第64話 全員集合!
馬が無い為、徒歩での移動となるが、マッカレルまでかなりの距離だ。
荷馬車で、走って5時間程かかっているので、2日か3日かかるかもしれない。
その間は、セルーヌの里を放置しての移動だが、セルーヌはかなり不安な顔を浮かべている。
セルーヌにとって、おばあ様の指示は絶対だが、やはり両親の事が気になる。
敵う相手なら、迷わずシュミも里に残って戦うが、さすがのシュミも3人だと以前と同じ結果が、想像できる。
せめて、エリカとソーシャが居れば、なんとか出来たかもしれない。
里からある程度離れ、シュミは声を出した。
「とりあえず、みんなと合流しなければ、前と同じ結果になる、セルーヌ少しの間、我慢してくれ。」
「はい……。」
セルーヌは、顔を下に向けて、涙をこらえている。
「かわいそうだけど、今の状況では仕方ないですもの、合流を急ぎましょう。」
マリアが、セルーヌの手をとり、マッカレルの方向に歩き出す。
歩き始めて5時間程経ち、西の空が赤くなり始め、見覚えのある馬が引く荷馬車が見えた。
「おーい!大丈夫か?」
リンクスの声がする、荷馬車の上に立ち手を振っている。
かなりの速度で、シュミ達の所まで近づいて急停車する。
「あぁ、良かった…おばあ様の指示に従わないで、戦っているかもって心配したわ。」
ボラタは、胸をなでおろす。
「はぁ~助かった、これで里に戻れるよ、セルーヌ。」
シュミは、セルーヌの頭を撫でて声をかける。
「ありがとうございます。リンクス様・ボラタ様・レカルド様にみんなも。」
泣き顔で、頭を下げてセルーヌは、お礼を言った。
「とりあえず、3人共荷馬車に乗って、話はそれからよ。」
ボラタが、シュミ達に急いで言う。
「とりあえず合流出来ましたが、即里へは戻れません。今から闇の時間だから、眷属の力が強まるわ。」
夕日を眺めながら、ボラタがセルーヌに、すまなそうに話しかけ抱き寄せている。
セルーヌも、十分に承知している様で、頷きながら泣いている。
「今から馬車の周辺に結界を張ります、マリア手伝ってシュミは夕食の準備と、ポッケから野営の道具を出して、皆に指示して。」
ボラタが、セルーヌから離れ、マリアとシュミに指示を出す。
ボラタとマリアは、荷馬車を中心に八卦の様な魔法陣を地面に書きながら、祝詞みたいな言葉を詠唱している。
シュミは、寝袋・薪・テント・折りたたみのテーブル・小さな調理机・自作の石で作った小さなコンロを出して、リンクスとレカルドにテントを渡し、寝袋・薪をソーシャとエリカに渡した。
シュミは、マッカレルの塩漬けを出し、余分な塩を取り除き焼き始める。
セルーヌが落ち込んでいるのを、少しでも和らげれないかと、セルーヌの大好物を出してあげようと思った。
食事で気持ちを、和らげる事が出来るとは思っていないが、シュミなりの心遣いだ。
ジューっと香ばしい香りが周りを包み、セルーヌもシュミの心遣いを酌みシュミの隣に寄りそう。
結界と野営の準備が、料理と共に終わり、テーブルにはマッカレルの塩焼きが人数分置かれ、マリアは眉間にシワが一瞬寄ったが、セルーヌの事を思い皆と一緒に、マッカレルの塩焼きを食べる
マリアは、全然生臭くないのに驚いていた、シュミはマリアのマッカレルに、柑橘類の皮を細かく削り、振り掛けて焼いたのが良かったみたいだ。
リンクスとレカルドは、エールの樽を持ってきており、2人は宴会状態だ。
ボラタは、皆がぐっすり眠れるようにと、土の魔術でゴーレムを4体作り、見張りをさせた。
満点の星空が、広がる空を見上げ、明日はどんな結果になろうとも、精一杯戦うと星に誓って寝る。
その隣では、泣き疲れた様にセルーヌの寝息が、聞こえていた。




