声でセルーヌに言う。
はっとした顔をしてボラタを見るセルーヌ
ボラタは、ニコリとして頷いている。
「わかりました、恐らく長老が居るこの場所より、一番離れた所に有ると思います。」
ボラタの微笑む顔に、嬉しく思い顔を上げる
「そっか、じゃぁ誰かに聞けば、大体の位置が分かるか~。」
シュミは、近くに通りかかったおばさんに、オリオンさんの家は何処か尋ねると
「ふん、あの娘か……奸族め!東に進めば着く、そして用が済んだら早く出てお行き!」
セルーヌの方を睨み、強い口調で答え、そそくさと歩いて行った。
セルーヌは、俯き泣きそうな顔になる。
「前を向きなさい、あなたはもう私達の大事な家族なのよ。」
ボラタが、セルーヌの背中をさすりながら、言葉をかける。
「うぅぅぅぅ。」
セルーヌは、涙を堪えた顔を上げて、歩き出し東のドームへ向かう。
「何が有ったか知らないけど、大丈夫か?あのばあさんをぶん殴って来ようか?」
シュミは、セルーヌを見て心配して顔を覗き込むと、セルーヌは首を振っている。
「私が悪いの…もう少し待って、後で話すから。」
~~~~~~~~~~~~~~~~ジ族長老の間では~~~~~~~~~~~~~~
「まさかカリヤ様が、オリオンの娘を送って来るとは思いませんでしたね.....同族殺しのセルーヌ・ジ・オリオンとは……」
長老のマルクが、アルミダに言う。
「全くだ!どうしてオリオン家と繋がりを持っているのだ!」
もう1人の長老ラルドが、憤慨している。
「だが猫人族の将来を考えれば仕方ないかもしれない、このままカリヤと、いがみ合っても、現在どんどん地位が下がっているジ族にとっては、ありがたい申し出だ!カリヤの目的も我らと同じ物のようだしな。」
「おまけに、オルトロスにより長老を2人も殺されている、攻撃魔術を使える兵士は、避難する時に殿を務め、半数以上死んでいる。」
アルミダは、カリヤと同じ伯爵の地位も貰い、同じ事を考えていたのだから、かなりの好条件だ
「お前たちは、長老の座を退き役委員会という、会に入れ.....良いな?」
「はは!」マルクとラルドは、跪いた。
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一番東の避難ドームに着くと、今までのドームと違い、貧相な作りの家ばかりだ。
恐らく、この住民達で作った家なのだろう、他の住民達と違い、避難場所だけを提供され、それ以外は何も作ってもらえていない感じだ。
ジ族の貧困層と追放者の地区のようだ。
人に聞き伝いに、オリオン家を探すと、そこそこ大きな家を見つけた。
綺麗な猫人族の女性が、住民にお粥の様な物を配っている。
「母上様!」
セルーヌは走り出して、綺麗な猫人族に駆け寄る。
「セルーヌ!」
振り向き、駆け寄るセルーヌと抱き合う
「何年振りかしら?大変な時に、帰ってきたわね?今は最悪な状況なのよ.....」
セシルは、セルーヌに笑顔を見せたが、すぐに暗い顔になる。
「えぇ、何となく置かれている状況は、分かってるわ。」
セルーヌは、申し訳なさそうに俯く
「コホン!えーっとセルーヌ?私達に紹介してもらえないかしら、母上さまを。」
ボラタが、ニコニコしながらセルーヌとセシルの方に、話しかける。
「……どなた様?.....セルーヌ?」
ハッとして、少し離れた所に居るボラタ達に気づく。
「そうでした、紹介致します、私の母のセシルです。」
セルーヌは、簡単に紹介をして、セシルはペコリと頭を下げる。
「母上様…こちらは、ボラタ・スン・ウォックス・ティフォシ様とその旦那様のリンクス様、お二人の息子のシュミ様とウォックス家冒険者のレカルド様とマリアとエリカです。」
「..........え?..........ウォックス家?って.....スン族の長老の?」
セシルは、ビックリして耳と尻尾が、ピン!っとなっている
「そして、私もウォックス家の冒険者をしています.....そして今日ウォックス家代表として、ジ族の長老様達と話し合いをして参りました。」
「え?ウォックス家代表として?ボラタ様がいらっしゃるのに?」
驚いたまま、セルーヌに聞く
「そうです、カリヤ様は私に全権を与えて下さいました。」
頷きながら、セシルに答える
「とりあえず、詳しい話は、後にしませんか?出来れば体を休める場所を、提供して頂きたいのですが……」
ボラタは、話が長くなりそうと判断し、会話に割って入る。
「あぁ、失礼しました、どうぞ皆様お入りください。」
セシルは、客間へと案内する。




