第62話 セルーヌは、甘いものが好き
朝日が昇り始め、シュミは目を覚まして、宿の食堂に行くと明かりが点いていなかった。
仕方なく、朝食の材料を手に入れるために、食料品店に行く。
店のドアは閉まっているが、人の気配がするので、声をかける。
「すみませんーん、開いてますか?」
「おはようございます、今開けますね~」
店主が、ドアを開けてくれた。
店内に陳列されている、商品を見ていると、コッケーの玉子とモーゥのバターとミルクが置いてあった。
ライ麦パンと玉子とバターとミルクを買う事にした。
「このミルクは、このまま飲めるの?」
「いえ、火にかけないと無理ですよ、旦那~」
少しビックリした表情で、シュミに答える
(あっそっか、殺菌処理とかしてなくて、当然か……)
「じゃぁ、玉子とバターとミルクとパンで良いです、お会計してください。」
「はいよ~」
会計を済まし、宿に戻るとセルーヌとマリアが、荷馬車の用意をしていた。
「どこに行ってたんですか!早く出発しますよ。」
マリアが、怒っていた。
(予定では、朝日が出ると同時に出発する予定だったのを忘れてたな~。)
「ゴメン、食事の材料を買いに行ってたんだよ。」
急いで、荷馬車に乗り込む。
セルーヌが、手綱を握って出発する。
「ところで、何の食材を買いに行ってたの?」
セルーヌが、後ろを振り返りながら、シュミに聞く。
「あぁ、えっとフレンチトーストを作ろうと思って。」
「フレンチトースト?って何ですか?」
マリアが、不思議そうな顔をして、聞いてきた。
(こっちでは、なんて言うのかな?そもそもフレンチトーストに似た、料理があるのかな?)
「え~っと、コッケーの玉子とモーゥのバターとミルクとパンで作る、ほんのり甘いパンだよ。」
「え?甘いパンなのですか?」
セルーヌは嬉しそうにしているが、マリアは微妙そうな顔をしている。
「もう少し先に平原があるので、そこに着いたら休憩しましょう」
セルーヌは、マリアに言うと、マリアは頷いた。
15分程して平原に到着し、シュミは料理の準備を始めると、セルーヌ横で作り方を覚えようと、見ている。
ポッケから、玉子・バター・ミルク・パン・砂糖を取り出し、ボウルに玉子を割り、違うボウルにバターを入れて、生活魔術の炎でバターを溶かし、玉子の入ったボウルに入れる。
空になった先程バターに使ったボウルに、ミルクを入れ一瞬火を入れる。【殺菌の為、リアルの世界では必要なし】
ミルクを、玉子とバターが入ったボウルに入れ、砂糖をお好みの量を入れる。
そのボウルを風魔術で混ぜ、パンの一枚を半分に切る。【人数分】
ポッケから、フライパンを取り出し火をおこして、たっぷりフライパンにバターを敷き
玉子等入ったボウルに、パンをさっと通す
【シュミは、パンの中まで玉子の液が、浸透しているフレンチトーストは、嫌いなので両面共、さっとパンを通す。】
火にかけたフライパンに、液を塗ったパンを敷き詰め、両面と側面を焼き少し焦げ目が付く位に、焼き上げる。
ほんのり甘い匂い漂い、セルーヌの尻尾が少しだけ速く揺れている。
ミルクを念の為、加熱してホットミルクにして、フレンチトーストとテーブルに置く。
そして、フォーゴのハムも焼いてから、テーブルに着き食事を始める。
フレンチトーストを、初めて食べた2人はとても満足した顔をしていた。
マリアは、甘いパンに少し抵抗があったみたいだったが、一口食べて幸せを感じたみたいだ。
セルーヌはとっても気に入り、かなりの枚数を食べている。
「もう少し甘くても好きかも。」
セルーヌのお皿には、フレンチトーストが数枚置かれている。
「甘くするなら、砂糖を多く入れても良いし、これにハチミツをかけても美味しいよ。」
ポッケから、ハチミツ取り出し、セルーヌに渡す。
「う~ん、とても美味し~。」
セルーヌは、ハチミツをフレンチトーストに、たっぷりかけて唸っている。
「え?甘すぎないの?私は、このままの方が美味しいわ。」
マリアは、フォーゴのハムとフレンチトーストを、交互に味わっている。
食事も終わり、思ってた以上に時間をロスしてしまい、慌てて荷馬車に乗り込む。
フレンチトーストで、セルーヌの緊張も、少しほぐれたみたいで、なによりだ。
7時間程進み、少し大きな町が見えてきた。
「今日は、あの町に泊まりましょう。」
マリアが、町を指さしてセルーヌに言う
「えぇ、この町から、私の里はそんなに離れてないので、朝出発すれば昼には、着きそうですね。」
町に入り、少し大きめな宿に泊まる事にした、なぜなら看板に、元祖マッカレル煮と書かれてるからだ。
シュミは、あまり魚が好きではないのだが、鯖の煮つけ・鯖の味噌煮は、大好物。
「今日の夕食が、楽しみだ!」
セルーヌとマリアに、長老や両親のお土産などの買い出しに行ってもらい、シュミはこの町の冒険者通りを歩いて、変わったアイテムや武器が無いか、見て回る事にした。




