第67話 カリヤ様(おばあ様)の狙い
長老達の避難所のドームは、他のドームより2.5倍程大きく、地上の町の重要な施設が同じように、避難所にも作られている。
セルーヌは、ドームを通り過ぎる度に気づいた事がある、地上の町を地区つづに分け、まるで切り取ってそのまま地下に作っているように作られている事に。
最初に辿り着いた避難所は、町はずれの農夫が住む地区なので、村みたいに感じたが、今居る場所は普通に町の中にいる様に、建物も石畳もお店もある。
シュミ達は、セルーヌを先頭に長老達が居る長老院に向かう。
長老院の入り口で、身分を証明する手続きをし、長老達に会えるよう門番に伝え、待つ事2時間やっと面会出来る事となった。
本来なら、スン族の使いなら数日待たされる事が多いが、流石にスン族の族長の娘と孫、族長の委任状を持った者を、嫌がらせで数日待たせる事等しなかった。
長老の間にシュミ達は通され、3人の長老が机に座っている。
(あれ?長老は、全員で5人のはず……)
セルーヌは、首を傾げて考える。
「初めまして、私はスン族族長の娘、ボラタ・スン・ウォックス・ティフォシといいます!こちらが今回スン族とジ族の交渉を一任しています、セルーヌ・ジ・オリオンです。」
ボラタが、自分とセルーヌの紹介をすると、長老達は驚いていた。
まさか同じジ族の者が、スン族の代表として交渉役になっているとは、思ってもみなかったみたいだ。
「オリオンっといったな、セシルの娘だね?」
「はい。」
「そうか、カリヤが気に入るわけだ、ジ族の中でも名家だった訳だからな、父親のゼクトには会ったのか?」
「いえ。」
「ゴホン・すみませんが、急ぎなのでその辺の話は、後ほどで良いのでは?」
ボラタが、話を遮り要件を伝える様、セルーヌを肘で突く。
「あ、えっと.....では、カリヤ様からの申し出をお伝えします、スン・ジ族に連なる全ての派閥を1つに統合し、猫人族を強固な種族に纏め、王国に人族と同じ扱いを受ける事を、カリヤ様は望んでいます、
猫人族の中で、元老院の様な機関を作り、猫人族総意の意見を、王国内で強くさせる事が狙いです。」
セルーヌは、長老達の顔を見渡しながら言い、話を続ける。
「今、長老やその側近の座を失う事を、恐れないで下さい…カリヤ様は、スン族から10人・ジ族から10人と、派閥以外の猫人族の商人等5人で、構成する先程述べた機関・元老院ではなく役委員会という名前の機関を作り、3年毎に一度選挙をして、役委員の入れ替えをする予定です。」
「そして、現スン族長のカリヤ様と現ジ族長のアルミダ様は、役委員会の決定した事を実行する立場とし、役委員会には不参加という形にしたいとの事です。」
ジ族は、長老が4人と長老長のアルミダで、構成されている…簡単に話が進まないかもしれない…
だが、なぜかこの場にいるのは、アルミダと他2人の長老しかいない。
セルーヌは、長老達の顔色を伺いながら、話しを続ける。
「では、話を続けます…カリヤ様は、アルミダ様に王国内でのそれなりの地位お考えになり、辺境伯の爵位を国王から、承諾を取り付けなさいました.....以上がカリヤ様のお考えです。」
セルーヌは、全て上手く伝えられてるか、少し不安な表情を浮かべて、ため息をつく。
「では、長老様方…なるべくお早いご返答をお願いいたします、私達はオルトロス討伐の任も受けていますので。」
ボラタが、長老達を見渡しながら、スパっと言う。
「分かった、明日までに返答しよう。」
アルミダが答え、他の長老が何か言うそぶりをしたのを、手で制した。
「では、失礼します。」
ボラタ達は、一礼をして建物を出ると、宿屋を探した。




